ケツの下
ザワザワと風が木の葉を揺らし、空は白い雲が流れていく。
土の匂いと、草木の匂い。
それを感じながら思うのだ。
「……今日はなんて忙しい日なんだ」
と。
「よいしょっと」
僕は上半身だけ起き上がらせて、周りを見渡す。
森だ。
うん。森だ。
近くに湖があるが、それ以外は森だ。
「水に吹き飛ばされたから、もしかしたらあの湖から……とか?まあ、どうでもいいか」
そう言えばキャットはどこ行ったのだろう。
僕と一緒に溺れて吹き飛ばされていたはずだ。
全く一体全体どこに行ったか……あ、そうだ。
「……せっかくだし使ってみるか”召喚”ってやつ」
僕はぽんっと手を打った。
【召喚】……【鎧と眷属】の能力の一つ。眷属となった存在を近くに召喚することが可能。距離、空間を
問わない。
「えっとやり方は……”召喚”ああ。対象の名前を言ってから召喚するのか。えっと、キャット召喚?」
そう言って見るが、何も起こらない。
聞こえてくるのは相も変わらない、静かな風の音だ。
「あれぇ?」
これもしかして失敗……あ、そう言えば。
「キャットって、愛称……仇名だって言ってたよな。本名はキャシー・ニャシーだっけ?」
もしかしたら……本名で宣言しなきゃいけないのかもしれない。
「試してみるか。えっと。召喚キャシ――あれ?なんか暗くなっ」
と、そう言いかけた瞬間だった。
突然太陽が雲に隠れたかのように空が暗くなったかと思ったのもつかの間。
ドサッ
と、音がして僕は潰された。
「ほげっ」
「ふへぇ、目が回るにゃぁ」
地面に顔がめり込み……はしてないけど、小石が刺さっていたい。あと、葉っぱ口に入った……
「いにゃ~、気が付いたら木の上で、降りるのどうしようかにゃ?って、思ってたら枝が折れてちょっとびっくりしたにゃ」
そう言って「うんうん」と言う声が聞こえる。
この声は、おそらくキャットだろう。
お尻は柔らかく、温かみも感じて、なんというか、圧迫感と言うか重力を感じる。
強いて言えば、あおむけが良かった。
「……それにしてもにゃ、地面が柔らかくて助かったにゃねぇ」
「……あのさ」
「にゃっ⁉地面がしゃべったにゃ……にゃ?」
「ちょっと、どいてくんない?」
彼女……キャットは「うにゃっ⁉」と体をビクリと揺らした。
きっとおっぱいも揺れた事だろう。
「ぎにゃぁあ!?にゃーのケツの下に変態が!?」
そう言って彼女は飛び跳ね、すぐ近くに着地した。
「……いやぁ、びっくりしたぁ」
「にゃ、にゃーの方がびっくりしたにゃ……おにゃ、なんでニャーのケツの下にいた……あーにゃーが上から落ちて偶々そこにいたにゃ?」
「そうそう」
そう言うと彼女は少し考え……
「えっと……にゃんと言うか、ご……」
「いや~とても柔らかく、温かみがあって、なんていうか、良いケツ……」
「謝らにゃいからにゃ!?」
そう言ってバッとケツを抑えたのだった。




