ダンジョン脱出
彼女は膝から崩れ落ちた。
それはもう勢いよく、おっぱいがプルンと揺……ここからじゃ遠すぎて見えないな……戻ろう。
短剣とズボン。あと、コインと宝石。入っていた肩掛けバックに詰めて。
全部持って、てくてくと歩いて……おや?
さっきまで干上がっていた地底湖だが、気が付けばくるぶし辺りまで水が溜まってきていた。
「……なんか、早く戻った方がよさそうだね」
そう思って速足で歩いていくが、すぐに水が腰まで迫ってきた。
「ちょっと溜まるの速くない!?」
そう言って急ぐが、最終的には胸辺りまで水位が上がってきていた。
「あば、やっばっ」
どうにか岸までたどり着き、地底湖から上がった僕はホッと一息つこうとした。しかし……
「にゃーの人生、オワタにゃ……詰んだにゃ。今日は正真正銘大厄日……にゃっ⁉」
キャットは短く叫ぶと、猫のように飛び跳ね近くの岩に飛び乗った。
「にゃにゃ、水にゃ!?」
最初見た時より、明らかに水かさが増している。
僕もキャットが乗っている岩場を登るが、最初にいた場所も既に水で満たされていた。
「これは、やばいかもねぇ」
「かもじゃないにゃっ、ヤバいにゃっ⁉ニャー泳げないにゃっ!詰んだにゃっ!」
なんて叫んでいる間に、水は更にせり上がり……
「あばばっお、おぼ……」
「ぎにゃぅ、にゃっ……」
◆◆◆
とある湖のほとりで、竿を近くに立てかけた一人の男が手を洗っていた。
「ん?なんだ?」
男が揺れを感じて湖を見た。
ぽこぽこと、泡が出るのが見える。
「おー、洞窟でもつぶれたかぁ?」
なーんて、のんきに見ていた男の目の前で……巨大な水柱が上がった。
「おおっ⁉なんだこりゃっ⁉」
大量に噴出した水は雨のように地面に降り注ぎ、ザバザバと大きな音を立てていた。
「ぐへっ」
「にゃ˝はっ」
遠くでドスンと言う音が聞こえたが、何なのか。
「まあ、確認するのもめんどくせえか……嫌ぁ、にしたってとんでもないもん見れたな」
男は立ち上がり、竿を手に持ち、肩に担いだ。
荷物はこれ以外ない。
「血も取れたし帰るか……にしたって、一体どこにいるのやら……」
そう言って、森の中を見る。
ざわざわと、風が通り過ぎる音が響く。
「なぁ、野良転生者さんよ。」
男が担いだ竿の釣り針の先には――人間の生首が釣り下がっていた。




