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モンスターに襲われた子供を助けたら大騒ぎになってしまった

「素材を売った代金からコロンちゃんの防具一式の代金を引いて、残ったお金が110万G。ガリエーの財布に入ってたのが10万G。これだけあればしばらく衣食住には困らなさそうだね」


 モミジとコロンは、昼食のために飲食街のあるエリアへ向かっていた。


 2人は橋に差し掛かる。商人の馬車や通行人が多く行きかうわりに狭く、人の密集度が高い。


 7,8歳くらいだろうか。1人の女の子が向かいから来る馬車を避けようとして、バランスを崩して橋から落ちてしまう。


「娘が川に! 誰か、誰か助けて下さい!」


 子供の母親が半分パニックになる。


「速く縄をもってこい! 引き上げるぞ!」


「浮き輪代わりになるものはないか!?」


 たちまち橋の上が騒ぎになる。誰かが木材を投げ込んで、子供がそれにつかまる。


「もうおぼれる心配はなさそうだね。近くには上がれそうな岸もあるし」


 と、モミジが安心した声を出す。


「いや安心できねぇ! この川には最近どこからか流れてきたモンスターが住み着いてるんだ! おいガキ、早く岸に上がれ!」


 近くにいた男が落ちた子供をせかす。子供も短い手足を必死にバタつかせて岸に向かう。

 だが、巨大な黒い影が水底から浮かび上がってくる。


「あれは……タイラントアリゲーターです! 通常のワニよりも巨大で強力、特に顎の力が発達していて鎧ごと冒険者を噛み砕いて飲み込むという超危険モンスターですよモミジ様!」


「お嬢ちゃんの言うとおりだ。あの化け物を退治しにゴールドランクの冒険者が何度か来てくださったんだが、全部失敗だった。残念だが、あの子はもう助からな――」


「コロンちゃん、これ持ってて!」


 モミジがコロンにリュックサックを預け、川に飛び込む。そして、


「お母さん、受け止めてあげて!」


 モミジが女の子を橋の上に向かって投げる。放物線の頂点、丁度上昇が落下に切り替わるところで橋の上にいた母親が子供をしっかりと抱きとめる。


「ああ良かった、ありがとうございます!……」


 女の子は傷一つ負っていなかった。


「なんて勇敢なんだ!」


「命を投げ出して子供を助けるなんて!」


「お姉ちゃん、ありがとう!」


 橋の上で歓声が巻きあがる。


 だが、


「モミジ様、早く逃げてください! 後ろからタイラントアリゲーターが迫っています!」


「やっべ」


 岸へ向かって泳ぐモミジを、それ以上のスピードでタイラントアリゲーターが追いかけてくる。


「おいおいなんか面白そうな事になってるじゃん。おいみんな、あの女が喰われるかどうか賭けようぜ。俺は喰われるほうに1万G賭けるぜ」


 橋の上でガラの悪そうな青年たちが賭けを始める。


「俺も喰われるほうに賭けるぜ!」


「俺もだ! ってこれじゃ賭けにならねぇよ」


「「「ギャハハハ!!」」」


 盛り上がっている青年達が足元の小石をモミジに投げつける。


「なんてことするんですか! モミジ様、私は全財産をモミジ様が帰ってくる方に賭けますからね! 絶対に負けないでください!」


 だが、タイラントアリゲーターがついにモミジに追いつこうとしていた。


「モミジ様、タイラントアリゲーターは顎を閉じる力は非常に強いですが開ける力はとても弱いのです! 何とか1回目の噛みつきを避けて、そのまま顎を抱え込んでください!」


 コロンが橋の上から必死に叫ぶ。


 タイラントアリゲーターがモミジを射程に捕らえ、噛みつく。タイラントアリゲーターの強靭な顎がモミジの全身を挟み込む。


 が、顎は閉じ切らない。モミジが上顎を両腕で、下顎を両足で食い止めていた。力を込め、ゆっくりと顎を押し返していく。


「ごめんコロンちゃん、アドバイスがよく良く聞こえなかった! 噛まれそうになった時どうすればいいって?」


「……いえ、なんでもないです。どうぞ続けてください」


「分かった! とりゃああああぁ!」


 モミジがさらに力を込め、タイラントアリゲーターの顎を限界以上に開く。


 ベキィ!


 タイラントアリゲーターの顎が壊れる音が橋の上まで響く。タイラントアリゲーターはあっけなく息絶えた。


「嘘だろ、あのタイラントアリゲーターが一撃で……?」


「なんだ? 俺たちは一体何を見ているんだ??」


 橋の上が騒然とする。


「ちぇ、つまんねーの」


 と言い捨ててガラの悪い青年たちが立ち去ろうとする。が、橋を渡り終えるあたりで突如ずぶ濡れのモミジが立ちはだかる。


「ヘイお兄さん達、私が喰われるほうに賭けてたでしょ? しかも石ころまで投げつけてくれちゃって。負け分はちゃんと置いていきなよ」


 邪魔だ、と青年の一人がモミジの肩を突き飛ばすが、びくともしない。モミジが青年の腕を握って力を込める。


「イダダダダ! 分かった払う、払うよ!」


 青年たちはキッチリ1万ゴールドずつ払って逃げるように立ち去って行った。


お読みいただきありがとうございます!


【読者の皆様へのお願い】


少しでも面白いと思って頂けたら、ブックマークや評価をぜひお願いします!


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これからも面白い物語を提供していきたいと思います、よろしくお願い致します!

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