第63話 いざ、突撃
すみません、今回ちょうど良い区切りにするため短いです。
「全員落ち着いてください」
あずさの声が戦場になりかけの地のこだまする。
たぶんだけど、音魔法による拡声が行われているんだろう。
あずさの声が響いた途端、人間達は一気にしずま……
「ひっ、化け物がしゃべった~~!!」
「ぎゃああああ、た、助けてくれ~!!」
ることもなく、むしろ大混乱に発展してしまった。
まあ、そうだよね普通。
『いや~、ほんとこの光景300年ぶりだね~』
『何のんきなこと言ってんだよ夏葉……』
『え~、だってそうでしょ? もりっちは、そう思わないの?』
『……確かにそう思ったけど』
『ほらやっぱり思ったんじゃん!! いけないんだ~、人ばっかり怒って~』
『ゴホンッ!! ……二人とも何あそんでるのかしら?』
『『すみませんでした』』
『はあ~。だいたい夏葉、あなた緊張してるってさっき言ってたじゃない』
『さっきの光景見て吹っ飛んだ!』
『……まあ、いいわ。あの時と同じように私が威嚇攻撃して黙らせるから少し待ってて』
『ちょっ、何いまの残念な子を見るような目!?』
『じゃあやるわよ』
『無視されたっ!?』
『はいはい、夏葉は黙ってような~』
『も、もりっちまで!? ひ、ひど、ムグッ!?』
とりあえず騒がしい夏葉を俺が風魔法で黙らせた所で、あずさが一歩前へ。ちなみに、夏葉はマズルの部分を上下から風で押さえつけられて悶絶中。
前へ出たあずさは前と同じように重力を球状に圧縮した魔法(正式名称は重球という)を今回は三発作り出し、それぞれの国に放った。
放たれた重球は、勢いよく飛んでいきーー
--何かに当たってはじけ飛んだ。
「「「!!」」」
『なっ!? 嘘だろ、おい!?』
『……驚いたわね。あれを防いだっていうの?』
『プハァ。……あずさが手加減しすぎたってことじゃないの?』
どうにかマズルの拘束から逃れた夏葉がそうあずさに問う。
『……いや、それはないと思うわ。今のは、300年前の時から魔法技術が進んでるのを考慮して、そこそこの威力を持たせたものだったから』
『とういことは……』
『人間達の実力が想像よりも高いってことね。厄介だわ』
まじかよ……。
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ミスト視点
「国王様っ!! 攻撃相殺完了しました!!」
「うむ、よくやった」
「はっ!!」
部下からの報告を聞きながら、我は胸をなでおろした。
いきなり山のような化け物が三体も出てきて驚いていたら、一体が凄まじい魔力を練り込み始めたのだ。
急いで、浮足立っている兵たちに魔法障壁を張るように命令し、なんとか事なきを得たのだった。
「国王様 あいつらは一体何なのでしょうか……。先程は、人の言葉を話したように思いましたが」
総大将のリキドが我の横に来て問うてきた。
我はその問いに、少し考えーーそして、思った事を伝えることにする。
「リキドよ、よく聞け。……おそらくは、あの三体こそが我が国に伝わる存在だ」
「なんと!? では、初代様に魔法を授けたというあの伝説の〝原初の竜王〟でございますか!」
「うむ。赤と青と緑の色をした山のように大きく、それでいて他の種族、さらには同じドラゴンですら足元にも及ばぬ程のとてつもない魔力。恐らく相違あるまい」
「なるほど。……しかし、どうなさいますか国王様。伝えられている話では、かの存在は争いを嫌っているハズ。このままでは、我ら念願の他の二国を討つという夢も」
「……リキドよ。秘密裏にミロアとミスルニアへ伝令を飛ばせ」
「国王様っ!? 一体どういうことでございますか!?」
「いいか良く聞くのだ、リキド。確かに奴らは憎い。しかし、だからといってあのような存在相手に一国だけでは手は出せん。ならばここは、一時休戦して共に奴らを討つか、または退けるのだ。そうすれば我らの夢はつながる」
「なるほど……。しかし、それだけではありますまい。奴らと共に戦うことで奴らの手札を探ると共に、あのドラゴン達を退けた後には数の有利を生かして一気に攻め込むつもりでございましょう?」
「ふっ。さすがに分かるか……。さあ、早く伝令を飛ばすのだ」
「了解いたしました」
ドラゴン達よ。悪いが我らの夢のためここで討たせてもらうぞ。




