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三頭と二十三人への転生記  作者: 水渡
第三章 三国戦争
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第56話 調査

すみません、遅れました。

やっともろもろの私用が済んだので更新ペースが戻ります。

 『さてと、いろいろ回ったわけだが……どうする?』


 あの後、俺達はおよそ三時間程かけて大通りを一周した。


 そこで見かけたものといえば、大きな声で客を呼ぶ商人に、武器を持って周囲を見渡す衛兵、さらに武器を打っているであろう音とそれを鳴らす職人などなど。もうすでに、貨幣が根付いているとは思わなかったが。


 あ、それから他の人間よりも明らかに良い服を着ている人間も居たな。恐らくは、貴族だろう。馬車に乗って偉そうにふんぞり返ってるのが見えたから間違いない。


 一周した俺達は、各々感想を言いあった。その時俺が思った事なんかを話してみた所、あずさがさっと目を逸らした。……絶対なにか教えたな。

 

 その後、今度は路地の方にも入ってみようということで、路地を巡ることにした。もちろん魔法もかけ直して。


 で、入った路地の感想を一言でいえば、入らなきゃ良かった、だ。


 それは、なぜか。

 まあ、理由は色々とある。


 まず路地に入った時にその薄暗さに気を取られてしまった。そのせいで足元が疎かになり小さなねずみが急にあずさの足元を走っていったため、それにびっくりしたあずさが思わず飛びのいてしまい、そのはずみで横に居た夏葉が頭からゴミ山に突っ込んだ。

 

 それを笑っていた俺とあずさの背後から、ねずみ目がけて突進してきた大きなネコ? に体当たりされ、俺達もふっとびゴミ山へダイブ。


 結局三人まとめてゴミまみれになりながら、なんとか脱出して魔法を使ってキレイにし、改めて出発。


 その後も、蜘蛛の巣に引っかかるわ、端に寄りすぎてドブに落ちるわ、最悪だった。


 そして、一番ダメージが来たのが悪戦苦闘しながら、路地を進み二、三時間が経った頃だった。


 急に人の声らしきものが聞こえ、何だろう? と思った俺達は、そちらの方へと向かい、ちょうど窓が近くにあったので覗いてみた。


 が、そこはいわゆる娼館というもので、まさにそういうことの真っ最中。

 

 前世で、家族皆で食事中にテレビで過激なシーンが流れ気まずくなるという経験があったが、途方もない歳月を経て家族同然になっていた俺達にとってもまさに同じことが起きた。


 夏葉は顔を真っ赤に、あずさは速攻で顔を背け、俺も無言で目を逸らし、魔法とは違う意味でシーンとなった。


 その後は、誰が何を言うわけでもなく、皆自然と路地を出ようと足を動かし、一時間程経って無事に出られ現在に至る。


 ……無茶苦茶気まずい、マジでどうしよう、これ。


~~~

 

 『『『……』』』


 長い、長い沈黙


 (((やっばい、気まずい……。誰か何かしゃべってほしい!!)))


 そんな俺達三人の心の一致を誰かが見ていたのか、それは分からないが、兎に角救いの手が。



 それに、最初に気づいたのはあずさだった。


 『あれっ? ……ねえ、二人共ちょっと周り見てみて?』

 『どうかした、あずさ?……特に変わりは『いや、確かに違うな』……へっ? もりっちまで何を?』

 『気づかないか夏葉? 俺達が路地に入る前と比べて、明らかに衛兵が増えてるんだよ』


 あずさに言われ、周囲を見てみたら明らかに衛兵が増えていた。しかも、異常なほど。これに今まで気づかなかったのは、さっきの動揺が響いていたんだろう。


 そして一度周囲の異変に気づけば、おのずと他の情報も気づけるようになってくる。


 例えば、最初この町に入ってきた時には全く感じられなかったピリピリ感ーー何かへの敵意、いやそれ以上の、もはや殺気といって良いレベルな気がする。それが、町全体に漂っている。


 明らかに、何かが起こっている。


 『……確かに、変だね。ハッ、もしかしてもう戦争が!?』

 『可能性は高いかもな』

 『とにかく、町の人の話を聞いてみましょう』


~~~


 「あら、リュンスさん。こんにちわ」

 「こんにちわ、ミラーさん。……そういえば聞きました? あの噂」

 「ええ、もちろんですわ。なんでも軍が食料を買い占めてるって」

 「そうそう。それに、上位貴族の方々が次々に城の方に向かっていくの見ましたのよ」

 「あら、それ私も見ましたわ。ということは、ついに」

 「そういうことなんでしょうね。……それにしてもいやですわね。いくらこの国にとって危険な敵がいるからとはいえ」

 「ですわね。この戦争で、一体何人死ぬことやら……」

 「「ハア~」」

~~~


 『……状況がひっ迫してると思ってはいたが、改めて現地の人間の口から聞くとこれはかなり』

 『まずいわね』

 『でも、どうすればいいの?』

 『とりあえず、一旦城ってトコに行ってみないか? そこに全ての情報があるだろ』

 『そうね。ここで頭を悩ませててもしょうがないわ。急ぎましょう』


~~~

国王視点 玉座の間にて


 「皆の者、よくぞ集まった」

 

 我の声を聞き、目の前にいる者達ーー人数は十人ーーがひざまずき、我に礼を示す。


 「うむ、皆の者。面を上げよ」

 「「「「「「「「「「はっ」」」」」」」」」」


 そう返事をすると、一段高いところに座っている我の元に一人の男ーーリュードが一歩前に出る。


 「国王様、仰せの通り上層部全員集まりましてございます」

 「うむ、ご苦労であった」

 「ありがたきお言葉、恐悦至極にございます」

 

 そう言って、リュードが頭を下げる。


 「さて、皆の者。集まってもらったのは他でもない。ついに我らは100年来の怨敵であるミスルニア、ミロアの両国に攻め入る!!」

 「おお! ついにでごさいますか、国王様!!」

 

 そう言って歓声を挙げたのは、軍の総大将を務めるリキドだ。


 「そうだ。ついにだ。それでリキド、軍の方はどのような感じだ?」

 「はっ。歩兵部隊二千人、騎乗部隊千人、魔法部隊七百人、それぞれ装備完了しております」

 「国民達から、もっと徴兵はできんのか?」

 「しかし、これ以上集めてしまえばミストの守護が疎かになってしまいます。我らが出ていっている間に魔物どもの襲撃がないとも限りませんので。それに練度が低い者を連れていっても足手まといかと」

 「ふむ、そうか。ならば、それでよかろう」


 今のこの国の人口は、一万人程。それも全ての人間が戦えるわけでもない。老人もいれば、赤ん坊もいるからな。まあ、これは分かっていたことだから、一応聞いただけだ。


 「ラルク、そっちはどうだ?」


 次に、我が声をかけたのが軍の兵站の全てを一手に担うラルクだ。


 「はっ。現在食料は二十日分集まっており、現在も収集中でございます。ただ、こちらもミスト国民の生活を維持する観点から、この辺りが限度かと」

 「なるほどな、分かった。そのまま続けよ」

 「了解致しました」


 「それで、ユース、そちらはどうだ?」

 「はっ。国王様の仰せの通り怪しい者を全て牢に入れており、現在は二十人程でございます。同時に魔法を用いた取り調べを行っているため、間もなく成果がでるかと」


 我の問いに、この国の全ての近衛兵、衛兵、防壁守護隊をまとめるユースが答える。


 「そのまま続けろ。絶対にスパイを逃すではないぞ」

 「はっ。委細承知いたしました」


 その後も、集まった者達に現在の状況を聞いていく。それらについて感想を述べるなら、おおむね及第点といったところか。


 「さて、最後にシーラス。どうだ?」


 そして、我は最後にシーラスという魔法開発最高責任者に問う。今、こいつらが開発している魔法こそがこの戦争のキーになるもの。我らがいっぺんに二国を相手取るために必要な〝武力〟


 「はっ。現在最終段階まで来ております。しかし、未だ調整が必要な部分もございます故、今すぐに用いることは厳しいかと」

 「何!? 分かっておるのか、今回の戦争ではその魔法こそが我らの勝利を決めるカギなのだぞ!」

 「しかし、万が一にも誤爆などしようものなら、自軍に与える被害は甚大。なればこそ、その開発も慎重にならざるを得な「言い訳はいらん!」……」

 「シーラスよ。よいか、もう一度言うぞ。戦争開始までに、魔法を完成させよ、良いか!!」

 「はっ」


 「……さて、皆の者。一部不安要素は、残っておるが我らは二日後に両国に向け進軍する。位置と距離からいって最初は、ミロアだ。各自それまでに準備を完了するように。それでは、下がれ」

 「「「「「「「「「「はっ」」」」」」」」」」


 そう我が締めくくると、この場はお開きになった。


 静かになった、玉座の間にて考える。

 

 家臣たちにも言った通り、若干の不安はある。

 しかし、それよりもいよいよ二国を叩き潰せる高揚感が、我の中を支配する。

 

 さあ、戦争だ!!

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