第55話 ミスト国内、再び
いろいろとやることがあって更新遅れました、すみません。
次から更新ペースを戻していく予定。
後、今回少し短いです。
ミスト内部視点
「国王様、今よろしいでしょうか」
「ああ、入れ」
「失礼致します」
そう言って、数枚の羊皮紙を持った男が入ってくる。
こいつは、我ーー第16代ミスト国王レンドに使える者達のトップにしてこの国の財政を一手に握るリュートという者だ。
「それで用件は何だ?」
「はい。先程放っておりました間諜より連絡が入りました」
「何! それは真か!?」
ついに来たか。
「で、内容は?」
「はい、これにまとめてあります」
そう言うと、リュードは手に持った羊皮紙を渡してくる。
「なになに…………。なるほど。分かった」
「して如何様に?」
「軍に準備を急がせろ。それと上層部を全員緊急収拾せよ。奴らもだいぶ動きが加速しておるようだ。……それから怪しい奴がいないか徹底的に探し出せ。確実な証拠はなくていい、とにかく地下牢にぶち込め。その後から魔法で、強制的にしゃべらせればいいだけだからな。もしも、無関係なら何か良いものを持たして黙らせろ」
「承知いたしました。すぐに各方面に伝え、行動させます」
そう返事をしたリュードは、早足で出ていった。
俺は、リュードが出ていったドアから目を逸らし手に持つ羊皮紙に目を落とし考える。
そこに書かれているのは、我らが偉大なる初代女王プロトス様より代々続くこの国ミストを裏切った者共が興した国、ミスルニアとミロアの内部情報。その内容は民達の日常の買い物風景から軍の演習などなど様々だ。
奴らは、この国を出る際にミスト国王の温情によってミストにあった様々な資源や情報、技術等を持ってこの国を出ていった。にも関わらず、報告書によれば現在ではその恩を仇で返すようにこの国に向けて武力を整えていると書かれている。まことに腹立たしい。
だが、憎き奴らのその歴史ももうすぐ終わる。今まで長きに渡り集め、精査した情報を元に我らが攻め込み滅ぼすからだ。
我は、崩壊した二国のがれきの上で、栄光ある我がミストの軍勢が勝鬨を上げる姿を想像し笑いを抑えることが出来なかったのだった。
~~~
『たっく、蹴らなくてもいいじゃんか』
『言ったじゃないの、早く入ってって』
あずさに蹴飛ばされながらミスト国内に入った俺は、先に入っていた夏葉の風魔法ーー防壁を上がる際に使ったあれだーーによって、キャッチされた。その後に、あずさも入ってきたのだった。そして、現在抗議の真っ最中というわけである。
『はいはい、ケンカしないでよ二人共。とりあえず一旦地面に降りるから、振り落とされないようにね』
『……分かった』
『了解よ』
俺達の返事を確認した夏葉は、風を操り立ち並ぶ家々の間に俺達を着地させる。
『さてと。無事潜入完了したけど、どうしよっか』
『そうね~。とりあえず一旦辺りを歩いてみましょうか』
……どうやら、先程の話はもう終わりのようだ。
俺としては、もう少し文句を言いたい気もしなくはないが、まあいい切り換えよう。
『俺は、それでいいよ』
『なら決まりだね、じゃあ私が先頭行くからついてきて。あ、くれぐれも人や物にぶつからないでよ』
『大丈夫だよ。夏葉じゃないんだから』
『そうよ。夏葉じゃないんだから』
『二人してヒドッ!!』
『『ほら早く行って、先頭さん』』
『二人して私の扱いひどくない!? というか先まで二人共ケンカしてたのになんでそこだけハモるの!?』
『『さあ? それより早く行って』』
『う~……いいよ、行けばいいんでしょ、行けば~~~~~~』
そう言い、若干プンプンしながら夏葉が進みだした。
少しからかい過ぎたか? まあ、後でご機嫌取りでもすればいいや。
~~~
『しっかし、改めて見回してみるとすごいな』
路地から出た俺達は、大通りを右に向かって歩いていた。
『うん。ほんとだよね。やっぱり300年も経つと発展するんだね』
さっきまで、プンプンしていた夏葉もあたりのものが珍しいためか、すっかり元に戻っていた。
『そうね。昔を思うとかなり変わったわ』
そう話しながらも、俺達の目線はあっちにキョロキョロ、むこうにキョロキョロと忙しなく動きまわる。
他の人から今の俺達を見たら、都会に出てきたばかりのおのぼりさんみたいに見えるんだろうな。……まあ、見えないんだけどさ。それに、この世界にはまだ〝田舎〟なんて概念もないだろうけどな。
今、俺達の目に映るのは大通りの脇に立ち並ぶ建物群だ。
300年前は、木造が多く石造りの建物なんてほとんどなかったのに、現在ではほとんど全てが石造りになっていた。しかも、一部は二階建てなんてのもあった。さらに、少し集中してみれば全ての建物から魔法の気配を感じ取ることも出来た。
『……建物に魔法が用いられているのか』
『そうみたいね。恐らくだけど強度を高める効果みたい。結界の応用かしら?』
『いずれの効果が付与してあるとしても、魔法技術の進歩も著しいみたいだな』
そう感心しながら、俺達は歩き続けるのだった。




