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三頭と二十三人への転生記  作者: 水渡
間章 新しい友
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第50話 理由、そしてどうするか

本日二話目

 『で、どうなんだ?』


 俺は聞く。相手は白狼のボス、俺にケンカを吹っかけてきた者。

 問は簡単だ。死にたいのかーーこれただ一つ。


 『……貴殿に無礼を働いたことは謝ろう。しかし、それでもこちらにも譲れぬものがあるのだ』


 お、素直に謝ってきた。こういうタイプって頭下げるのを嫌がるかと思ってたんだけどな。意外だ。ついでに呼び方もまた変わった。


 『譲れないもの、か。それは何だ?』

 『それは我らの一族よ。……我らは他の者達よりも強い力を持っている。しかし、それ故にその体を維持するために多くの食糧が必要になるのだ』

 『? その理由なら、別にこの地でなくてもいいだろう。それこそ世界中にその条件に当てはまる場所がある』

 『いや、それは違うのだ。ただ食糧が多ければ良いのではない。我らが……いや他の者達もそうなんだろうが、何かを食べる時、その食物に宿る魔力を吸収するのだ。そして特に我らのような強い力を持つ者は、体を維持するのに魔力を大量に必要とする。そして、食物となる者達が宿す魔力は何故だか知らんが、その者が住まう土地に宿る魔力量によって変わるのだ。土地の魔力量が多ければ、魔物達の宿す魔力も多くなり、逆に少なければ、宿す魔力も少なく、というふうにな。そのため我らは探したのだ。我らの体を維持できるだけの量と質を確保しつづけられる地を。そうして見つけたのがーーこの森なのだ』


 ……え、それ初耳なんだけど!? …………あ、そっか魔物達は体を維持するのに魔力が必要。そしてその量は力が強くなるのに比例する。そして、それが極まったのが原初の竜王(おれたち)。もはや完全に食べ物を食べる必要はなくなり、魔力があれば体を維持できる。そして、この星は空気にも土地にも魔力が混じってるから、呼吸をするだけで、地面に触っているだけで体を維持できるっていうことか。なるほど。


 『理由は分かった。が、だからといって俺が出ていくつもりはない。それにここで暮らすだけなら別に支配者になる必要もないだろう?』

 『何を言っておるのだ貴殿は? 我らのような力の強い者達はそれぞれに縄張りを持っていて、自らの縄張りを奪いかねない者がやって来たら全力で排除するだろう? そして我らは常にそれに該当してしまうからな。その地で平穏に暮らすためにも支配者になっておかねばならぬのだ。……逆に貴殿は違うのか?』

 

 あ~、なるほどね。そういや地球でも縄張りってあったな。で、自分の餌になるような奴らならいいけど、自分の地位を脅かすような奴はさっさと排除。うん、分かりやすいが、俺は中身人間だしな、それにぶっちゃけ俺と比べりゃこいつら弱いから、それに当てはまらないんだよな~。


 『俺は違うな。別にこの森を荒らさないのであれば、ここに住んで構わないぞ』

 『……それで我らに何かを強いたりは?』

 『それもしない。繰り返し言うが、この森を荒らさないのならなにもしないし、自由にしてくれて構わない』 

 『……そうか。ならこの地を我らの住む地に決めよう。それから言葉遣いも改めよう。それが支配者への礼儀だからな』

 『いや、それは良い。なんかもうお前との会話はこれで慣れた。今、下手に変えられるのはなんか嫌だ』 

 『……そ、そうか。貴殿がそう言うのならばそうしよう。……そうだ、それから三つだけ願いがあるのだが、いいだろうか?』

 『ん? なんだ?』

 『一つ目は、貴殿の名を教えてもらいたい。我らはこれからこの地に住まうのだから、その支配者の名前を知らんのはまずい。貴殿ほどの存在だ、当然名持ちだろう?』

 『ああ、そうだな』

 『そして、二つ目が我らの一族の名を考えてほしいのだ。我らには個々に名はあるが我ら一族を表す名は存在せん。貴殿程の者に名を貰えるのならそれは後の子までの誉れとなろう』

 『お、おう。責任重大だな……。だが分かった』

 『そして最後に貴殿の本当の実力を見せてほしい。貴殿の力が凄まじいのは承知の上。だが、その存在が一体どこまでの高みにあるのか、それを知りたいのだ。……まあ、これは単純に我の興味だ。別に断ってもらって構わない』

 『いや、いいぞ。そうだな……よし、あれをするか』


 とりあえずボスからの願いはいずれも俺が叶えられるものばかりで安心した。まあ、二つ目は責任重大なんだが……、でも当てはある。


 『とりあえず、最初に俺の名だな。俺の名は地帝竜グランデル。原初の竜王との一人として神竜から与えられた名だ』

 『神竜……? それに一人ということは貴殿と同クラスの者が他にもいるということか?』

 『ああ、神竜は俺達よりももっと長く生きていてな。たぶん今の俺達よりも強いだろう。それに原初の竜王はあと二人(二頭)いる』

 『なんと……世界は広いのだな』


 まあ、後の二人といえば片方は世界で一番深い海溝の底に住んでるし、もう片方は年中噴火してる火山諸島の中でも一番デカい山の火口に住んでるから滅多に会わないだろうけどな。……そう考えると俺が一番これからトラブルに巻き込まれそうだよな……人間関係の。

 ほんと今更だけど何で、ここに住処構えたんだろう。いや、俺の属性的にしょうがないんだけどさ。


 『それから二つ目、お前らの種族の名前な。これはピッタリのがある』


 それは、初め白狼達を見たときにすぐに頭に浮かんだ名前。威風堂々とした雰囲気に、美しい白毛、そして何よりも狼の姿。それらは、地球の伝説や漫画、ゲームによく出てくるあの狼を俺に思い起こさせた。


 『お前らの種族の名前、それはーーフェンリルだ』

 『フェンリル……良い名だ。喜んでもらいうけましょう。皆の者、我らはこれからフェンリルと名乗るぞ』

 『『『ウォォォォォォォォン』』』


 ボスがそういうと一斉に白狼達が遠吠えをした。……うん良かった。たぶん気に入ってもらえたようだ。


 『さて、最後に俺の本気だっけか。じゃあ見ててくれ』


 そういうと、俺は口に魔力を溜め出す。そう俺がやるのは竜の一番代表的な攻撃方法ブレスだ。

 まあ、過去に一発ぶっ放したら山に大穴を開けてしまったという苦い思い出があるが、今回はちゃんと空に向かって放つつもりだ。……ただなんか不安になるのはなぜだろう? ……まあいいや。

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