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三頭と二十三人への転生記  作者: 水渡
間章 新しい友
53/74

第49話 VS白狼ボス

突然ですがお知らせ。

年明けにもう一本別のものを投稿しようと考えています。テーマは、王道テンプレ、ときたま転移(主人公達は元からその世界の人達です)

そちらを投稿した後も、こちらは続けます。二本同時進行となりますので更新ペース落ちますが、出来るだけ早めに投稿するつもりなので、よろしくお願いします。

 転移魔法で跳んだ先に奴は居た。


 (……近くで見るとなおさらでかいな。しかも結構強い)


 十数頭いる白狼達の中央、そこにボスらしきものが居た。


 まず、目立つのがその大きさ。千里眼で見たときにも感じてはいたが、改めて近くで見てみればやはり他の白狼と比べて段違いに大きい。そしてその体躯を支えているのは強靭な筋肉。それが全身を覆っており良く見れば所々に力こぶのようなものがあった。その上からまとう白毛は、絹のようにきらめきながらも一本一本に魔力が通っているのが分かる。恐らくはその強度もかなりのもののはずだ。さらに、開かれた口から覗く牙や丸太のように太い手足に備わった爪は、他の白狼達よりさらに大きく鋭い。


 ……と、ここまで白狼のボスを観察していてふと思ったことがある。

 

 


 それは白狼のボスに話が通じるか、ということだ。

 というのもーー


 (こうゆう強いボスみたいな奴ってラノベや漫画だと大抵話が出来るだけの高い知能持ってるよな~)


 ってことだ。

 もし、話せるのならなんの理由で来たのかについて聞いてみたい。その答えによっては見逃しても良い。……まあ、答えによっては速攻殺すんだが。と、その前に負け犬二匹を離して……よし。


 てことで、早速実験。ちょうど都合よく思念型の念話もミストに行った時に覚えてるから使えるのだ。


 『あ~、あ~、聞こえるか?』


 ビクッ

 

 『……なんだ? 急に頭の中に声が……。この声は、一体どこからだ?』


 最初はビクッとしたボスだったが、次の瞬間にはしっかりと答えが帰ってきた。


 『お、どうやら知能はあるようだな』

 『……まさか、この声は我の目の前のそなたか?』


 へ~、もう気づいたようだな。


 『ああ、そうだ。これをやってるのは俺だよ』

 『やはり。……しかし、これは一体何だ?』

 『これか? これは念話魔法だよ。思念型のな』

 『魔法……? 思念……? まあいい。それよりもそんなものを使って我に話しかけて何の用だ?』


 ありゃ、魔法については知らないのか。……いや、それよりも、


 『何の用だ、だと? それはこっちのセリフだ。お前らこそ俺の住処の森に何の用だ?』

 『……っ!! なるほど。やはり貴様がこの森の支配者か。……ならば話は早い。我がこの森の支配者になるためだ』


 おっと、いきなり呼び方がそなたから貴様に変わったぞ。そういや貴様って確か昔は尊敬語だったけど、今は見下す意味の方が強いんだよな~。それで今回は……うん、明らかに後者だな。しかも、この森をよこせと来た。


 『……へ~。急にここに来て何の用かと思ってわざわざ話しかけてみてみれば、速攻でケンカを売ってくるとは。……お前死にたいのか?』


 そう言いながら、俺は魔力に殺気を混ぜて少し解放した。……そういや前世の俺ってこんなに好戦的だったけな? まあいいや。


 俺が魔力を開放すると、白狼達が一斉に縮こまって震え出した。負け犬大量生産である。が、


 (……なるほど。言うほどはある。少ししか出してないとはいえ、俺の威圧に耐えるか)


 周りの白狼達が震え出す中、白狼のボスだけはしっかりと立ってこちらを睨んできていた。


~~~

 ボス視点


 我の目の前に現れた存在を見たとき最初に思ったのは、山、だった。だが、すぐに山ではないことに気づく。のそりと動く山はよく見れば長い首があり、大木すらも超える程太い手足とそれすらも超える尾を持っており、さらにその背には巨大な翼さえも備えていた。昔各地を巡っていた時に、ときたま見かけた者達に似てはいる。が、その存在感も、大きさもまったく違う。当時は強大と思っていたそれらも、今この存在を見た後ならば赤子程にしか過ぎぬと理解出来た。

 そして見上げるほどに大きなそれ(・・)は、いきなり我に話しかけてきたのだ。どうやって、と聞けば魔法というものを使ったらしい。まあ、魔法が何かは分からんが、どうやらこれは我が思ったことが直接相手に伝わるということは理解した。なので我は相手に対して答えを返す。

 ただ、これほどの力を持つ者……そうなれば恐らくこの存在がこの森の支配者なのだろう。ならば、なめられてはならん。なめられ従属を強制されでもしたらどんなことになるか分からんからな。だから、我は先手を打つことにしたーーつまりは、この森を渡せ、と。

 

 だが……だが、それは愚策であったことをすぐに理解した。山からの、死にたいのか、という言葉と共に発せられた尋常ならざる圧迫感。我のこれまでの生で経験したことないそれが、我らに一斉に襲い掛かってきた。

 それを浴びた瞬間、同胞達は一様に崩れ落ち震えだしていた。我はこの群れを率いる者としての誇りを胸になんとか耐えた。が、それ以上は何も出来ない。……我は一体どうすればいいのだ?

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