第47話 新たな存在
人物の容姿書くのやっぱ、難しい
俺達がミストに魔法を伝えてから200年程経った頃……
「ふわあ~~~」
「ふふふ。眠そうですね、地帝竜様」
現在俺は、住処にてだら~んと横になってだらけていた。その周りでは、精霊達がきゃっきゃ言いながら賑やかに遊び、ゆったりと吹いた風に森の木々の葉や地面に咲く花々は揺れるという穏やかな光景が流れている。
「だってな~、ここ200年ほとんど何にもやってないからな~。……あずさや夏葉は、なんか裏でこそこそやってるようだけど」
「あずさ、夏葉……というと地帝竜様と同じくらいの力を持たれている海王龍様と太陽竜様のことでよろしかったですか?」
ちなみに今、俺と話しているのは風の精霊王と言われるようになったリーフィアだ。
最初に見つけた時には全長20㎝くらいしかなく緑色の短髪と服という特徴を持って、元気いっぱい空中を飛びまわっていた彼女。しかし、現在では身長は160㎝程にまでなり、つややかな緑髪は腰まで伸びている。また、切れ長ながら少し垂れた目は、クールさの中に可愛らしさを、その目と共に高い鼻と肉付きの良い唇がバランスよく配置されたその顔は美しさを見事に表している。その優雅な仕草と相まってさながらどこかの令嬢のような印象を見た者に与えるようになっていた。
「そうそう。その二人」
「私は、まだお会いしたことがありませんのでいつかは会ってみたいものです」
「そういや、まだ会ったことなかったのか……。なら今度機会作るよ」
「それはありがたいです。あとの二人も会いたがっていましたから」
後の二人というのは、雷と土の精霊王の事で現在は少し離れた所でお互いに俺特製の剣を持って模擬戦闘を行っている。
ちなみに、二人共リーフィアと同じように最初に会った時とは比べようもなく大きくなっており、雷の精霊王ブリッツは180㎝、土の精霊王ソイルは2m越えまでになっている。またブリッツは細身ながら筋肉質、顔は細眉で目は切れ長、鼻は高く、その表情は爽やかそのもの。いわゆるイケメンというやつである。ソイルの方はといえば、分厚い筋肉を身に纏い、髪は短髪でその目つきには確固たる意思が宿り、ザ・無骨という雰囲気を纏っている。持っている武器はブリッツが剣で、ソイルが大剣である。
「そっか、そっか。二人もまだだったな。そういや俺も他の精霊王とは会ったことないし今度会いに行ってみようかな」
「ぜひそうされてはいかがでしょうか」
「ああ、そうするよ」
俺とリーフィアは、あずさ達や他の精霊王達の事で話が弾んでいた。……それが訪れたのは、そんな時だった。
「ん?」
「? どうかされましたか?」
「いや、どうやらこの森に魔物が入ってきたようだ」
「魔物……ですか? それなら毎日のように色々な魔物が出入りしていますが……」
リーフィアの言う通り、この森には毎日様々な魔物が出入りをしている。だから、俺が何故今それを気にしたのかがリーフィアにとっては謎なのだろう。
「魔物は魔物でも、いつもいるような雑魚じゃないな。相当強い魔力を感じる。それもお前らと同等か下手したらそれ以上だな」
「!! それは本当ですか?」
彼女達も伊達に精霊王とは呼ばれていない。≪王≫の名に相応しい魔力量と凄まじい威力の魔法、さらには身体能力を備えている。その彼女達と同等の強さを誇るのならば、他の有象無象のように捨て置けない。一度この目で見てみて、危なそうなら排除する必要があるかもしれない。
「ちょっと様子を見てくる。待っててくれ」
「それでは私も一緒に……」
「いや、下手をしたら戦闘になる可能性もある。その場合お前を巻き込みかねない。だからここで待っててくれ」
「……分かりました」
「それから、そっちの二人もな」
俺はそう言って、こっちの話に聞き耳を立てていた二人にも釘をさす。
「……やっぱり気づかれてたか。分かりました、地帝竜様。僕たちはここで待機しています」
「俺もそうします」
その言葉を聞いた俺は、うなずくとすぐさま森の中で動きやすい人間状態になり転移魔法を使って跳んだ。
~~~
(ここか。……居た)
先に千里眼で確認した場所に転移した。この森の中は全て実際に行ったことがあるため、どこにでも転移できるのだ。
とまあ、それはともかくとして。
(実際に見るとでかいな)
茂みの中から伺い見る俺の視線に居たのはーー狼だ。
狼といっても以前ミストを襲っていた黒狼ではなく、真逆の白の体毛をしている。そしてその足は太く、その先端に伸びる爪はたとえそれが岩であろうと軽々と傷つけられるように鋭い。また大きく裂けた口から覗く鋭い歯は、強靭な顎と相まってなんでもかみ砕くだろう。
だが、何よりも目を引くのはその大きさだ。
以前見た黒狼は、大きいものでも大人の男の胸くらいまでだった。しかし、この白狼はそれを優に越え人間と比べその三倍はデカい。そして、それらを備え威風堂々とした姿はまさしく≪王者≫と呼ぶに相応しいだろう。
(これは、思ったよりもマズイな……。下手したらこの姿じゃ手こずるかもしれない)
もちろん、この世界に転生してから数十億年をかけて技を磨いてきたのだ。負けるつもりはない。だが、相手が相手だ。手こずる可能性はおおいにある。傷を負う可能性も。
(どうする……。ここは周囲の被害考えないで元の姿に戻った方が無難か?)
しかし、相手は待ってはくれなかったようだ。
白狼がふと鼻をピクピクしたかと思うと、俺の方を向いて威嚇してきたのだ。
(……考えててもしょうがないな。今は、この姿で出ていって様子を見よう)
そう決意した俺は、自ら茂みから飛び出した。




