第39話 魔法伝授
まず、俺達が人間達に教えようとしたのは魔力を知覚することだ。
魔法を使うために必要不可欠な魔力。これは、動物や植物、又、大地や大気等とにかくこの世界のありとあらゆる存在に宿っている。
この存在を感じ取れないと、魔法を使うことも出来ないし、それどころか魔法の才能が一切無い可能性が出てきてしまう。
それほどに、基礎中の基礎かつ重要なことだ。
だが、これの習得には全く時間がかからなかった。
というか、兵士を中心に最初から出来る人が多かった。
兵士達が使っていた魔力圧縮弾や武器への魔力付与。これを習得していたおかげで魔力を感じる力を自然と養っていたらしい。
そんなわけで、次の段階にさっさと進むことにした。
次に教えるのは、火、水、雷、土属性の一番基本となる魔法だ。
それぞれ《ファイヤーボール》、《ウォーターボール》、《サンダーボール》、《アースボール》で、いずれも属性を球状にして放出する。
ここから先は、個人差によって得意不得意が発生するので、それぞれの相性を見極めていく必要がある。
もし、この四つに適正がない人が多いなら新たに風や難易度は上がるが音や光等の属性を教えることになるだろう。
ちなみに、よくラノベや漫画なんかで基本の魔法として数えられる風を最初に教えなかったのは、あまり教える種類を増やすと人間達が覚えきれないと思ったからである。
……別に忘れてたわけじゃないぞ。本当に、うん、ホントウニ……
ゴホン。
まあ、それは置いといて……
俺達は早速、魔法を教え始めた。
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「《ファイヤーボール》」
女王が右手を前に突き出し、そう唱えると手のひらに火が集まっていきサッカーボールほどの大きさへと成長したところで、前方に向かってまっすぐ飛んでいった。そのまま進んだ火球は岩に着弾するとジュッという音とともに着弾部を溶かした。
「うん、いいわね。なかなか高温になって威力もあるようだし。……これで既に追加で増やした風も含めて五つの基本魔法を覚えたことになったわ」
「しっかし、凄いな。他の人は良くて三属性、悪いと一つも出来てないってのに。これが格の違いか?」
「そんなことはありませんよ。皆さんの指導が良かっただけです。それに私が使った魔法は基本中の基本ということですし、威力に関しても海王龍様の足元にも及ばないのですから」
「またまた~。謙遜しすぎは良くないよ。魔法を教えられて、ほんの少ししか経ってないのに出来てるなんてすごいんだから」
「いえ、謙遜しているわけでは……。とにかく、私はまだ魔法を使い始めたばかり。もっと腕を磨かなければいけないのです」
本当に熱心だな。まあ、これからの自分達の安全にも関わってくるんだし当然といえば当然か。
……それよりも問題なのは、まだ一つも出来てない人だ。
俺達も人間達の警戒が薄れて居やすくなったが、いつまでも居るつもりもないし、もっと言えば出来るだけ早く出るつもりだしな。早めに出来てほしいんだが。
「なあ、一つも出来ない人の理由はなんだと思う?」
「う~ん、そうね……。魔法の制御がうまくいってないような気がするわね。一応全員それぞれ適正のある属性の魔法を発動することは出来ているようだし。後は、うまく制御できるかどうかだと思うんだけど」
「ねえ、思ったんだけど、漫画とかだと魔法を使う時呪文って使わない?もしかしたら、呪文があった方が安定するかもしれないよ?」
「呪文ね……。そうね、何もしないよりは試してみる価値はあるかもしれないわ」
「呪文っていえば、大抵の場合魔法的に意味のある言葉を並べてるイメージがするな。それをもとに考えてみよう」
俺達は、夏葉のアイデアをもとに呪文を考え始めた。
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「よし、こんな感じでいいかな」
「なにぶん作ったのが初めてだから若干不安だけどね」
「大丈夫だって。……よし、早速誰かに試してもらおうよ」
そういって辺りを見回した夏葉は、近くで風の初級魔法≪ウィンドボール≫に苦戦する兵士の一人に狙いを定めた。
「お~い、そこの人~。ちょっとこっちに来て~」
「?」
夏葉に呼ばれた兵士は、首をかしげながらもこっちに来た。
「君名前は?」
「ドルですが」
「じゃあドルさん。今≪ウィンドボール≫に苦戦してたよね?」
「ええ、まあ……」
「じゃあ、今から私が言う事を試してみてくれない?」
「? いいですけど……」
ドルは疑問を浮かべた顔をしていたが、やってくれるようだ。
「よし、じゃあやってみて」
「分かりました。」
そしてドルは呼吸を整え、魔力を練ると……
「風よ、我が手に集いて敵を打ち倒せ。《ウィンドボール》」
そう呟いたドルの右手に風が集まり、球状となるとそのまま放出。直線状にあった木に当たって砕いた。
「おお、すげえ。出来た、出来たぞ!!」
「よっしゃ、成功~。」
「うん、これ使えるわね」
「じゃあ、呪文皆に教えていこう」
そして、呪文を教えた結果、ほとんどの人が魔法が使えるようになったのだった。




