第34話 下準備
すみません、だいぶ間が開きました。
人間達に魔法を教える事を決めた俺達は、すぐに動き出した。
まずは、人間達を守るための結界を彼らに気づかれないように張った。
といっても、魔法を知らない人間達では違和感を感じることはあっても結界を探知することは出来ないだろうから、特に心配はいらない。
それから張った結界の種類はいわゆる魔物よけ用の物だ。
最初は、純粋に魔物が入ってこれないように物理的なものを張ろうとしたが、それだと人間達が出れなくなって混乱するだろうし、出れるような結界を張ったら張ったで今度は逆に入れなくなっちゃうため、それなら魔物を近づけないようにする結界を張ろうということになったのだ。
何より細かい調整もいらないし、魔力の消費も実体を持たない分少なくて済む。この一週間の間魔力量の少ない人間状態でいることを考えるとちょうど良いものだった。
結界を張った後は、ひたすら猛勉強が始まった。
あずさの音魔法により、人間達の会話をとにかく収集。
それを毎日千里眼で人間達が何について話しているのかを確認しながらずっと聞き続ける、という方法で行われた。
ぶっちゃけ、これがかなりキツイ。前世で英語のテスト前にやっていた一夜漬けを思い出してしまった。
まさか、異世界にまで来て前世と同じことをするハメになるとは……ハア~。
とはいえ、言葉の習得はかなり進んでいる気がする。英語でも言われていたが、やっぱりその言語に囲まれて過ごす環境に居た方が早く覚えられるという事なんだろう。……まあ俺達の場合は間接的だけど。
後、それから人間達に何の魔法を教えるかについて話し合った。
その結果とりあえず、今回は基本的な属性である火、水、雷、土の四つを教えることに決定した。
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そして一週間後……
「さて、一週間経ったけど……。二人共覚えられた?」
「え~と……、まあなんとかって感じかな」
「私もそんな感じ。まだ怪しいところも多いけどね」
俺達は、人間達の所に行く前の最終確認をしていた。
この一週間は結界のおかげか、人間達は魔物に襲われてはおらず無事である。
「あずさの方は?」
「私もまあまあって感じかしら。一応三人で念話を繋げ合ってフォローし合いましょう」
「あっ! 念話といえば改良の方はどうなったの?」
「そっちの方は、結構いけたわ。……そうね、一回経験してもらった方が良いかもしれない」
「お~。ちなみに念話って相手がいないと練習できないけど、どうやったの?」
「それは森下君に手伝ってもらって、ね?」
「ハハハ……。まあ、ね……」
「……なんかもりっちの反応が鈍いんだけど……」
「気にしない。気にしない」
(まあ、本当は自主的に手伝ってもらったんじゃなくて、強制的に、なんだけどね。)
今回言葉ではなく、思念を直接伝えるという念話魔法を開発するにあたり、あずさがとった方法はなんとも力任せのものだった。
……いや、時間が無かったってことは重々承知してるんだけど、それにしたって俺を実験台にして思念を送り続けるって方法は勘弁してほしかった……。
というか、最初の辺なんかまだコツを掴めてなかったせいか、ときたま凄まじい大きさの思念が届くなど一種の精神攻撃かと思ったほどだ。……まじで精神狂うかと思ったほどである。
普段はそんなことは思わないが今回に限っては確実に貸し一つだ。
「じゃあ、いくわね」
「OK。来い来い」
そういうと、あずさは俺と夏葉に向かって念話を行った。
『んッ。……へ~、こんな感じか~。なんかいつものとちょっと違うね。言葉では表せないけど……』
『まあね。今回はこれを補助として使うわ。まだ大勢に一斉に出来るほどじゃないから。それに二人はまだこの念話使えないしね』
『了解。……それじゃあ、準備も整ったぽいし、これから向かうか?』
『そうね。行きましょう』
そして、俺達は二度目の接触を果たすべく人間達のもとへ向かった。




