第31話 逃亡
俺が振り向いた先では、あずさが突いた黒狼を槍から外すところだった。
(ありゃ、先を越されたか……。まあ、いいや。他の獲物をっと……あれ、いない?)
獲物を探して、辺りを見回してみた俺の目に入ってきたのは、俺たち三人と人間達以外に動くものが無い光景だった。
(?)
俺は疑問に思いながらも一旦、あずさの元まで行くことにした。
「あずさ!!」
「森下君、念話……はもういいか。……お疲れ。もう黒狼はいないみたいね」
「ああ、あずさもお疲れ。だけど、倒し切るの早くないか?俺、まだ3~4体しか倒してないぞ」
「私も同じくらいよ。てゆうか、こんなに早く倒し切った要因は……」
「二人ともお疲れ~。いや~、気合入りすぎてたくさん倒しちゃったよ~。笑」
「……夏葉しかいないじゃない」
「なるほど……」
そういや、真っ先に着いて無双してたっけ……。
「夏葉、お疲れ~」
「お疲れ、夏葉。すごい活躍だったわね」
「へへ、でしょ~」
「ほんとに。ただでさえ手数が多い双剣が、光の速さと組み合わさることでエグイことになってるわね……」
「へへへ。もっと褒めて褒めて~」
「はいはい」
夏葉がもっと褒めてくれるようにあずさにねだっているのを横目に俺はふと、何か忘れているような気がした。
(う~ん、なんだろう……。なんか忘れてるような気がしたんだけど。………………あ、思い出した!!)
「ねえ、二人共……」
「? 森下君どうかした?」
「うん? もりっちなになに?」
「今、思い出したんだけどさ……。俺たち、前にこの世界の人間社会には積極的に関わらないって決めなかったっけ……」
「「あ……」」
「……」 「……」 「……」
「……もうそれやめない? なんかこの先も守れる気がまったくしないんだけど……」
「……でも、あまりに関わりすぎるのも問題な気がするのよね……」
「…………二人共、俺前世で聞いた都合のいい言葉を知ってるんだ。……ケース・バイ・ケースって言葉なんだけど」
「「……それでいこう!!」」
これにより俺たちの行動方針は、早速ブレることが確定した……。いいのか、これで……。
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俺たちが、今後の方針をブレさせた直後、状況が変化した。
…とゆうか、ここがどこなのかを忘れてた俺たちが悪いんだが……
「jんssjんvsじぇいf!!」 「gんvksjrんjvわpfhf!!」
「あれ、周りが騒がしいような……」
そう思って、振り返った先にはこっちを指さして、明らかに警戒と恐怖が入り混じった目でこっちを見ている人間達が居た。中には、武器を構えていたり、手のひらに魔力を集めている者もいる。
「あ、やっば。ここが人間の居住地なの忘れてた……」
「とりあえず、今は逃げよう!!」
「ええ。このままじゃ、せっかく助けた人間と殺し合いになりかねないわ」
俺たちは、即座に逃走を開始した。




