第30話 黒狼退治
本日二話目
あずさ視点
(……やっぱり、スピードじゃ私が一番遅いか)
二人が戦い始めたのをみながら、私はそんなことを考えていた。
とはいえ、それはあらかじめ三人の適正属性が判明した時点で分かっていたことだ。
適正属性以外も使えるには使えるが、どうしても燃費やら威力面で劣る。そんなのを実戦で積極的に使いたくはないという、良く言えば堅実的、悪く言えば臆病といえる私自身の思いも相まって、速さで勝る光や雷属性の移動魔法より得意の音属性を私は使っている。
私はそんな自分の性格をしっかりと自覚しているつもりだ。
だから、私は二人にスピードで勝とうという気持ちは最初から無い。
それでも……
(それでも、こういう場面で一番最後になるってのは、なんか嫌ね。…まあ、すぐに遅れは取り戻すつもりだけど)
そして、防壁が近づいてくると、槍を構え前の二人と同様に防壁の上へと跳び乗る。
(とはいっても、この辺りは二人が無双しちゃってるから、あまり黒狼がいないわね。しょうがない、私は討ち漏らしを狩るか)
そう考えた私は、二人から逃げようとしている黒狼への追撃に回ることにした。
そして、辺りを見回すと夏葉から逃げようとしている黒狼二体見つけた。
(まずは、あの二体ね)
狙いを付けたら、まずは音属性を槍に付与。振動させ、貫通力を上げる。それから音属性の移動魔法≪音速移動≫を再び発動する。
黒狼達の横合いから、素早く近づき槍を二閃した。
音の速さで振るわれた槍は、振動によって貫通力を上げられ、その相乗効果によって易々と二体を貫いた。
(次は……)
貫いた黒狼から槍を抜きながら、次の相手を探していると一体が防壁の上から、内側へと降りるのが目に入った。
(まずい……)
そう思った私は、右手でピストルの形を作ると、人差し指に魔力を集中。
もちろん、放つのは魔力の圧縮弾ではなく魔法だ。
そして、内側に降りた黒狼に狙いを定めて魔法を発動。
水魔法≪水銃≫
これは圧縮した水を対象に向けて放ち、貫通させる魔法だ。
≪水銃≫はあずさが創作した魔法の一つで、自分の中では初級くらいの魔法だが、その貫通力は折り紙付き。
そして、放たれた≪水銃≫は寸分違わず、黒狼に命中し、倒した。
(よし。次ね)
狙い撃った黒狼が、動かないのを確認した私は、森下君の後方の辺りで機を狙っている様子の黒狼を発見し、また≪音速移動≫で接近、槍で貫いた。
(さてと、次は……)
槍を黒狼から外しながら、辺りを見回してみたが、もう敵はいなかった。




