第29話 救援
一旦切ります。
『嘘だろ。魔法が使えないかもしれないだって……』
『今のを見てると可能性高そうね。これは、ちょっとヤバいかも』
『いや、だいぶヤバいって!……あ、見て!黒狼達が防壁に!』
俺たちが焦り始めたなか、魔力の圧縮弾をくらいながらも、黒狼達は防壁にたどり着いていた。
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防壁にたどり着いた黒狼は、グッと脚に力を籠めると一気に防壁の上に向かって跳び上がると、人間に向かって襲い掛かった。
防壁の上で攻撃をしていた人間は、跳び上がってくる黒狼を打ち落とそうとするが、圧縮弾では威力が足りないせいか黒狼の動きを止められず、防壁の上への侵入を許してしまっていた。
その後も、次々と黒狼が防壁へと跳び上がり人間へと襲い掛かっていく。
それに対し、人間側は遠距離攻撃から近距離戦闘への変更を余儀なくされている。
しかし、人間が持つ武器は木を削っただけのものや、石をとがらせたものを木の先端に括り付けたものがせいぜいで、中には素手で戦う者もいるほどだった。武器や素手に魔力を纏わせて強化をしているようだが、それも粗削り感が否めずあまり効果をもたらしていない。
『まずい、まずすぎる。もう助けに行こう』
『うん、急ごう』
俺たちは急いで、救援に向かった。
……一応武器を持ってきて良かった~。
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俺たちは、一斉に駆け出した。
その際にそれぞれの得意属性による移動魔法を使ったため、光を使う夏葉が一番早く、次に雷の俺、最後に音のあずさの順についた。
人間と黒狼の所まで、近づいた俺達はそれぞれ武器を抜き放ち、黒狼へと切りかかった。
まず、最初についた夏葉が双剣を抜き放ち一気に防壁の上に跳び上がると、それぞれ右の刀に火を左の刀に風を纏わせた。
そのまま、近くの黒狼へと向かい二頭を切り捨てる。その勢いのまま近くにいる黒狼に襲い掛かっていった。
まず他の人間を襲っていた黒狼へと素早く近づき右の刀を横一線にふり黒狼の首をはねると、右足を軸に風を補助に使いながら、回転。後ろから襲ってきていた黒狼の首もはねた。
夏葉が回転を終え、一瞬硬直した所を狙い上から黒狼が襲い掛かってきたが、左の刀に纏っていた風が伸び、風の刃となって黒狼を貫いた。
力を失い落ちてきた黒狼には目もくれず、夏葉は再び走り出すと、器用に人間をよけながら、まるで舞を踊るかのように黒狼を切り捨てていく。
(わ、夏葉やべえ。これは負けてらんないな)
そんなことを思いながら、夏葉に遅れて到着した俺は、防壁の上に跳び乗り近くの黒狼に向かって走り出す。
黒狼に近づくと同時に居合切りによって、その首を飛ばす。
俺は抜き放った刀に雷を纏わせ、斜め前にいた一体を袈裟斬りにして切り捨てると、さらに右足を引き、構えを突きの態勢に変え一気に加速。
その直線上に居た黒狼を貫きながら、雷を伸ばすことでその向こうに居た一体も貫いた。
(よし、次だ)
そう振り向いた先では、あずさが槍で黒狼を貫いていた。




