表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
タイム・スパイラル  作者: やあやあやあ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

93/128

#”20→30” 白昼の刻 #1

俺はもうだめだ。俺の心が白く染まる。この世界に仕組んだ運命はもうがんじがらめでほどけない。そして、途方に暮れた俺を糾弾する声は彼方からやってきた銃弾のように俺の心を貫いた。「逃げてるだけ、言い訳をしているだけ、すべてあなたの自業自得なんでしょッ!あなたは私と違って自由だった、あなただけは、盲目的不自由に縛られていないあなただけは、私の私たちの希望だったのにどうしてあなたはこの結末に陥ってしまった、陥ってしまったんだッ!」俺はその言葉に何も言い返すことができなかった。俺は地面に倒れたまま動くことができないで胸に開いた風穴からは漆黒の血が流れていた。「どうして何も言い返さないッ!そうさ、お前は諦めているんだッ!生きることに、そしてこの私にッ!そう、だからお前は希望に縋って絶望に成り果てて死んだんだ。」俺の意識はその言葉にその叫びによってこの死んだ体の中に閉じ込められているかのようだった。俺の体にはもう感覚が無かった。胸にあったはずの痛みは無くなって、身体の存在がわかるような感覚も無くなって、そうそれはまるで俺という個の境界のようなものが無くなってしまったかのようだった。だけど、俺の記憶には胸を貫いた痛みが残っていた。記憶となってそれは俺の意識にこびりついていたんだ。

「生と死は同じ。どちらも一度きりで、とても苦しいものでしょう?だけど、死んだらお終いなの。死には先が無い。そう、私たちはだからこそ生きていくしかない。今までだって私たちはそうやって生きてきたはずだ。そう、逃げることなんて出来ないこの道を歩いていたはずなんだッ!たとえ、それが死という名の運命を前にしたとしてもッ!」

~~~

「運命、それに例外はない。あったとすればそれは罪だ。いつか、この報いが罰として還ってくる。」そう言って私の前で笑う私が捨てたはずの面影。「どうして?あなたは苦しかったはずでしょう?どうしてそんなに幸せそうに見えるの?」私が私の右腕に触れる。次の瞬間、その手には消えることのないタトゥーが現れた。「”運命、それは今を蔑ろに、無駄なものへと貶める言の葉だよッ!”なんて、今のあなたにとっちゃ劇薬かな?ねえ、夜見?」その声は、その私の口から出てきたその声は私のものではなかった。どうして?「まだあなたは生きれると思っているの?あなたは私から逃げていたというのに?残念だけど、それも終わり。あなたの約束は今果たされた。」「誰?あなたは...」目の前にいる私?は少し笑って言った。「私はクロウス、執行人だ。」

~~~

僕の目の前で彼女が死んだ。その瞬間、僕の世界は意味を失って死んでしまった。目の前で止まることのない惨劇、宇津野がその手に持つダガーナイフで彼女を、夜見をズタズタに引き裂いていく。僕は、この現実を前にして僕はこの何もできない、動くことのできない、ボロボロの自分を呪っていた。どうして動くことができない、どうしてトランス能力が使えない、どうして宇津野は...その時、僕は気づいた、彼が、宇津野がそのナイフを彼女に突き刺しながら、その顔に微笑みを浮かべていることにッ!

~~~

俺はその憎たらしい顔面に銃弾を叩き込んだ。吹き飛ばされる彼の顔面。彼はそのまま地面に倒れ横たわった。「俺の代わりに死んでくれよッ!神様ァ!」俺はその顔面に、銃弾を追加で三発撃ち込んだ。その弾丸が彼の顔面をぐちゃぐちゃにした。「そうだ、お前はその顔がお似合いだッ!」時田が驚いたようにこちらを見ていた。「どうして?」「時田?”どうして”だって?フフフ。見てみればいいだろ。お前の持つ予言の書を見ればいいだろうよッ!」その言葉に彼は黙っていた。「やっぱりなァ!そうだろ、お前の書はもう意味を失っているんだろッ!そうさ、その本はただのお前の計画書でしかないんだよッ!そうだ、お前のせいでみんな死んだんだ。裏切ったって?違う、裏切っていたのはお前だったんだよ。時田ァ!よくも今まで騙してくれたものだなッ!そうだ、お前は神でも何でもないペテン師なんだよ。そして今までお前が生きてこれたのは、神だなんて肯定されて生きてこれたのは、この俺達の今の犠牲があったからだろッ!許せない。許せるかよッ!俺は絶対取り戻す。取り戻さなきゃならないんだッ!俺のこれまでを、俺のこれからを、そして他でもない今この瞬間をッ!」

~~~

夜見は死んだ。部隊OKは壊滅した。宇津野は贄となった。弐趾原はぐちゃぐちゃな顔面を晒したまま、横たわり動かない。そして、時田はベールをはがされ、ただのペテン師に成り下がっていた。そして時田に銃を向けるのは跡野預御だった。彼女は不敵に笑っていた。辺りには何の音もしない。時田は何が起こっているかわからないでこの光景を呆然と見ていた。彼は目の前の現実を呑み込むことができない。死人が動き出すなんてありえない。しかし、今目の前で動き出した死体は左手にナイフ、右手に銃を携えて、彼女の背後にはすべてを呑み込む闇があった。それはここの空間を、時間を貪り喰らっていた。その姿はまさに獰猛。死体がその渦に吸い込まれ、粉々になって消えていき、渦は大きくなっていく。そして彼女の瞳には、大きく開いた瞳孔には底の見えない深淵が広がっていた。そしてその闇を見た瞬間、時田はかつての災禍を思い出してしまう。あの地獄を、忘れようと努めた終わりをッ!

続く

読んでくださってありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ