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タイム・スパイラル  作者: やあやあやあ
Angel

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六波羅万華鏡#3

俺はカレーを食べながら、テレビのリモコンを点けた。すると、俺の視界全体が燃え盛る炎に包まれた。俺は戸惑い、狼狽し、呆然とそのテレビの中の情景を眺めて......俺の脳裏によぎる嫌な考えが俺を焦らせていく。(そんなこと......)俺はその焦りの理由を嘘にしたいがために携帯電話を手に取って、電話をかける。(頼む、出てくれ。)そう祈りながら......しかし、その電話はずっと震えているだけだった。


俺は居ても立っても居られなくなって、この家の玄関から飛び出して車に乗り込んだ。暗くなっていく周囲が俺の気持ちを代弁しているように思えて仕方ない。俺はこの二車線道路の大通りを進んで、この坂を駆け上がって......そしてそこには光陰高校、かつての母校の変わり果てていく姿があった。俺はその光景を前にして、何もすることができないでいた。そう、俺はただテレビで広がっていたこの光景を信じたくなかった。そう、確かめたかったんだ。こんなニュース、嘘だって思いたかったんだ。だけど、嗚呼、俺は何をしているんだろうな?俺の瞳にうつるこの光景はテレビで見た情景とは比べるべくもない、凄惨な光景だった。俺は近くの路肩に車を止めて、この光景から瞳が離せないでいた。そして電話をかける。彼の電話番号に何度も何度もかけてかけて、そしてその電話の震えが急に止まって......「おい、波切ッ!無事か?」「・・・」その電話から聞こえてきた声は、怨嗟だった。


俺はソファの上で起き上がった。叫び声をあげながら......俺の中で渦巻いていく焦燥感。その焦燥感はあの時のように、この俺を急かしていく。そして俺の行き着くところ、あの眼前に広がる炎の海へ飛び込ませようとしていく。俺はそんな自分自身を落ち着かせようとして、その瞬間、確かに聞いた彼の声を思い出してしまう。始まる過呼吸、俺はその場でのたうち回ってしまう。


「おい、いくぞ。仕事だ。」彼が俺に問いかける。彼は(またか......)とでも言いたげな表情を浮かべていた。「どこへ?」「まさかお前......昨日、テレビを見ていたんじゃないのか?やれやれ、流石ヘボ探偵と呼ばれるだけのことはあるな。」「うるさいなッ!昨日は疲れてしまって、何も手がつかなかったんだッ!」「まあ、あんな料理を作っている時点でわかってはいたけどさ......適当カレーだっけ?」「やめて......そんな俺の一時のテンションを冷静なトーンで話さないで。恥ずかしいから。」「へえ。お前にも恥ずかしいなんて感覚があったんだな......」「黙って。」「ハイハイ。」俺たちは現場に到着した。そして周囲を見渡していく。


この家は一軒家だった。昨晩、この家が燃えているとの通報があり、消防隊が駆け付けた時には、尋常でないほどの大きな火柱がこの家を包み込んでいた。消防隊は懸命な消火活動を行うが、その火柱は一向に収まる気配が無かった。消防隊は近隣住民に避難を呼びかける。そしてその住人の避難が完了した後、その炎はさっきまでの勢いが嘘であったかのようにたちまち勢いを失った。

この家は全焼し、その焼け跡から一人の遺体が見つかった。その遺体はバラバラになっていた。


「そしてその遺体の頭は未だ見つかっていないと......」俺はこの事件現場にため息をついてしまう。なんておぞましい事件なのだろう。そして俺がそんなことを思ったその瞬間、この場に漂っている焼け焦げた臭いの中に、血の匂いが混じったような気がした。「そしてこの事件の出火原因も未だわかってはいない。あの火柱の理由もな。」俺の前で話し続ける一人の刑事”九留智海”は困ったような、深刻そうな表情を浮かべていた。しかし、彼の状況の説明は、そんな表情を感じさせない簡潔で明瞭な説明だった。俺はそんな二面性のあるその刑事の顔を疑うように覗き込もうとして、「どうしたんだ?」俺はその刑事と瞳が合ってしまった。「......なんでもないです。」「すいませんね。彼、火事の現場にトラウマがありまして。」俺の背後で声がした。そして俺と刑事の間に彼は割り込んだ。「そんなことよりもこれを見てください。」彼はこの短時間でもう何かを見つけたのだろうか?「これは......ガラス片?」「その通り。これはこの場に散らばっていたガラス片の一部。私はこの周囲を見渡した時、地面が少し光っているように見えましてね。その光を拾い上げて見たのがそれですよ。」何を言おうとしているのだろう?俺は彼が何を言わんとしているのかわからない。でも、彼の言葉の節々からは自信が漂っていた。刑事は呆れたように話しだす。「それがなんだっていうんだ?」「そうですね。では、周囲の地面を見てください。」彼はもっていたライトで地面を照らす、そのライトで地面に散らばっていたガラスが光っていく。それがなんだっていうのだろう?「なるほど......お前の言いたいことは分かった。」わからない。俺にはわからない。「フフフ。まだ憶測ですがね......」彼らはエスパーなのだろうか?いつの間にか、俺は彼らの言葉足らずの話し合いから追い出されてしまっている。そんな今が悔しいと思う俺は、彼に負けじと周囲を見渡した。そして、俺の視界の隅で何かが緑色に光って......俺はその光に近づき、それを拾い上げた。それは緑色のサングラスだった。そのサングラスは煤塗れだったが、それ自体に傷は一つもついていなかった。

読んでくださってありがとうございます。

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