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タイム・スパイラル  作者: やあやあやあ
Angel

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第三十七章 ......夕闇のプロムナード 第2話

五月雨「それでも、カウント5秒前、5、4、3......


さあ、始まりましたね。今日の夕焼け散歩。

本日のゲストは港さんと時田さんです。

港「コンニチワ。」時田「やあ、どうも。」

港さんは、本日がこの番組に初出演したということで

何か一言お願いします。」


私は彼らを見る。

私が振り返ってみた彼らの顔は、

とても疲れているように見えていた。

どうして、そんな態度で、どうしてそんな疲れたような顔で

ここにいるのだろう?なんて失礼な態度なのだろうか?

そう思って、同時に自分自身が嫌いになっていく。

彼らの退屈な態度を詳しく描写しているのは

他でもない私だって、気づかされてしまう。

ここに私なんていないなら

私は彼らの姿を何気ない日常の一幕だって思うことができたから。

嗚呼、ゲストなんて呼ぶんじゃなかった。

初めから私独りで、今までやってきたように、

この番組を回していけばよかったんだ。

どうして私は彼らを私の夕焼け散歩に呼び込んだのか、

もう私はわからないと、嗚呼なんて今更ッ!


私は彼らを殺したくなった。

まだ駄目だ......夕焼けが沈んでここが闇に包まれたその時まで

待たないとねッ!アハハッ!


はやく堕ちろッ!地平線の向こうへと、死んで逝けやッ!

そんなことを思いながら見ている夕日はなんて色褪せて見えるんだろう。

でも、私はそんな夕日も綺麗だって、美しいって思ってしまう。

そんなこと、もうどうでもいい。美しい?綺麗?

なんて馬鹿馬鹿しい。

そんな私の夕日と全く同じこの夕日を眺めて、綺麗だって言ってくれる

そんな誰かなんて存在しないんだよッ!

なら、こんな番組だっていらないじゃない......ねえッ!


夕日が死んで、砂浜が赤黒く染まって、

私はこの光景を綺麗だって思ってしまう。

海の青黒さが砂浜と対比する。星のきらめきが

砂浜に反射して、そこに露わになる銀河。

そして私はその銀河を踏みつけながら、

その海に向かって歩いていく。

もう、去来する波は消えていた。

私を避けるように海は割れていく。

そしてそこに現れたのは階段だった。

それは遥か底まで続いており、先は真っ暗でわからない。

でも、私はなぜかこの先に何があるか、知っているような気がした。


私はこの道が、この階段が好きだった。どこまでも続いてくれている

そんな底知れない道が好きだった。

私はずっとこんなどこまでも続いている道を追い求めていたんだ。

道がある限り、私はどこまでだって歩いていくことができるって

そんな自信をもらえたから。でも、そんな思いを道はいつも踏みにじってくれた。

裏切ってくれた。そう、私はそんな道にいつかこの報いを返してやりたいと

思ってしまっていたんだ。


「やめてッ!」嗚呼、遠くからカモメの鳴き声が聞こえる、

何をしゃべっているのかな......?


鳥の声に意味はあるのだろうかな?

もし鳥の鳴き声が、鳥通しの言葉なら、ただ情報をつたえるだけでなく

そこに文化が、表現が、気を遣う、空気を読むなんて

言葉の役割があるのだろうか?

もし言葉なら、なんて素敵なんだろう。

彼らはいつも唄で意思疎通を図っているなんて

なんてロマンチックなんだってね。

でも、それがただ情報をまき散らすだけの声なら、

なんて耳障り、なんて鬱陶しい、なんて気持ちが悪いのッ!


彼らは鳴き声で私たちに報いを返しているんだろうな。

声しか出せない彼らが、言葉を使う私たちを羨んでいるんだ。

でも同時に、その言葉で自分たちの首を絞めている私たちを

嘲笑ってくれているんだろうな。


私はずっと、長い間この階段を降り続けていた。

このどこまでも伸びる階段を、道を歩き続けていた。

私はこの道を歩いているのが好きだった。

この道を歩いている私が好きだったから。

そして終に私はこの道の存在しえない終着点に辿り着いてしまった。

嗚呼、こんな時、こんな今を盛り上げて、

あの太陽の代わりに照らしてくれるような

そんな希望(ゲスト)がいたならなァ!


五月雨「さあ、始まりました。今日の夕闇散歩。

本日のゲストは......」

希代「こんにちは。」

五月雨「......誰?」


舞台は移ろう。

時刻はもう21時を回り、ここはどこまでも漆黒に包まれた

深淵の底だった。ここから何も眺めることはできない。でも、

ここならだれにも見られることはない。そう、そのはずだった。

私がこの今へ皮肉を込めて放った声を言葉なんて勘違いした誰かが、

私に声をかけていた。

希代「......誰?なんて酷いな。あなたが僕を呼んだくせに。」

五月雨「嫌だ......そんなことって......」

希代「やっぱり、無駄だったみたいだな。」

読んでくださってありがとうございます。

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