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タイム・スパイラル  作者: やあやあやあ
Angel

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聖戦~2・7~  後編

~~~反響する断末魔、砕けていく意思。そしてその悲鳴の中心は私。~~~


紙に描き出す死にざま、再現されるかつての絶望。それはまさに過去を絶望にしていくような、ノストフォビアの世界だった。彼ら、私の同胞はそんな光景を嘲笑う。その笑いは、まるでそんな光景を俯瞰で見ることができた彼らは、決して見ることの叶わない、そんな世界が広がっているそんな光景は、この世界の方から、彼らの存在を肯定してくれているようだって感じてしまっているのだろう。そう、まるで彼らはこの世界の神にでもなったつもりで、その敵の存在すら、不明瞭で取るに足らない存在に見える、かつて感じていた死の恐怖だって、なんてことのないことのように思えてしまう。そう、そしてそんな死の薄まり、転じて生への尊重、まるで生まれ変わったように思えてしまうこの瞬間が、彼らがこの世界を自分事のように生まれて初めて捉えることができた、この世界にもとより存在して、決して気づくことのできない、まさにそんな奇蹟の輝きだった。


そんな輝きの中で、くすんで見える敵が、彼らにとって邪魔にうつる。もしこの世界に彼なんて存在しなければ、もっと素晴らしい光景が広がっている、そう彼らは思う、確信する。そして、そのために彼らは動き出す。まさに、彼らが生きているこの世界を彼らだけのものするためにッ!


そんな世界、まさにそんな今のままで、永遠を刻みつづけて...

そんな世界だけでいて、他の世界なんて嘘にして...

彼らは自身のサイン能力を発動(カミングアウト)した。


彼らはサインを共有しているため、彼らの能力は独りで自己完結することができず、相互補完する形を取っている。彼らのサイン能力は大きく分けて、二つの役割に分かれていた。「記録者」と「記憶者」その二つの役割に。


===

ただ数が増えただけ、そう俺はそう思っていた。しかし、彼女の周囲、白装束の服を着ている奴ら、彼らの瞳、まるでその中にあった青色、まるでどこまでも澄み渡るそんな青空を目の当たりにしたその瞬間、俺は気づいてしまう。この能力は、彼女だけじゃない。この能力、この色彩は、彼、アトロの解釈が加えられている、そんな力なんだってことに。


俺はその能力を知らなかった。彼女の能力は彼女の奴隷、意思なきスレイブを創るだけだって、俺は思っていたから。(思っていたよりも、楽しめそうだなァ!)俺のナイフを握りしめている手が熱くなる。そう、まるでそれはこの今を手放すまいとするように。


彼女の周りにいる白装束の数は倍になっていた。まるで俺がこのくすんだ瞳を称えている、彼女の奴隷を殺してから、その数を増やしたような...その瞬間、その陣形の中から9人の人影が俺に向かって飛び出した。(恐れもなく、この俺に向かってくるのか?)俺はその俺に向かってくる奴らに、鋭利な刃先を突きつけて、一人一人切り捨てていく。(やっぱり、所詮彼女の操り人形に過ぎなかったか...)俺の背後、過ぎ去りし傷痕には、彼らの死が磔になっている、そんな光景が広がっているはずだった。しかし、俺は音を聞く。それは存在しえない音、俺の背後で何かが動く音がした。俺は振り返る。そして俺は振り返った先で、全くの無傷な彼らの姿を目の当たりにしたッ!


どうして?俺は彼らの首を八つ裂きにしたはずだった。なのに、彼らは生きている。彼らは何も驚く様子もなく、俺の方を見て、その口元に俺を嘲笑うような笑みを浮かべていた。なんて悪趣味な笑みなんだろう。まるでその笑みは俺の今の行動、その一挙手一投足のすべてを馬鹿にするような、そんな姿だった。彼らは白装束の服、その左手に銃を携えて、俺にその銃口を突きつけていた。そしてその右手には、何かの破片のようなものを握りしめていた。その破片は彼らが握りしめていたために、その手のひらを傷だらけにしてしまっていた。なのに、彼らは全く痛がる様子を見せない。そして彼らは、その破片をまるで刃物のように使う。その姿はまるで、俺がナイフを使っているかのように。俺から離れている四人が、引き金を引く。響き渡る銃声、そしてそれが合図であるように、彼らは俺に向かって走り出す。その破片を逆手に、まるで俺がナイフの持ち方を真似るようにッ!


銃弾を俺はこのナイフで切り刻み、迫りくる彼らの首をゆっくりと切断する。そう、傷なんて生ぬるく確実に殺すために、俺が彼らを確実に殺すことができると確かめるそんな殺し方をし続けていった。そう、そして俺は確かに彼らの首を切断し、地面へと切り落とした。しかし、彼らの頭は切断されたにも関わらず、地面に横たわったまま、俺の方に視線を向け続け、微笑みを称え続けている。そして彼らの身体は、まるで何もないというように、首のないまま動き続けていた。俺はそんな彼らの姿を見て悟ってしまう。彼らへの攻撃は、意味がない、そんなことに。


俺は攻撃目標を変える。その円陣の中央、彼女自身、その首にこのナイフの刃先を向ける。そして俺はそのナイフの行く先に疾走して、その行く手を阻む彼らの首を跳ね飛ばしていく。しかし、彼女の周囲を取り囲み円状の陣を構成しているくすんだ瞳をしている彼らの首を跳ね飛ばしたのに、彼らは動き続けていた。そう、その様子はまるで、俺に向かってきた彼らの姿に重なって見えた。俺は、何でもない彼女の陣形の外側にいた奴を殺した時のことを思い出していた。その時は、確かに首を跳ね飛ばしたその瞬間、地面に倒れ動かなくなったはずだった。あの首を跳ね飛ばされても、何でもないのは、あの輝く瞳を持っている奴らだけだって、俺に向かってくるそんな意思を持っている奴らだけなんだって、俺はそう思っていたのに。まさに今、そのくすんだ瞳を持つ彼らは、転がった首を拾い上げていた。まるで、何でもない、ありふれた普通のことのように、その首を持っていた。俺はそんな彼らの姿に後ずさってしまう。


===

私は後ずさった彼の姿を見て、「勝てるッ!」、なんて思っていた、いや確信していたッ!

記録者、彼らは感じたすべてを記録する。彼らに対する攻撃はすべてただの記録と成り果ててしまうため、彼らへの攻撃、干渉は一撃による絶命以外において意味を為さない。また、彼ら自身の行為すべては記録になってしまうため、彼らも敵へ攻撃をすることはできるが結果としてダメージを与えることは

できない。そして彼らが記録したすべては、私の聖遺物、無垢の象徴(最初の唄)に追記された事柄となる。


記憶者、私たちのこの世界(ストーリー)の共同著者。彼らは記録者の創り出した記憶をそれぞれの意思に基づいて解釈する。そして私は彼らのその解釈を感じて、どの解釈を選択するのか選択することができる。今の場合なら、「彼らは首をその敵のナイフによって切断された。しかし、それは致命傷には至らない。彼らは未だ意思をその身に宿し、攻撃を続けていくッ!」私はその解釈を追記した唄を、高らかに宣言すれば、この解釈は記録ではなく、私たち全員の経験(キオク)となる。まさに一度体験しているような、もともと存在していたような、まさに私たちのこころに宿りし本能にあらかじめ存在していたように、私たちにとっての当たり前になってしまう。そう、私たちはもう彼のナイフによる攻撃、それによる首の切断に対して無敵になった。そして、私たちは彼の首が切断された場合、瞬時に攻撃に転ずることも可能になった。彼が私の陣形に狙いを変えて、疾走し、彼が私の陣形の意思なきスレイブの首を跳ねて殺していく。しかし、首を跳ね飛ばされた彼らは、もう死ぬことはない。彼らは首を拾い始める。そして、その手には銃が握りしめられていた。一発だけ弾丸が込められた、そんな銃を。彼らは首を右手で拾い上げて、そして左手に握りしめられていたその銃の銃口を向けた。その瞬間、響き渡る銃声。彼は後方へと後ずさった。しかし、もう遅い。

===


俺が後方へと後ずさった。その瞬間、俺の四方八方から銃声が響き渡る。気づけば、俺が首を切断した七人がその首を持っていない左手に銃を携えていた。いつの間に?そして俺の背後には、俺の攻撃が通用しない奴らが銃口をこちらに向けていた。俺は銃から放たれる銃弾、その動きを捉えようとして、その刹那、俺の胸がなにかに貫かれた。それは銃弾?


俺の身体を貫いたその銃弾は、俺が銃声を聞いたその直後、俺の胸に三発、俺の左腕を二発、貫いていた。その銃弾が俺の身体を貫いたのは、まるでその銃声を聞いたその瞬間だったから、俺は銃弾の動きすらも感じることができないで、俺の身体に風穴ができるまで一切気づくことも反応することもできなかった。ありえない、そうありえないッ!俺が反応できない、そんな銃がッ!


その時、俺の背後から銃弾が、九発。俺の身体を通り抜けていった。俺は感じてしまう。俺の身体が貫かれたような、俺の身体から飛び散る血、その感覚を感じて...次の瞬間、その感覚はまるで幻のように、確かに胸にあけられた九つの風穴は消え失せてしまっていた。俺がそんな幻に戸惑ってしまっていると、俺の正面、彼らの陣形が大きく変貌する。彼らは彼女を中心に円形になっていた。しかし、今、彼女の陣形は俺の見ている正面から、口を開くように開かれた後、彼らは彼女の背後で俺の視線と垂直になるように、直線状の形で整列した。俺から見て、彼女、白装束の十九人、そして俺が良く知っている彼女の能力が創り出せる本来のスレイブの順で並んでいた。そして彼女は、意気揚々と告げる。「残念ながらチェックメイトね。」「チェックメイト?何を言っているんだッ?まだ始まったばかりだろうが。」そう俺は、この状況を、呑み込もうとしたその瞬間、彼女は告げたのは世界の終わりだった。「空間がうねる。あなたはかつてこの描写が、主観交じりでまともじゃないって言ったよね。でも、たぶんそれはあなたが今まで不死身で無敵だったから、そんなことが言えるんだよ。そう、あなたが今から知るのは、敗北、どうしようもない死そのものさッ!さあ、えらべッ!この終わりに身を委ねた安楽死か、私に聖遺物を渡すことによる自殺かッ!」俺は彼女を睨む。チェックメイト?何が終わり?俺は生きているのに、どうしてお前が俺の終わりを告げる?告げることができる?嗚呼、そうか、お前は神様気取りなんだッ!お前は俺の生きている世界を死んでいるなんて断じるんだ、断じることができるんだッ!「嗚呼、わかった...なんていうとでも?この神様気取りがッ!」お前は軽蔑していたんだろう?この俺をッ!俺は楽しんでいたというのに。この対等な意思のぶつかり合いを、殺し殺される痛みの破裂を、そしてそんな決着を、約束されている終わり、その到来を待ち望んでいたというのにッ!お前はその俺をまるで上から目線で見下していたんだ。そんなの許せないなァ!お前は俺達がもうどうしようもないなんて、知っているというのにッ!嗚呼、許せるかァ!「チェックメイト?終わり?馬鹿馬鹿しい。そんなのはこの世界をゲームのように単純に捉えてしまっているから出てきてしまう、そんな言葉(Word)なんだろうよ。あなたは気持ち良くなりたいだけなんだ。そう、まさに俺の絶望を煽って、その様子を見て楽しもうだなんて、見え透いてまさに、幼稚。そして、そのことに気づけてすらいないあなたは、本当、馬鹿なんだな。」「フフフ、何とでもいうがいい。しかし、もはや何を言ったところで私の勝利はもう揺るぎはしない。お前は死ぬ運命なんだよッ!今、ここでッ!」空間がうねり、渦を成す。彼女を中心に白色の渦が湧き上がり、彼を中心に黒色の渦が湧き上がる。その渦の色彩は彼らの向かい会う距離、その中央で拮抗していった。


===

抗うなんて、もう無駄でしかないのにッ!もう、あなたは勝ち目がないのだからッ!私はあなたを絶命させる、そんな解釈を手に入れていた。「彼の背後、そこは完全は死角。背後からの攻撃に彼は対応することができない。」そして、私は彼のナイフの特性を知っていた。そのナイフは生きと死生けるものを殺すことのできる致命のナイフなんだってことにッ!そして、レコーディングは完了した。記録者の持つ、18本の破片は彼の聖遺物、そのコピーへと変わり果てる。


「生、それは約束された記憶、まさに名前ッ!それは時間を巻き込んで、大きくなっていく予知、既視感、まさに心。さあ、私は、お前の死が告げる今でもって、今までのお前の証を絶てて告げようッ!約束の運命、その新生をッ!さあ、お前の絶命に轟く断末魔を、この世界の産声のように響かせながら死んで逝けッ!そして私は祝福しようッ!始まりの黙示録をッ!」

===


彼女はずっと掲げていたその手を、振り下ろいた。その腕の行く先には、俺の姿があった。そして、白装束の彼らが持っているもの、俺が破片だって思っていたそれは、明らかに形が変わり果てていた。俺が良く知っているそんな形へと。嗚呼、なるほど、そうかッ!俺はすべてを悟る。そして、俺を取り囲む白装束の男たち、しかし俺は微動だにしない。彼らは微笑みを浮かべながら、その瞳に蒼い輝きを称えながら、そのナイフを愛おしいように握りしめて、そのナイフの刃先を俺に向けていた。そしてその刹那、俺の背後から、ナイフが突き刺された。


===

私は勝利を確信していた。彼はナイフが突き刺されて、横たわっている。そう、私はそんな彼の様子を同胞から聞いて、心の底で歓喜していた。なんて呆気ない勝利なのだろうッ!アハハッ!これで、私は大きく近づける。私たちの希望、その成就にッ!そう、私が思っていた、まさにその時、横たわる彼を取り囲んでいる彼ら、同胞たちの着ている白装束が真っ赤に染まる。彼らは私の気づかぬうちに上半身が消し飛んでしまっていた。そして、そんな血だまりの中で一人の男が声を出して笑っている。それは、今まで聞いたどんな声よりもおぞましい、まるで死そのものだった。


「どうしてッ!あの破片は、どんなものだって再現できるはずなのにッ!」しかし、彼はそんな私の言葉にため息をついて返す。「お前は勘違いをしていたみたいだなッ!このナイフはこの世界に一度に一つしか存在することのできない、『特異点』だったんだよッ!」


空間がうねり渦を成す。私の世界が消えていく。私の渦、白い渦がグレーに、そして完全に呑み込まれて、そして消えていった。私の体中があのナイフでもってズタズタにされていく。私の肉体が消えて、そして私はいつしか、あの黒い、違う、もうこの渦は黒なんかじゃない、漆黒の渦の中央に立ち尽くしてしまっていた。その渦の中心で、私は聞き続ける、私の同胞の断末魔を、彼らの砕け消えていく、まさしく死のおぞましさを、何度も何度も、執拗に、これ見よがしに私に刻み付けていくようにッ!


私は考えていた。そしてもう、私は最期の切り札を使わなければならないと思ってしまう。今、その手札を使う、それはゼクスを助けたことよりも計画がずれてしまうことになってしまうだろう。しかし、今の私には選択する余地なんてありはしなかった。特異点、私はその存在をずっと探し求めていたんだ。どんな世界にも同じ価値で存在し続けることのできる、そんな存在が本当に実在していたなら、もしその特異点を私の証にしてしまえばッ!私はあのナイフを手に入れなければならない。それとも、特異点の存在を知った今、この計画を練り直すために逃げてもいいかもしれない。いや、彼女を失えば計画なんて元も子もなくなってしまう...だったらッ!やっぱり彼を今、殺すしかない。そこまで考えたその瞬間、私は私の高慢としていた今までの態度に、計画を立てて今までその計画通りに事が運んでいたために、この世界をどこか軽んじてしまっていたことに、そんな態度を持って生きていた、まさにそんな私の姿に気づかされてしまった。嗚呼、なんて私は馬鹿だったんだろう。そうだ、私は私自身の感情を計画に入れていなかった。だから、こんなことになってしまったんだ。私は初めて自分の過去が無価値だって、そして今の私がそんな過去の私なんかよりも素晴らしい、そんな風に思うことができていた。そしてそんな態度が私が知らず知らずのうちにかけていた私の力の制限を取っ払う。もう、これで死んでしまうなら、最後に本来の、サインに頼らない、この力の源流を解き放ってしまうのもいいかもしれない。


「あたりに響く断末魔、その中央で私は怒りに震えていた。」聖遺物、それは私たちが神の存在を感じ取るためのものだった。「あたりに響く断末魔、その中央で私は諦めなんて気持ちを抱いている私を殺す。」でも、本当は私たちが力を使うための条件、莫大な信心を集めることができないなんて言う、そんな言い訳に過ぎないのかもしれない。「あたりに響いて、断末魔。その中で私は希望を抱き続ける。」だって、私は知っている。私の聖遺物”最初の唄”に記されているのは、神力の本当の姿だった。「あたりに響いて、断末魔。その中で蔓延した絶望が、私の輪郭を際立たせていく。」そう、私たちは、力をバラバラに使うけれど、それは不完全な力。私たちの力の行使は、この力を貶めているだけに過ぎない。「あたりに響け、断末魔。慈悲とともに。」そう、私たちの中、不完全なこころが思い描く神の姿、まさにエゴによって。「あたりに響けッ!断末魔。そこに平和が生まれるまで。」だけど、すべてを向き合って、私は後戻りのできないところまできてしまった。そう、後戻りができない、そしてしたくないような、そんな瞬間が訪れてしまったんだッ!「あたりに響かせよう。この世界の断末魔をッ!この殺意をこの世界すべてに向けてッ!」すべてが走馬灯のように私の横を通り抜けていく。そこにねじれも、ゆがみもなく、真っすぐな風が通り抜けていくだけだった。「そして、私は思い出す。私は思い出すことができるッ!そんな残骸が立ち並ぶ世界で、私だけは郷愁を、サウダージを味わうことができるだろう。奇蹟の残骸を胸に抱いて、この奇跡の全く存在しない世界でもって、私はようやく私であると言えるだろう。」私はこの感情すべてを胸に抱き、最初の唄に込められた祈りを叫ぶ。そして、次の瞬間、私の身体が内側から引き裂かれて...始まるのは、神の存在証明、まさに約束された最期の奇蹟だった。


万象が不明瞭に成り果てては消えていく。渦が創り出していた世界の星々が深淵に堕ちていく。まるで、その光景は流れ星のように、綺麗だった。


===

ナイフが消滅した。そのことに俺は戸惑っていた。しかし、俺は彼女の存在したその場所を見て、そこに出来ていた虹色の輝きを見て悟ってしまう。彼女は()ってしまったんだ。特異点にッ!そう彼が思ったその直後、彼の背後に誰かが立っていた。「誰だ?」俺は背後を振り返ることもせず、ただそう問いかけていた。すると、背後から知らない女の声がした。「私は観測者。未来では、タイムマシンが完成したよ。」俺はその声を聞いたときの衝撃を忘れることはないだろう。一体、どうしてタイムマシンができてしまったのだろうか?それは、地獄の門を開いてしまうことに他ならないのに。そう、俺が心の中で思っていれば、その女の声はそんな俺の心の声を見透かすように告げた。「未来では存在しえない希望を謳う神が現れてしまったの。希望を謳い、絶望を振りまく、そんな存在しえない神がッ!」彼女の声が絶望へ歪んでいた。「それで、だからなんだっていうんだ?俺はもう、この世界の消滅とともに死んでしまうだろう。」「ねえ、私の協力者になってくれない?神殺しの協力者にッ!」彼女の声には有無を言わさぬ響きがあった。その声、その響き、背後から漂う雰囲気が告げていた。そもそも、この状況、俺のナイフが無い今のままじゃあ、俺はただ終わるだけなんだから選択の余地なんて言うのは残されてなんていなかった。それに俺は興味があった。未来に現れたという神の存在に、そしてこの背後にいる誰かに、そして彼女の言う神殺しに。「嗚呼、いいだろう。お前の言う、神殺し?の話を聞こうじゃないか。それで一体...こんな場所じゃあ、落ち着いて話すことすらできないが、どうする気だ?」「ひとまず、あなたのナイフを取り戻しましょう?」そう言うと、彼女は懐から何かを取り出した。それは奇妙なお守りのような物だった。「もし、次に私と出会うなんてことがあったら、このお守りを見せて?そして、あなたは私へ告げて?私の本当の名前を...」そして俺にそれを渡した、その瞬間、彼女は俺の目の前で仰向けに倒れて、動かなくなった。


混沌めいたこの今が戻り消えていく。時間が戻り、蘇るEVER。

彼女を中心にすべてが戻っていく。そして彼女は俺の前で消滅した。

俺の手の中に、アミュレットを遺して。

読んでくださってありがとうございます。

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