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タイム・スパイラル  作者: やあやあやあ


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第(3・10)章 integrate

ゼクス~~~

私は土伊中条。よろしく。

アトロは私を見て、私を拒むような瞳を創り出していった。

どうしてそんな顔をするの?私はそう問いかけた、私は知っていた。そんな問いかけに意味なんてないことは。しかし、問いかけずにはいられなかった。

「へえ?変わった名前だな。それで、どうしてお前は俺から逃げたんだ?」フフフ。あなたはよくもそんなことが言えるよな。かつて私から逃げたというのに。

彼は私の額にその銃の銃口を押し付けた。その時のお前の顔と言ったら、本当にどこか満足げな顔だったなッ!私はあなたのその顔を見てすべてを悟ったよ。お前は逃げたんだ。お前は私を下に見ていたから、私があなたと対等であったことに気づいた瞬間、私の存在が、その事実が嫌になって、それを否定しようとしたんだろうよ。「名前がわからないな、なんて感じるたびに、私はあなたと私との間にある壁を、隔たりを意識してしまうんだ。あなたはそう思わないのかい?」そうだろう、あなたはそう思わないのだろうよッ!だから私を殺して、皮だけ奪った人形遊びを続けているんだろうよ。このガキがッ!

おい?状況がわかっていないのか?対等だって?お前が対等を語るのかい?語ることができるのかい?

彼は私の額に押し付けた拳銃の引き金に手をかけた。そして彼はあの時のように引き金を引こうとしていた。

その姿は滑稽だった。フフフ。生まれ変わってもどうやら罪は消えないらしいなッ!私は懐にしまっていたサングラスを、今まさに取り出そうと手を伸ばしていた。

しかしその時、私の腕が勝手に動き出した。そしてその腕は額に押し付けられたその拳銃の先を握りしめて、そして無理やり私自身の額へと固定した。何をやって...

イブ~~~

私の瞳の前には悪魔がいた。私はあの公園のベンチで座って、そしてその悪魔はその公園のベンチの正面にあった歩道橋の上から私のことを見下ろしていた。

何が面白いっていうのッ!そんな風に見下ろすことになんの意味があるっていうのッ!彼は辛気臭い顔をしていた。私にはその顔は馬鹿みたいに見えた。なんで歩道橋から景色を見ているっていうのに、そんな顔をしているの?この歩道橋から見ることのできる景色は世界で一番美しい景色だっていうのにッ!あなたのせいで私の気分は最悪よッ!あなたのそんな無責任な心が、この素晴らしい景色に泥を塗ったのよッ!ふざけないでよ、もっと笑ってよ。きれいでしょう?美しいでしょう?まるで、この景色に包まれて死んでみたいって思うくらい美しいでしょう?ねえ、そんな顔止めてよ。そんな顔しないでよ。ねえ、私を無視しないでよ。私はあなたに話しかけているよ。他でもないあなたにッ!じゃあ、あなたは、あなたのその表情は誰のためだっていうのッ!どうせあなたのためだっていうんでしょうッ!だから嫌だったのよッ!私はこの景色をこんな風に貶めてほしくなかったから、誰にも知られたくなんてなかったのにッ!

私はいつの間にか歩道橋の上にいた。そしてそこにいた男に、私の天使を貶める悪魔に近づいていた。そしてその男の顔を近くで見て私は彼の正体を思い出す。私がこの景色を教えた最初で最期の親友。そうか、この景色を貶めてしまったのは私だったんだ。私のために彼はそんな顔を浮かべていたっていうのに、私...私はッ...馬鹿じゃないかッ!そうだ、私はもう知っていたんだ。私はもう死んでしまっていたから...

嗚呼、私はあなたと対等なんかじゃなかった。だからそんな風に悲しむ必要はないのよ。

私は彼に差し出された拳銃を私の額に押し付けた。その瞬間、彼の指は震えだした。

どうして震えるっていうのッ!私はもう死んでいるのよ。あなたのために死を選んだのよ。なのに、どうしてあなたには迷いがあるのッ!

「対等じゃないなら撃ってくれよ。」その悪魔はそう言った。彼は私に私自身を殺させるつもりのようだ。「なあッ、撃てよッ!」なんだろう?この気持ちは、この気持ち悪い気持ちは?そうか、これはある種の解釈違いなんだろうな。私の死を彼は肯定してくれるわけがない。私は彼に拒絶されて初めて、または彼に拒絶されたことで初めて受け入れてくれたってそんな実感が欲しいがために、私の存在を彼が否定してくれるがための行為だったんだ。そうか、だから気持ちが悪いんだ。あの時、彼は私に対して迷いなんてなかったから...

「今、この銃で死んで見せろよッ!」そんなの馬鹿なんじゃないかよッ!私はもう死んでいるのに、あなたは今の私に生を、そしてその生の終わりを求めているなんてさ。その行為に意味なんてないよ。ただその行為には虚しさしかないんだッ!だから、「さよなら。」私はその銃をその男に向けて、その引き金を引いた。その拳銃は彼の額に風穴を開けて、彼は地面に横たわった。私の心に湧き上がった気持ち良さ。フフフ。これで対等か......なんか嫌だ...

彼は瞳の前で死んでいた。その姿を見て湧き上がる悲しみ。どうして私には迷いがなかったの?どうして、すべてが終わってから、こんな気持ちになるっていうのッ!ああ、もう嫌だッ!すべてがッァァァァぁッ!

~~~

私は瞳の前を呑み込むことができない。私の手が彼を、アトロを殺していた。私の手には拳銃が握られていた。その拳銃は私が殺されたあの拳銃にそっくりそのままで、その姿に、おぞましいその姿に私の心はやられてしまったみたいだ。

アトロ~~~

何に恐れているっていうんだッ!俺は一体何に恐れているっていうんだッ!次の瞬間、その男の瞳に映し出されていたのは、どこかの景色だった。俺は振り返った。そしてそこに広がっていた景色を直視してしまった。「ぁあッ!」頭が割れてしまうように、引き裂かれてしまうように痛いッ!見たことがない景色なのに、どうしてだろう?私はこの光景をどこかで見たことがある、そんな否応なしの確信が、創り出した矛盾が、俺の過去を食い荒らし、今を消し去っていく。そうだ、僕はこの景色を見たことがある。忘れるはずがない。この景色は、僕にとって世界で一番美しい景色だった、なのにどうしてだろう。僕のこの好きだった景色を見た瞬間湧き上がってきたのは恐怖だった。どうして僕は、この景色を恐れてしまっているんだッ!この景色に動くことができない僕は、その恐怖のために足を一歩踏みだしてしまった。その瞬間、地面が無くなった。

僕の存在、その落ちゆく姿、そしてそこにある「面影」。その面影の後を追って死んでいく僕、存在しない面影に引っ張られて僕は自分自身の存在を捨て去ろうとしていたッ!その行為に意味はあるのかい?なんて今更遅いよね。もう体は落ちていっている。嗚呼、このまま、この面影に、思考を手放したまま、この美しさの一部になってしまえばどれだけ気持ちいだろうか?そこまで考えたところで、僕の体に激痛が走った。僕の額に何かが突き刺さったんだ。それは強烈な鮮烈な感覚、そして面影なんて問いかけに対しての答えだった。「これは私からあなたへの最初で最期の復讐だッ!」→そう言われたって困ってしまうよ。俺はあなたと初対面だっていうのに、あなたは何をそんな表情を歪ませて俺を睨んでいるっていうの?俺の額から零れていく赤黒い液体、それが瞳にうつるこの景色をおぞましい醜悪な物へと変えていった。嗚呼、こんな素晴らしい景色もこんなクソみたいな景色になってしまうんだな。まるで今までが夢だったみたいだ。そうだ、今までは夢なんて無責任な魔法にかけられていたんだよ。だからこれが真実なんだ。すべてが無駄なんだろうな...

~~~

存在をもはや自覚できない私たち。みんな同じように死んで、そしてその死にざまが、僕たちの生を同一のものへと貶めていった。今を肯定することができない私たちは、僕たちの過去すらも肯定することができないで、そしてそのために存在を認識することも叶わなくなっていく。聖遺物に致命的なひびが生まれた。俺はその致命的な日々を見て、すべてが無駄だって思ってしまった。私はその致命的な日々を見て、私なんてどうでもよくなってしまった。僕はその致命的な日々のために殺された。そして、私はこの致命的な日々を受け入れることができないで、逆に呑み込まれて、そして遂に蝕まれてしまった。

~~~

土伊中条、彼はここにしかいなかった。そして彼を前にした私たちは退屈とはほど遠いカオスへと姿を変えてしまった。それが私たちの最期の印象だった。彼はこの世界を命運を分つ特異点だった。そう、彼は導こうとしていた。かつての姿、その存在証明を成そうとしていたのだった。彼の手に握りしめられていたナイフが、ゼクスを、アトロを、そして私をぐちゃぐちゃにかき混ぜて、そしてこの地獄へと堕としていった。私たちは墜落しながら、堕ちゆく我が身を呪い、そしてこの呪われた世界の崩壊、まさにこの終わりと始まりをただ見ていることしかできなかった。

読んでくださってありがとうございます。

次回予告 (仮称)

風になって私

立てこもり犯と心。

ここ最近の治安はどういうわけか悪いみたいだ。

これも大いなる変化の前触れか。

次回 (仮) 第十二章 強襲編 第六話

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