道順組立V
物数が多くなると起きる現象。
特に定形外が多いとなりやすいのが、
「区分口に入りきらん」
以前にこの手の場合。矢木は、別でケースを用意してそこに郵便物を入れるという手法をとった。
最近は通常郵便物こそ少なくなったが、”追跡郵便”の厚みと多さから起こること。一つの区分口にゆうパケットが集中しやすいのは、有り難い事と困ること。
「大口で頼むの増えたよな」
「有り難いけど、”大区分”と”道順組立”の時は複雑だわ」
1軒に2通、3通という事は珍しくはない。
着けばポストに入る分だけ郵便物が減るというのは嬉しい事だが、着くまでが面倒。
ドガアアァァッ
「ぎゃああああぁっ!区分口から郵便が雪崩のように落ちたーーー」
「だーから、ケースに入れておけって」
一般的なのは、ケースに入れるというやり方。
一方で、実がやる方法はマイナー寄りの”道順組立”である。
◇ ◇
区分口に入りきらないケース。その時の”配達原簿”の中はおおよそ、
「大型マンションは部屋番号に並べなくても、配達できるくらいに記憶してた方がスムーズですよ」
大型のマンションが占める。大口で郵便物を頼む割合が比較的多く、宅配BOXの設置だって最近じゃ当たり前になって来ている。
以前に集合住宅の特徴の回で、どのような方が住んでいるかを書いたと思う。
「記憶頼みしないくらい毎日頼む方はいますからね。一部転居にだけ気を付けて、纏めちゃいましょう。」
配達の時に多少困るが、ほとんどの集合住宅は手を伸ばせば届く範囲に集合ポストはある。物数が多い時に、手短に済ませるためには定形外くらいは部屋番号通りに並べる必要はない。多いと時間がかかる。そして、こーいった郵便物が集中しやすい箇所を、2パスの並びを無視して組立する利点に
「区分口から郵便物が落ちると、その衝撃で他の区分口から郵便物が落ちる事もあるんです。せっかくちゃんと”大区分”をしたのに台無しになるのでね」
これが1つ。もう1つの利点に
「”道順組立”をする机は綺麗に使いましょう。それと空いた区分口は、”道順組立”の時に利用します」
担当する配達地域によっては、空きの区分口がないケースもある。
組立が終わっているコマは結構貴重なのだ。
2パスに入って来てしまう、他の地域の郵便物がある場合。すでに”道順組立”が終わったコマにぶち込んだりして、机を綺麗に使っていくといい。転送する郵便物を放り込むのも良いだろう。
「それと中央下段の区分口は空いてるといいね。っていうか、下の段は全部楽な区分口だと助かるんだよね(上手くいかないけど)」
椅子に座り、机に向かって、”配達原簿”を立てる。
この時、どう思うかは担当者の自由であるが。
区分口の中央下段は早めに”道順組立”ができるようにした方が良いと思う。”配達原簿”を立てる時、下段の定形外は結構邪魔になる。あえて、そこを空きの区分口にしてたりします。
「全ての区分口を見ないで”道順組立”をする必要はありませんが。”道順組立”の際に邪魔になるところ、郵便物が集中しやすい区分口は把握できるようにしましょう」
実が籠をバイクに積み込むタイプではない理由の一つに、自由な”道順組立”による弊害がある。重たい区分口を早めに処理すると、定形外だけは道順通りになっていないからだ。どうしても、入れ替え作業がある。その入れ替え作業をカバーするために、キャリーケースに対して直に積込をする手段をとっている。
配達員の考え方、適正もあるが。
実と木下、矢木の3名は、速く道順組立をし終えて、速く出発するという。
基本は、シンプルを突き詰めるやり方にしている。
配達の際にあーだこーだと考えないし、直に積込時間やエレベーターでバイク置き場に降りる間に、配達プランは完了させている。もっと言えば、速達や午前配をもらった時点で決めている事だろう。
酷い話だが、考えずに業務を行っている連中。
「酷い言い方ですね……」
それくらい洗練してると前向きに捉えて欲しい……。
◇ ◇
「だははははは、お先だぜ~」
「失礼しますね」
先に”大区分”をしているというのもあるが、木下と実に関して言えば、
「あいつ等は前日の”大区分”や”時間前着手”をしなくても、ぶっちぎりで早ぇ」
「矢木さんも十分早い方なんですけど……もう出発すんの?(9時半前じゃん)」
物数が関係なく、出発が早いタイプである。
単純に”道順組立”をして、配達に向かって出発するタイプもいれば、そうでないタイプもいるという事。
「あいつ等は多少の面倒を考慮しているけれどな。じゃあな、山口」
「……いや、ホント。あの2人、何者なんだよってレベルだ」
矢木はしっかりと”道順組立”をして出発をした。
エレベーターが1本違いといったところである。
「どうです、木下さん。どこまで組めました?」
「んーー、15コマくらい。お前は?」
「似たようなもんです。サザビーマンションまで」
バイク置き場でどれくらい持っていくのか、話す木下と実。早く出発するから当たり前の話、思った以上には組立ができていない。そーすると、午後の持ち分が積めないだろうという事になる。
しかし、カラクリがいくつかある。
もっと言うと、”道順組立”というやり方ではなく、”積込作業”に分類している手法。
「マンション、全部片づける気だろ」
「いいじゃないですか。今日みたいな多い日はそうしても」
”道順組立”とは、配達ルートが決まっていて、成立しているものである。しかし、配達地域によっては先に寄らなきゃいけない場所もある事などを踏まえると、担当者全てに任せてもいいと思う。
夢のような話。配達物数によって、2パスの並びが変わってくれるととても助かる。少ない時や最短ルートを想定して、最速の並びになっているけれど。
「大きいマンションって、かなりの積載になりますからね。宅配BOXを他社に使われるのも嫌だし」
「はははは、そうだそうだ!」
天気や午前配の状況によっては、大型マンションから降ろしたい時もある。
大型マンションの郵便物の量というか、郵便物の厚さなどは平地の数コマを軽く超える量だったりもする。また、その重さのせいでバイクの停め位置に苦労したりもする。(配達編はまた今度)
マンション配達と平地の配達の大変さは、……そこまでの差はないが、明確な違いとして、バイクに積める郵便物や荷物を一気に落とせるか、落とせないかというところがある。
そして、区分口の数だけを見ると、全然、進んでないように思うが。籠に積み込んだ郵便物の量は平地の”道順組立”をするよりも安易である。
実が使用しているように、平地の郵便物の”道順組立”は道順に並んでいないと配達に影響が出るものの、マンションは居住確認さえしっかりしてれば、配達時に理解して配れば問題はない。
物数が非常に多い時。また、欠区になっている時。
そして、区が固定されていない木下と実が比較的とりやすい手法は、
バイクのキャリーケース及び前カバンに、如何にして郵便物を素早く大量に詰め込むか。
という手段を用いている。
”道順組立”は結局のところ、配達する時に、間違いなく、ミスしない事を達成する上で必要なことであって。時間を護らずに配り切れというのなら、そんなことをしなくてもできる。極論ではある。
ブロロロロロロ
「だははははは、お前のところの量は相変わらずだな~」
「仕方ないでしょー」
バイクのキャリーケースの蓋が締まらないのは当たり前で、網掛け。配達員によっては、ビニール袋やエコバッグなどを用いて、そこに郵便物を詰め込む事もある。
ここまでやっていると、増員しろよってツッコミにもなる。せめて、区の見直しをして欲しいものだ。
2人がこの手法をとっているのは、色々な班事情もある。
午後からの他区応援をする際、手っ取り早いのは、他の配達地域に応援しに行き、担当者を捜したり電話したりするよりも、午後の出発時点で持ってしまうのが早い。
それと他区応援にもいくつか種類はあり、単純に配達を手伝うだけでなく。14時~17時(今は14時~16時、16時~18時だけど)などの、午後の再配を持ってあげて、時間に余裕を作らせるのも他区応援になる。(午前配を持つ人もいるよ)。
午前を素早く出るだけでなく、大量の郵便物を持っていくのは午後の班状況を知ってのこと。
ピンポーン
大型マンションを先にぶっ潰すのも、郵便物を多く配るための工夫。そして、もう一つ。
「よーっ、いつもの」
「悪いわね~、木下さん」
「だははははは、在宅のお宅にはサービスしていいじゃないですかぁ」
大きな嵩物郵便物が、100%配達完了ができるかどうか。知っているか知らないかで、大きく変わる。大きな会社だけでなく、家族構成なども把握していると、邪魔になりそうな郵便物をさっさと処理にかかる。
”道順組立”で1コマを組み上げるよりも、馬鹿デカイ郵便物の1つを居住確認する方が時間のロスがない。もちろん、そいつが不在通知になるというのなら、持って行かない方がいい。
「午後の再配にならないなら早めにお伺いしますよ」
再配依頼をかけられると、午後にもう一度これを積む必要が出てくる。2度手間でゴメンなのは午前配→夜間再配よりも、午前配→午後配の希望だというのは、あんまり分かってもらえない。午前の配達ルートにわざわざ行かなきゃいけないのだ。というか、夜間は別の人が配りに行ったりもする。
夜間業務とはやや異なる。
ブロロロロロ
”道順組立”をしているコマ数が少ないと必然的に、配達業務も短くなるものだ。いくら、バイクに沢山詰め込んでも、大きな郵便物やマンションの配達が多いと、早めに配達が終わる。
そのため、
ピンポーン
「書留でーす」
対面配達となる郵便物を処理しておく。
特に定形サイズの書留は、書留カバンと言われる腰に巻くカバンに入れているため、バイクの積載にはあまり影響がない。対面配達となる郵便物の多くは、追跡郵便となっており、お客様が見ている待っている郵便物である。
午前の間に終わらしておき、局内の郵便課に返納しておきたい。
「再配依頼は面倒ですし、書留を無くすと余計に手間なんでね。っていうか、他区応援してる時に夜間の再配依頼来ると、また寄らなきゃいけないんです」
これは欠区などで起きる事だが、あまりに郵便配達が長引くと切り上げるように上から連絡が来る。
その時、追跡郵便は受取人と差出人が見ているため、後々トラブルになりかねない。それを午前の内に潰しておけば、極端な話ではあるけれど。明日やっても良くない?といった事を言いやすい。上の人達も、優先順位をつけてと言う事が多い。
ガコォンッ
そーいう目的を含めて、新型の配達手段。
局によっては、ツーネットって呼ばれるやり方らしいですね(ウチの局にはない)。追跡郵便をやる人間と通常郵便をやる人間に分けて業務をするそうです。
無い場合も単純で、追跡郵便を優先してやる。その優先順位にも順付けがある。
「おーっし、これで残りは特定記録とゆうパケ。どっちも定形サイズだけだな」
定形サイズの追跡郵便以外を、”道順組立”して持っていく。お客様が待っている以上、郵便物を落失するというミスは避けたい。この手法の場合、キャリーケースの蓋が締まらないため、最悪の可能性すらも消す。
そして、定形外サイズの追跡郵便を優先的に潰す。特に区分し辛いものや通常郵便と混ぜて”道順組立”をする時に邪魔な奴、嵩張る奴。
特定記録と書留を除くとして、AMAZONや健康食品、衣類などを合わせたゆうパケット、レターパックの数はだいたい100はある。その中に”転居処理”や”還付処理”になる郵便物は、1個か2個。0個も珍しくない。99%はいるくらいの確率と書いているのも、お客様自身で頼んでいるのだから住所を間違えるわけないでしょという信頼をしてのこと。
だからこそ、”ゆうパケット”のみの”道順組立”は業務に慣れている担当者にとっては非常にやりやすくて、すごくバイクのキャリケース内を圧迫しやすく、お客様も届いて欲しいと望んでいて、上の人間からもさっさと配達して欲しいと思っていること。ウィンウィンの関係でやっている手段である。
「ま、ムダに配達するルートを伸ばしたり、午前に積み込み過ぎをやっちまうし、木下さんがたまにやらかす”ゆうパケット”の誤配は、こーいう類の、日曜配達によるミスなんだよな。現地確認してると配達のロスに繋がるだろ」
色んな区を任されている2人だからこそ、矢木もそのやり方については納得がいっている。ただ、矢木のように午前分の”道順組立”を、9時半以内に終わらせる実力があるのなら、そちらの方が確実で安定したものになる。
班の事情にもよるのである。会社の事情にもよる。




