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白亜から悪魔へ

 アルマたちは、時《とき》を待《ま》っていた。すでに一億年《いちおくねん》も待《ま》ったのだ。彼《かれ》にとって数年《すうねん》など、瞬《またた》きと同《おな》じようなものだったろう。

 人間《にんげん》や他《た》の哺乳動物《ほにゅうどうぶつ》の誕生《たんじょう》が地球《ちきゅう》の意志《いし》にそったものなら、それは絶滅《ぜつめつ》したシナプスや恐竜《きょうりゅう》の変《か》わりに違《ちが》いない。寒《さむ》さに備《そな》えての選択《せんたく》だったはずだ。環境《かんきょう》が温暖《おんだん》になれば攻守交替《こうしゅこうたい》しなければならない。人《ひと》を滅《ほろ》ぼすべきか、それとも管理下《かんりか》に置《お》くべきか。

 かつて、シナプスが彼《かれ》にとってジャバヤのように味方《みかた》であり、ベシカのように敵《てき》でもあったように、人間《にんげん》への対応《たいおう》に苦慮《くりょ》していた。どちらにしても、彼《かれ》らの手足《てあし》となって動《うご》くのはシナプスのほかにはない。いくらアルマの個人能力《こじんのうりょく》が優《すぐ》れていようと、一体《いったい》だけでは活動《かつどう》や発想《はっそう》に限界《げんかい》があるのだ。


 どんな進化《しんか》も吸収《きゅうしゅう》してきた彼《かれ》であったが、植物由来《しょくぶつゆらい》のシナプスの能力《のうりょく》は吸収《きゅうしゅう》できなかった。そのため、神獣組《しんじゅうぐみ》のテクノロジーが欠《か》かせなかった。彼《かれ》らはアルマが発見《はっけん》されるまでは、神樹組《しんじゅぐみ》と名乗《なの》っていた。何千年《なんぜんねん》と生《い》き続《つづ》ける神木《しんぼく》の生命力《せいめいりょく》を人間《にんげん》に取《と》り込《こ》もうと研究《けんきゅう》していた。そのため、植物《しょくぶつ》たちとのコミュニケーションの研究《けんきゅう》も盛《さか》んだった。植物《しょくぶつ》の意思《いし》を知《し》る事《こと》はまだできなかったが、微弱《びじゃく》な電気信号《でんきしんごう》によって植物《しょくぶつ》に意思《いし》を伝《つた》えることはできるまでの技術《ぎじゅつ》を持《も》っていた。


 アルマは、自分《じぶん》の下《した》にシナプスを置《お》き、彼《かれ》らに植物《しょくぶつ》と動物《どうぶつ》を管理《かんり》させようと考《かんが》えていた。単体《たんたい》で活動《かつどう》できないシナプスは、管理《かんり》するのに最適《さいてき》だった。そして、その体系《たいけい》の最底辺《さいていへん》に人間《にんげん》をおいた。なぜなら、その体系《たいけい》は生物《せいぶつ》の調和《ちょうわ》をもたらすものだったからだ。調和《ちょうわ》を乱《みだ》し続《つづ》けてきた人間《にんげん》こそが、最《もっと》も厳《きび》しく管理《かんり》される必要《ひつよう》があった。神獣組《しんじゅうぐみ》は遣《つか》い魔《ま》として人間《にんげん》とは異《こと》なる者《もの》と扱《あつか》われた。

 そして、巨大台風《きょだいたいふう》が日本列島《にほんれっとう》を東《ひがし》から西《にし》へとゆっくりと横断《おうだん》し、人々(ひとびと)が街《まち》から消《き》えたその夜《よる》、かれらは決起《けっき》した。それは、人間《にんげん》にとって覚《さ》めることのない悪夢《あくむ》の始《はじ》まりとなった。

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