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エンデラの森の黒き魔女  作者: 暫定とは
四章『混沌』
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「バロン、トーマ、ノア。ハレを頼むぞ」

 あくまでも真剣な眼差しを三人へと向けて、シンは言った。「なんでノアにまで言うんだよ」と文句ありげにハレは唇を尖らせる。

「冗談だ。半分はな」

「残りの半分は本気じゃねーか!」

 ハレたちがシンとの再会を果たしてから、一週間が経過した。ノアの体調はすっかり良くなったし、ハレとバロンのフォルスチェインとして、三日前に完成したハレのゴーグルは、再びハレの首からぶらりと提げられている。

 この三日間、ハレは街の外の魔物を相手に、バロンとの〝共鳴(チェイン)〟を使っての戦闘訓練を数度に渡って行ってきた。バロンの体型や立ち回りが、ドボロのそれとそう変わらなかったということもあり、バロンとの共闘はハレの肉体に、比較的スムーズに馴染んだ。

 そして現在、再びファンテーヌを旅立つハレたちを、シンとクーラン、そしてドボロが街の出入り口広場まで見送ってくれるところだった。この日のファンテーヌは晴天に恵まれていた。

「ドボロ」

 短い間ではあったものの、パートナーとして自らの隣に立ってくれた土の巨人を、ハレは感慨深い声で呼んだ。「ンだ」とドボロは頷き返す。

 別れの言葉を口にするのは、ハレは心の何処かがくすぐったかった。そしてその発言は恐らく、ハレの目頭を熱くさせる。誤魔化すようにへらりと笑って、「まだしばらくここにいんのか?」とハレは尋ねた。

 判断を仰ぐように、ドボロはシンへと視線をやる。風に煽られる深緑の前髪を、首を振るって払い除けながらシンは答えた。「いや、実はドボロのここでの役割も間もなく終わりそうでな、そろそろリリのところに戻ってもらおうと思ってる。リリにもドボロと一緒に、また動いてもらうことになりそうだ」

 「そういうことみたいだ」とドボロはハレを向き直った。「そうか」とハレ。数秒の黙考を挟んだ後で、「また……」とハレは言った。また会えるんだよな。そう確認しようとして、ハレは思い留まった。それは愚問である。

 旅が終わったらドボロ号に乗せてもらう。つい数日前にも、自分たちはその約束を確かめ合ったばかりではないか。約束が果たされないなんてことは、冒険小説の中だけで充分だ。呪いの呪文みたいな言葉は、胸の中に秘めておけばいい。

 「ンだ?」ドボロが不思議そうに首を傾げるので、ハレは歯を出してニッコリと笑って見せた。「またな! ドボロ、ついてきてくれてありがとよ!」

 ハレが差し出した手を、ドボロは優しく握り返した。「こちらこそだよ。また会えるのを楽しみにしてるだ!」


「黒髪黒目に、多分白い服を着てると思う。かなりの高身長だから見つけやすいはずだ」 

 次のガイドとなる人物の特徴を、シンはそのように解説した。互いに別れを告げて、ハレたちはファンテーヌを後にした。前回同様スチルバティクスから、一行はクラスィア大陸の南海岸に位置する港町行きの連絡船に乗った。四日間に渡る船旅を終えて、ハレたちは港町に降り立った。

 クラスィア大陸は、南側の大部分が宏大なアレーナ砂漠に覆われた大陸だ。ハレたちの降りた港町も、砂漠の中に形成された町であった。目的地である鉱山の街・ルドニークまでは、歩いて一週間ほどはかかる。その間(かん)に休息の取れる場所はというと、ルドニークとこの港町の凡そ中間地点に存在する、小さなオアシスくらいなものであった。砂漠越えの為の充分な準備を整えて、ハレたちは港町を発った。

「行くぜェ、バロン!」

「バロン、がんバる」

 首から提げたゴーグルを、ハレは額へとかけながら「〝共鳴(チェイン)〟!」と唱えた。全身から煙のような山吹色の光を迸(ほとばし)らせながら、ハレとバロンは前方へと走り出す。二人の視線の先には、二メートル強ほどの身の丈に、巨大な花を模した頭部を持った魔物が、蔓(つる)のような腕を激しく撓(しな)らせてこちらを威嚇していた。トーマ曰く、普段は植物に擬態しており、その見た目につられて近付いてきた虫などの獲物を喰らうという習性を持った種族らしい。閉じた花弁(かべん)の内側からは二本の触角が伸びており、その先端には小さな球体が付いている。あれがこの魔物の眼球であるらしかった。

 乾いた砂に足を取られないよう、ハレは足の裏から土のフォルスを放出し、一歩を踏むごとに小さな足場を出現させながら駆けた。

 「あーらよっと!」魔物の数メートル手前から、ハレは大きく跳ね上がる。助走と跳躍でついた勢いのまま、ハレは魔物へと斬りかかった。然し――。「喰ら、ええええええ!!」

 双剣(そうけん)を握ったハレの腕は、瞬間的に伸びてきた蔓のような魔物の腕に掴まれた。細い蔓ではあるものの、幾重にも重なって巻き付いたことによる握力は驚くほど強く、ハレの身体は魔物を中心に、空中をぐるぐると回転させられる羽目になった。「うあおおあぁあぁあぁあぁ」

 大きく三回転ほどさせられながら、徐々に冷静さを取り戻していったハレは、掴まれていない左手の剣で、魔物の蔓を掻き切れはしないかと試みた。剣先を当てた感覚で、これならいける、とハレは確信する。

「う、ぐぐぐぐぐ……――オラッ!!」

 姿勢のバランスを取りつつも、左腕に渾身の力を込め、ハレは魔物の蔓を切り裂いた。支えを失ったハレの身体は、遠心力のままに後方へと飛ばされていく。

 「バロ――ン!!」空中からハレが呼ぶと、バロンは頷きながら地に手をついて、砂の地面を隆起させた。凄まじい速度で飛んでいくハレを受け止めるよう、砂は巨大な手の形を取り、衝撃を上手く吸収しながらハレの肉体をキャッチする。

 「サンキュー! バロン!」砂の手の上から、ハレに親指を突き立てられると、「はレ、だイじょうぶ」とバロンは疑問符を付けずに尋ねた。

「俺は大丈夫! それよかあっちだ!」

 ハレが指差す先へと、バロンは視線をやった。慌てた様子で地面に穴を掘って、砂の中へと姿を逃げ隠れようとする魔物の姿がそこにはあった。

「それヨか、どウいう意味」

「あとで教えるよ! あっちが蔓ならこっちも蔓だ! 逃がすな!」

 ハレへと頷き返しながら、バロンは魔物のほうへと駆ける。砂の掌から飛び降りざま、ハレは地面へと両手を着いた。すると、魔物直下の地面が瞬間的に数メートルほど陥没し、砂中(さちゅう)へと逃がれようとする魔物の行く手を奪った。空中でろくに身動きも取れず、ジタバタともがきながら落下していく魔物の肢体(したい)は、間もなくして現れた、砂で出来た二本の鞭(むち)のようなもので、中空にぶらりと固定させられた。二本の鞭は、魔物へと向かって駆けるハレとバロン、それぞれの右手へと繋がっている。

「今日の晩飯! みすみす逃がしてたまるかよッ!」

 右手で砂の鞭を引きながら、ハレは魔物へと跳躍した。魔物を挟んで反対側から、バロンもそれに続く。二人は互いの右の拳で、植物の魔物を挟み込むように殴った。土のフォルスによる衝撃が、膨大な圧力となってそこに加わる。

「〝超絶怒涛爆裂拳(ちょうぜつどとうばくれつけん)!!〟」

 ハレとバロンの土のフォルスは、互いに激しく穿(うが)ち合うと、空中に幾度かの爆裂を生んだ。爆裂は暴風を巻き起こし、暴風は一帯を覆うほどの分厚い砂埃を巻き上げた。数秒を以て砂埃が飛散したその後には、息絶えて地を転がる魔物の骸と、しゃがみ込みながら地面へと着地したハレとバロンの姿が、そこには明らかになった。

 立ち上がりざま、両の手を何度か叩き合わせて砂を払った後で、「いっちょ上がり!」とハレは右手の親指で、鼻の頭を自慢げに擦った。「そんな名前の技はない」とトーマは離れた位置から呆れ顔で言う。

 「そらそうよ。いま作ったんだから」とハレ。「ハレ流共鳴術技(きょうめいじゅつぎ)だ。いいだろ? 一つや二つくらい」

「ファンテーヌを出発してからもう四つ目だ」

「そうだったっけか。いいだろ? 四つくらい」

「……勝手にしてくれ」

 ハレの肩を人差し指でつつきながら、「はレ」とバロンが呼び掛ける。「なんでい、ボス」と振り返ったハレに、バロンは尋ねた。「そレよか、どうイう意味」


 砂漠地帯には水のフォルスが極端に少ない為、砂漠での魔物との戦いに於いて、トーマたちは珍しく戦力外であった。万が一の命の危機に備えて、という意味でも、水を出現させることの出来るトーマとカレントは力を温存し、砂漠を超えるまでの間、戦闘は基本的にハレとバロンで行おうと、ハレたち一行は決めていた。

 また、バロン用にフォルスチェインを造りはしたものの、ハレは道中基本的に、バロンをドルミールの姿にすることはなく、活動体の巨人の姿で隣を歩かせていた。ドボロがそうしていたということもあったし(新型フォルスチェインにはドルミール化の機能は付いていなかった)自分自身のアーツと顔を突き合せた状態でいることは、ハレにとっては望ましいことでもあったからだ。勿論、時と場合が許す限り、ということにはなる。

「ノア、体調どうだ? っていっても、砂漠にゃ人もいねーから体調崩すこともねーか」

 その日の晩、昼間仕留めた植物型の魔物の肉を夕食に摂りながら、一行は焚火を囲んでいた。動物の肉とも果実の果肉とも取れない不思議な食感を、それはしていた。風味はどちらかというとフルーティーだが、どこか生臭さのようなものもあり、色は赤黒い。寛容な目で見ても、美味しいとは言えない代物だった。

 「お陰様で、特に問題ありません」とノア。「寧ろ、今日なんかはいつにも増して元気です! やっぱり人がいないところだからでしょうか」

 「そいつは何よりだ」とハレは微笑みながら頷いた。肉体の不調は精神の不調を呼び込む。ただでさえ過剰に気遣い屋で、ネガティブ思考なノアが、肉体の不調によって物事を更に悪い方向へと考えてしまうのは、ハレにとって憂慮すべき事柄であった。彼女には可能な限りは健やかで、そして笑顔であってほしい。それは彼女の為だけではなく、自分自身の為にハレが願うことでもあった。

 「プリマギアを目覚めさせれば、体調が安定するって保証はあるのか?」トーマが問う。眉を八の字に歪ませながら、ノアは答える。「おばあさまはそう言っていましたが、保証と言えるようなものは何も。少なくとも、今ほど酷いものでなくなるとは思うのですが」

 「そうか」とトーマ。「旅が終わった後、何処で暮らしていくのかも考えておいた方がいいかも知れないな。少なくとも、ファンテーヌやアルバティクスみたいな人の多い街は避けるべきだろう」

 トーマの言葉に、ノアは暫しの沈黙を挟んだ後で「お二人は」と口を開いた。「旅が終わったらどうされるんですか? 私、今までの家はもうないし、正直なところ、何処へ行けばいいのかが分からなくて」

 トーマが何と答えるのか、ハレは気になって耳を澄ませてみた。トーマの意思を確認する為のヒントが、そこには隠れている可能性があったからだ。

 然し、なんら戸惑いや吃(ども)る様子を見せることはなく、「俺とハレは孤児院に戻ることになるだろうな」とトーマは毅然(きぜん)として答えた。若干棒読みだっただろうか、とハレは思う。が、考えてみればみようとするほど、そこにどんな意味があるのかなどハレには分からなくなった。そして、仮にそれが誰もが気付くようなレベルの分かりやすい棒読みであったとしても、だからといってトーマにどんな問いをかければ良いのか、ハレには分からなかった。

 焚火に視線をやって思案を巡らせるハレが、二人に見つめられていることに気が付いたのは数秒の後だった。トーマが二人分の回答をしてくれたので、会話はそのまま進行するのかと思いきや、どうやらノアとトーマはハレの口からも、回答を求めているらしい。頭の中のスイッチを切り替えながら、「あ、ああ」とハレは答えた。これでは自分のほうが、トーマよりよっぽどどぎまぎしてしまっている。

 とはいえノアの質問に、ハレは回答の用意がないわけではなかった。タイミングがなかった為に今まで二人に話すこともなかったが、丁度いい機会だ、とハレと思い、それを告白することにした。

「俺、実は旅を続けたいんだよね。孤児院の外とか、帝都の外のことなんて殆ど知らなかったから、これから先も俺はあの孤児院で、ずっと暮らしていくんだろうと思ってたんだけどよ。なんていうのかな……、今は俺、旅がスゲー楽しいんだ。誰にも縛られない、何も決まってない、ガムシャラに足掻くしかないようなこの生活がさ。それに……」

 再び焚火へと視線を落としながら、ハレは黙考する。言葉の海を見渡してみると、ハレが探しに行くまでもなく、餌に群がる魚たちみたいに、言葉は自動的に集まってきた。

 「それに?」ノアが問うと、顔を起こしてハレは答えた。

「……世界は思っていたよりも、色んな問題を抱えてた。全部を解決しようなんて思っちゃいねーし、解決出来るとも思わねえ。けど、小さなことでも一つずつ、直接的な解決には至らなくても、問題に対して俺が出来ることはあると思うんだ。孤児院に引きこもってるくらいなら、俺は俺の気の向くままに、そういうことをしていく人生のほうが性に合ってるかな、なんて今は思ってる」

 ハレの答えに、トーマは僅かながら驚いたような反応を見せた。ノアは感心しながら呆然としている。二人とも、ハレの回答が想定していたものとは違っていた、という様子だ。

 暫しの沈黙に耐え切れなくなったハレは、「とか言ってよ!」と頭の後ろを掻きながら誤魔化すように言った。

「具体的に何が出来るのかなんて、まだ分からねーんだけどさ。シスターたちが許してくれるかも分かんねーし。でも、ノアがもし行き場がなくなって困るってんなら、俺と一緒に来ればいいじゃん。勿論、トーマは来るだろ?」

 驚きの表情を一転させて、呆れたように小さく溜め息を吹き漏らすと、「勝手に決めるな」とトーマは返した。俯き加減に虚空(こくう)を見つめながら、か細い声でノアは答える。「許されるのなら、……私はご一緒したいです」

 降り始めの雨が地面に跡をつけるみたいに、ぽつりぽつりとノアは言葉を零した。「私なんかが言えることじゃないんですが、私もお二人に助けられて、『途方に暮れている時に、差し伸べられる手の有難み』というものを知ったんです。助けれくれたハレさんをお手伝いしたい気持ちもあるし、私のように困っている人がいるのなら、そんな人たちを私も助けたい。でも……」

 困った顔でハレを見つめると「良いのでしょうか? 私なんかが」とノアは問うた。

 『私なんか』。ノアはよくそういう風に言う。ハレ自身、そのように自分を卑下して考えることはしない類の人間だったから、ハレはそういうノアの気持ちを、想像で補うほかにはなかった。そこには色々な意味が含まれているのだろう、とハレは考える。

 ハレやトーマから見た、守り助ける対象としての『私なんか』。世界から見た、差別や迫害の対象としての『私なんか』。その一つ一つに意味に対して、本来ハレは正しい回答を導き出して、ノアの質問に答えなければならなかった。『ならなかった』とまでは言わずとも、少なくとも『そうすべき』ではあった。然し、まるで宇宙を内包しているみたいなノアの黒い瞳に見つめられると、ハレにはそれが出来なくなった。

 回答を導き出すべきだ、という意志。然しそれ以前に、何故こんなにも非力でか弱いノアがそんな問題を抱えなければならないのか、という疑問。ノアを悩ませ、困惑させ、悲しませる人々への憤り。そして何よりも、どうして彼女の瞳や、その漆黒の髪や、白く透き通る肌はこんなにも可憐で、美しく、世界の中心であり、自分のすべてでもあり、苦しくなるほどに愛おしいのか、という謎。特にこの謎が中心となって、幾つもの感情がハレの頭と心を混沌とさせた。

 正しく回らなくなった思考回路で、ハレは考える。が、冷静に考えようとすればするほど、自身の顔が内側から熱く、そして赤くなっていくのをハレは感じた。それが余計にハレを混乱させた。しどろもどろになりながら、ハレは答えた。

「あ、あああ、当たり前だろ。ノアは……、ほら、友達? 違うか。えっとほら、そうだ。仲間なんだから。仲間。な!? そうだろ、トーマ!」

 「仲間だが、何故それを俺に振る」魔物の肉を頬張りながら、鬱陶しそうにトーマは答えた。

 「ハレさん、大丈夫ですか?」と心配そうに、ノアがハレの顔を覗き込む。「少し顔が赤いようですが……」

「そっ、そんなことねーよ! 焚火の明かりでそう見えるだけだろ!」

 食べ残った骨を焚火の中に放り投げながら、ふ、とトーマは鼻で笑うと、誰にも聞こえないような微かな声で「往生際の悪い」と呟いた。

 「トーマ、なんか言ったか?」とハレ。

「いや何も。往生際が悪いと言っただけだ」

「バッチリ言ってるじゃねーか!」

 何の話だか分からない、という様子で、ノアは首を傾げる。「一体何の往生際が悪いんでしょうか? 私、何か変なことを言ってしまいましたか?」

 「ノアは気にしなくていい!」と叫ぶように言うハレの背中を、バロンが指先でつつく。「はレ。おうジょうぎわ、どウいう意味」

 散々だ、とでも言うように首を振りながら、「あとにしてくれバロン!」とハレは泣きそうな声で言った。

 「どういうことなんですか? トーマさん」ノアは今度はトーマに尋ねる。

「ハレに聞けばいい」とトーマは答えた。ハレが止めに入る。バロンが質問する。ノアが更に尋ねる。トーマがそれを躱(かわ)す。夜の砂漠の真ん中で、四人の会話はどんどん熱を帯びていった。終止符みたいに打たれた、「でモ」というバロンの言葉で、三人は一旦静まり返った。ハレとトーマとノアの視線が、一斉にバロンへと注がれる。

「ばろン、分かルこともアる」

 バロンが何を言い出すのか、分からないままに三人はこくりと頷いた。注目を浴びる経験など今までになかったからか、心なしか自慢げな面持ちになって、バロンは続けた。悲鳴にも似たハレの叫びが、何処までも続く砂の海を、少しだけ揺らした。

「ハれ、のアのことが好き」

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