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千光寺公園付近のレストラン

千光寺公園付近にレストランは一軒ある。

崖の上のレストランで眺めが良い。


注文が出てくる間、子供はスマホをいじっていた。

本人にとってそれが『世界のすべて』なのだろう。



「スマホ、しまいなさい」



最近はこのセリフが食事をする合図になっていた。

学年が上がるにつれ大人っぽいことを求められ、

何かしでかすときっちり責任を取らされる。

世間では当たり前のことをまだ受け止めきれないのだろう。

その逃げ道としてスマホ・ワンダーランドがあるのだと思う。


僕はその世界から引き戻す役になっている。

なんとも面倒な話だ。

こういう時は本人が大好きな漫画のストーリーについて

考察してあげるのが良い。


やれこの伏線はああだの、あれはこういった経緯があってこうなっただの。

作り手のご都合主義を芸術に昇華する過程を目を輝かせて語っていた。

学校の勉強もその勢いでやって欲しいものだ。



宿泊なら古民家を予約してみたかった。

一棟を丸々、貸し切りにできる物件があるらしく。

例えば朝、魚市場で買い物して宿で調理することができる。

最大で十名ほど泊まれるらしい。

十名の女子旅って宿を取るのも一苦労だろうし、

一か所で集まって気兼ねせずに飲んだり、

おしゃべりしたりできるのは一棟貸しの良いところだと思った。


残念ながら今回は日帰りだ。

看板のないお寿司屋さんに予算を全振りしたためそうなった。



その前に……というかまだ二、三時間あったから、

近くの神社を散策した。


「へー、ここがあのパパがちょろっと書いた物語の舞台ね」


「そうだよ、写真映えが良いでしょ?

 日本映画に出てきそうな感じだよ」


「本当ね、錆びれた感じと年代物のロープウェイとのコントラストが醸し出すノスタルジー」


「無理に評論家にならなくていいよ」


「なんだかハルナさんがひょっこりと

 黒猫と一緒に出てきそうだね」


「その地雷発言、お願いだからやめてくださーい」


「ところでどんな物語だったっけ?」


「恋に破れた女性が尾道の坂を転げ落ちて絶命し化け猫になった。

 その伝説を追いかけていた、これまた恋に恵まれなかった男の

 タイムリープな物語」


「あるある、しつこいぐらいに繰り返して尺取りにくるやつ」


「そこのガキ&チヅルさん。

 ここの土地をそんな野暮な恋愛テンプレで上書きするな!」


「ねえママ、化け猫って蘇りの力をもってるらしいよ」


「それなら、尾道ゾンビスリラーだわ。

 尾道にかかる濃い霧の中からゾンビが現れるの。

 主人公のハルナとなぜかパワーアップしてきた猫たちと、

 不死のゾンビがバトルするってやつはどう?」


「不死のゾンビって、焼いた焼肉と同じ面白構文じゃん。

 それ言うならバタリアンでしょ、

 ていうかこの話いつまで続くの?」


お寿司屋さんの営業開始までまだ時間があったので、

僕らは尾道とゾンビがどうやったら結びつくのか?

アイデアを出し合っていた。すごく無駄な時間の使い方だったと思う。


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