表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄されたので辺境で本気を出したら、王国の制度を全部書き換えてしまいました ―戦わずに国家を動かす追放領主の改革録―  作者: 水無月カレン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/101

第41話「優しい融資」

カルディア王城。


応接室の空気は、奇妙に穏やかだった。


窓から差す光。

茶器の香り。


そして、微笑む男。


「お困りでしょう」


ヴェルド・アスト=ゼルディアは、柔らかな声で言った。


帝国財務卿。


軍服ではない。

武器もない。


あるのは、書類だけ。


リオネル・カルディアは、疲れた目で彼を見る。


「小麦の価格暴落」

「塩の高騰」

「商会の撤退」


ヴェルドは指を折りながら言う。


「資金繰りは、厳しい」


「……なぜ分かる」


「数字は嘘をつきません」


穏やかな笑み。


「帝国は友好を望んでいます」


机に置かれる契約書。


「低金利融資」

「十年据え置き」

「返済猶予条項付き」


甘い言葉。


リオネルの側近が息を呑む。


「条件は?」


ヴェルドは首を傾げる。


「大したことではありません」


一枚の紙をめくる。


「港湾使用権の延長」

「帝国通貨決済の優先化」


そして最後に。


「債務保証の一部を、帝国管理へ」


リオネルの喉が鳴る。


「管理?」


「万一の場合の保全です」


優しい声。


だが意味は明白。


借りれば、逃げられない。


「我が国は独立国だ」


リオネルは低く言う。


「もちろん」


ヴェルドは微笑む。


「形式上は」


沈黙。


「砲弾は一度で終わります」


ヴェルドは静かに続ける。


「ですが債務は、世代を超える」


その言葉は、重かった。


「帝国は、安定を提供します」


「恐怖ではなく、安心を」


その頃。


グランデル。


レオンの元にも報告が届く。


「カルディア、帝国融資を受諾の可能性」


エリスの声は低い。


「港湾使用権の延長が含まれています」


「実質的な支配ですね」


「はい」


ガルドが吐き捨てる。


「笑顔で縛る気か」


レオンは、静かに机を叩いた。


「帝国は、次の段階に入った」


「恐怖で揺らし」

「融資で縛る」


エリスが問う。


「止められますか」


レオンは、少しだけ黙る。


「止められません」


正直な答え。


「我々には、即時に貸せる資金がない」


「保証基金は?」


「不足です」


帝国は速い。


書類は即日。

資金は即時。


信用は、まだ手続き中。


夜。


カルディア王城。


リオネルは、契約書を見つめていた。


民は不安だ。

市場は崩れかけている。


「守るためだ」


震える声。


ペンを握る。


ヴェルドは、静かに待つ。


「焦る必要はありません」


優しい声。


「帝国は急ぎません」


だが期限は迫っている。


リオネルは、ついに署名する。


インクが、紙に染み込む。


ヴェルドは微笑んだ。


「賢明な選択です」


その頃。


レオンは、窓の外を見ていた。


黒い艦隊は動かない。


だが帝国は、確実に広がっている。


撃っていない。


だが奪っている。


「恐怖は価格になる」


「そして債務は鎖になる」


レオンは、静かに呟いた。


経済戦は、次の段階へ進んだ。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ