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単発シリーズ  作者: 柴田優生


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27/30

『人類』が『言葉』を覚えてしまったことによって起こってしまった事件 『葛実河原無差別殺傷事件』

[小説を読む前に]

今回の話は、実際の事件などは一切関係なく、全てフィクションです。

しかし、殺人などと言った悲惨な事件の怖さ、そして残酷さを世に伝えるために書こうと思いました。

少しでも犯罪率減少の貢献になればという思いです。


残酷な内容にはなりますが、人権学習のような感覚で小説をお読みください。

 人生に、生きる価値を見出だせるか。

 生きる意味なんてない。

 それは、俺自身も、その他の人間全て。動物も、植物も。世界も・・・。

 生きたところで何も価値を見出ださない。

 そもそも人間は、『意思をはっきりと伝える手段』を手に入れてしまったのが間違いだ。

 だから、いじめも、対立も、論争も、喧嘩も起きる。それらは全て、『言葉』が発達してしまったから。


 だから、この世界に言語なんかいらない。人間という存在もいらない。


____________________________


 いつしか僕、伊藤いとう 優生ゆうせいはそんなことを考える人間になっていた。なんで、こんな人間に育ってしまったんだろうか。

 親も、兄弟も皆優しい人間だったはずなのに。

 何故、僕という人間だけは優しくなれなかったのか。

 理由を出そうと思えば、いくらだって出せる。けど、それは全て言い訳にしかならない。

 何を言うにも、全て


「言い訳だ」


 なんていう言葉で片付けられるから。だから、言葉が嫌いだ。

 言葉があるせいで、差別される。

 言葉があるせいで、人間関係が壊れる。

 言葉があるせいで、誰かが傷つく。

 言葉があるせいで、誰かが変わり果ててしまう......。


 それが、この世界だ。本当に、残酷。且つ、醜い。

 きっと、僕が優しい人間になれなかった理由の一つが、『言葉』のせいだろう。それ以外にも、いじめだったり、差別だったり・・・。いろんな理由があるけど。


 だから、大人になった今でも優しくなれないんだろう。

 ずっと引き摺って、抱え込んでいるから。

 考えすぎたせいで、俺の思考は腐りきっていた。

 いつしか、人間を殺したいと思っていた。

 いくらなんでも、それは行きすぎた思考。流石に、理性を保って抑えることにしていた。

 ・・・それが、どんな方法であろうと。

 今まで、自分を制御するためなら、薬も飲んだし、何度も人形を痛め付けたし、暴飲暴食だって繰り返した。



 ・・・でも、もう無理だ。

 連日テレビから聞こえてくる腐りきった世の中が丸見えなニュース。

 政治がなんだ?喧嘩がなんだ?人殺しがなんだ?・・・それら全て、何が問題なんだ?


 ・・・誰だって理解しているはずだろ。なんで答えが分かっていながらも、何かをしてしまった人間のせいにする?

 同じ人間として、お前たちも関わってるんじゃないのか?

 ・・・考えれば考えるだけ、気持ち悪さが増す。



 ・・・皆、小さい頃、一度は夢見たことがあるんじゃないだろうか。

 あぁ。まだ純粋無垢だった俺のガキ時代にも抱いた夢だ。

 人は誰だって一度、


 『ヒーローになりたい』


 なんていう夢を抱かなかったか?

 ・・・人生で、初めて夢を叶えるかもしれない。

 そう考えると、胸が高まってきた。自然と、笑顔も溢れ出てくる。

 気づいたときには、ヒーローになる準備を始めていて、


「俺が、”ヒーロー”になってやるよ」


 そう独り言を溢しながら、俺は早速、行動することを始めた。


____________________________


 珍しく、優生が部屋から出てくる音がした。


「あいつにしては珍しいな」


 あいつの兄の俺ですら、そう感じるほどに珍しい出来事だった。

 そして、階段を段々と下る音が聞こえて、やがて姿を現したかと思えば・・・


「お前!!なんでそんな物騒なもんを!!」


 俺が、全てを話し終える前に、意識は暗闇へと引っ張られて・・・。


____________________________


 目の前には、紅い水がダラダラと流れていた。

 ・・・あぁ。興奮してくる。流石に、自分でも気持ちが悪いと感じるくらいには、興奮している。


「ちょ、ちょっと!?優生!?何をしたの!!」


 その光景を見てしまった母親がそう声を荒げる。


「久しぶりだね。母さん。僕はね、子供の頃の夢を叶えることにしたんだよ」

「お、落ち着きなさい・・・!!」


 母さんの声も聞くつもりはない。俺は、全ての人間を殺す・・・いや『救う』のだ。

 全ては、この世界から離れさせるために。


____________________________


 それからも、街に出て俺は救済を続けていった。

 ・・・何故かは分からないけど、人間の悲鳴が絶えない。

 その状況が、どうにも面白くて・・・


「アハハッ!!!なーんでそんな怖がるかなぁ。俺は、救済をしているだけだよ?」


 自然と、笑いが込み上げてくる。

 すると、サイレンの音が鳴り響いた。そうか。警察が出てきたか。


「警察さんも大変ですねぇ。なんで自ら『地獄』の道に進もうとしますかね」

「今すぐ降伏しろ!さもないと・・・撃つぞ!!」

「やれるもんならやってみなさいよ」


 こちらから動かないと行動をしようとしない警察に、しっかり伝わるように、近くにいた女と2人の警官を刺してやった。


「だめだ!!こいつは生かしてはおけない!!今すぐ撃て!!」


 俺という一人の人間を殺すために、四方八方から俺を目掛けて元気に銃弾が走ってくる。

 勿論、これに当たってしまえば俺は死ぬ。

 そして、人間である以上、避けきるのは不可能だ。

 

 ・・・だから。


「最期に、もっと多くの人間を救済してあげるよ!!」


 俺は、隠し持っていた手榴弾を投げて・・・・・・。


____________________________


 「ニュースです。昨日起こった史上最悪の無差別事件、葛実河原無差別殺傷事件かつみがわらむさべつさっしょうじけんを起こした容疑者、伊藤いとう 優生ゆうせい容疑者は、警察官による発砲で、その場で死亡が確認されました。

 調べによりますと・・・。

 死亡者は合計40人、重軽傷者は46人の、史上最悪の事件として記録に残りました」



 史上最低の殺人魔、伊藤優生は死んだ。

 人生の最期に、とんでもない事件を起こして。

 ・・・死んで正解だっただろう。

 でも、何故こんなことを起こしたのだろうか。

 何故、こんなにも残酷なことを・・・。


 そして、あの男が言っていた


『救済』


 とはなんだ?____________

この後、高校の入学式です。

・・・行ってきます

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― 新着の感想 ―
狂った人間の思考がよく伝わってきました。いい作品です
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