夕方の営業(常連客編、その43)
さてさて、時計の針は18時を回り、
小料理屋アコには賑やかに
色々な話に花を咲かせているその時
山武【こんばんは~アコさん】と
暖簾をくぐり抜けて店のドアを
ガラガラガラと開けて
入ってくる
アコ【武ちゃんいらっしゃい】
広志【いらっしゃい】と
声をかけていると、
それに続いて
周藤【こんばんは~】
早川【こんばんは~】と
続いて入ってくる
アコ【あらっこんばんは
いらっしゃいませ
こちらにどうぞ】と
テーブル席にご案内する
山武【お邪魔します】
哲男【武さん、目のクマが
凄いっすね】と
食べながら話している
山武【それはお互い様ですよ】
洋之【昨日の今日ですからね】
和邦【心配しましたからね】
山武【それで様子はどんな感じで】と
カバンを椅子に置いて
テーブル席に
腰を下ろして座っていく
哲男【全身打撲で10日だそうです】と
話しながら食べている
山武【あれだけの出来事で
それで済むなんて
ある意味で不死身ですね~】
アコ【それは良いけど、ながら食べは
止めなさいね】と
哲男をじっと見つめている
哲男【はい…】と再び冷や汗が…
広志【アコ、ほどほどにね】
アコ【はいはい、分かってるわよ】と
コップに水を入れて
山武のテーブル席に置いていく
アコ【こちらおしぼりになります】
と渡している
山武【ありがとうございます】
周藤【ありがとうございます】
早川【ありがとうございます】と
それぞれ受け取り
手を拭いたりしている
アコ【ところで今日は何にします?】
広志【今日の日替わりには
刺身の盛り合わせがな】
山武【そうですか、そうしたら
単品の刺身盛り合わせと
焼き鳥の盛り合わせを塩と
揚げ出し豆腐をお願いします】
アコ【はい、ありがとうございます
そうそうワコさんから
これを飲んでほしいって】と
一升瓶を持ち上げる
哲男【今日は絶対日替わりっすよ~】
と二人にみせながら話すと
周藤【確かに良さそうですね】
早川【じゃあ私は日替わりにしよう
かな…あとは揚げ出し豆腐で】
周藤【僕も同じで…】
アコ【は~い、ありがとうございます!
お父さん】と合図を送る
広志【はいよ~】と調理に取りかかる
アコ【そう言えば2人はお酒は
飲めなかったから
これを飲んでちょうだい】と
さんぴん茶をコップに注いで
2人の前にコトリと置いていく
周藤【ありがとうございます】
早川【ありがとうございます】と
それぞれ喉を潤している
周藤【美味しいですよ】
早川【少し癖がありますけど
美味しいです】
アコ【良かったわ~これは好みが
分かれるから】
広志【焼酎にも良いらしいがな
お湯割りは無理だった】
山武【ちなみにこれは
ワコさんというか
信也さんからですね】
アコ【冬にはぴったりらしいわよ】
広志【十四代に新政に勝駒とな】
山武【相変わらず信也さんは
希少価値の日本酒を
仕入れるのが得意ですね
ウチの会社にほしい】
アコ【それは無理というものよ
まずは冷やで
飲んでちょうだい】
山武【はい、今年はこれを
堪能させていただきます】
周藤【久しぶりに来ましたけど
この店って何か
落ち着きますよね~】
早川【実家で食べるご飯の様な
感じするんですよ~】と二人は
朗らかに話している
一方その頃の3兄弟はテレビの
音楽番組を見ながら
日替わりは食べ終わり、
後は揚げ出し豆腐だけなのだが…
アコ【あんたたち!早く食べないと
冷めちゃうわよ】
哲男【アコさんすいません!
もうすぐキョンキョンとか
ジュリーとかなんすよ~】
アコ【そういう問題じゃあ…】と
テレビに視線を向けていくと
広志【まあまあ、昨日よりは
良いんじゃないかい】
アコ【それもそうね】
周藤【昨日何かあったのですか?】
アコ【昨日、例の飛行機事故が
あったでしょう、
その中の何人かが
ウチの常連さんでね】
和邦【それでハラハラしまして】
山武【とりあえず無事で何よりです】
周藤【そうだったんですね】
広志【おかげで寿命が縮んだよ】
アコ【人生経験豊富なお父さんが
何を言うやら】
早川【今後飛行機に乗っていた
人達や家族は、
飛行機に乗らないでしょうね】
アコ【しばらくは無理でしょうね
なかなかの度胸がないと】
さあ、今宵は果たして
どうなっていくのでしょうか
夜も更けてまいります




