夕方の営業(常連客編、その42)
さてさて、時計の針はもうすぐ
17時になろうとしています。
広志とアコは何とか仕込み作業を
終わらせて暖簾をかけて準備万端です
外は冬へと季節が進んでいるせいか
暗くなるのが早くなり、
寒さが身に染みるように
厳しくなっています
そんな中でも感じさせずに
近くの公園で賑やかに
遊んでいる子供達を見ていたその時…
哲男【こんばんは~まいど~
大将にアコさ~ん】と
暖簾をくぐり抜けて店のドアを
ガラガラガラと開けて
大きな声で呼びかけながら
入っていく
和邦【こんばんは~】
洋之【こんばんは~】
アコ【いらっしゃい!!
いつもので良いのね】
広志【いらっしゃい】と
準備しながらぼやいている
そうしていると外から17時の
挨拶となるチャイムが鳴りはじめる
子供は家に帰りましょう
大人は子供達が子供の安全を
見守りましょうとの合図なのです
ちなみに季節事に曲が変わるのが
この地域の特徴でもあります
ちなみに曲はふるさとである
哲男【お願いしま~す】と
言いながら
いつもの指定席のテーブルに
それぞれ座っていく
アコ【お父さん、日替わりに
揚げ出し豆腐3つね~】
広志【はいよ~】と調理にとりかかる
和邦【しかし、寒いですね~】
洋之【今日は特に風が寒いです】
アコ【こればかりは仕方ないわね】
そう言いながら
湯飲みに温かいお茶を
テーブルにそれぞれ置いていく
アコ【はいおしぼり】と渡している
哲男【ありがとうございます】
洋之【ありがとうございます】
和邦【ありがとうございます】と
それぞれ受け取り
手を拭いたりしている
アコ【少し待ってちょうだい】と
小皿に盛り付けてから
アコ【はい、お通しね】とそれぞれの
テーブル席に置いていく
哲男【今日の通しは】
アコ【レバーの煮付けと枝豆ね】
広志【バタバタして時間なかったから
悪いとな思ったけどさ】
哲男【いやいや昨日の今日ですから
それでどうなんすか?
2人の様子は】
洋之【病院に行かれたと聞いてます】
和邦【今後乗り物に対する
フラッシュバックとかが
心配です】
広志【とりあえずは無事だったよ
2人共に全身打撲で
10日間くらいの
入院と療養が必要だとよ
それなりに元気にしてるよ
乗り物酔いはありそうだけど】
哲男【とりあえずは良かったっすね~
あれだけの大事故ですから】
アコ【まさに急死に一生ね】
和邦【不死身な2人ですね】
アコ【藤谷美紀さんみたいな事
言わないの】
洋之【でも病院なら看護師さんとも
お近付きになれるんですよね
良いな~】
和邦【その気持ち分かる
俺も見舞いに行こうかな】
アコ【あんたたちは関係者外でしょ
それに、わ・た・しという
相手がいるじゃない】
広志【はいはい、変な事言わないの
出会い少ないんだから】
アコ【まあ、分からなくはないわね
でも看護師さんて大体は
お医者さん目当てでしょう
全部とは言わないけどね】
哲男【それを言われると
ますます出会いの機会が】
アコ【みんなあるでしょう
休みの日に出掛けなさいよ】
哲男【俺はそれなりに相手が
いるからいいっすけど】と
洋之と和邦に視線を向けている
洋之【出掛けても出会いなんて】
和邦【公園行ってもカップルとか
たまに声をかけられても
変な勧誘や宗教だったり
するから余計ですよ】
テレビに備え付けてある
ボタンを文鎮で押してから
更にチャンネルを回していく
アコ【あえてイベントに出向くのよ
様々なイベントあるんだし
クリスマス前から燃えるのよ
昨日イベントに紛れ込もうとか
話していたじゃない】
洋之【それはそうなんですけどね】
和邦【いざというとなると勇気が】
アコ【何言ってるのよ
そこを行って捕まえるのよ
クリスマスなんて
クラブとか行けば】
洋之【遠距離恋愛のCMみたいな事
ないかな~】
アコ【現実をみなさいよ現実を】
和邦【今年のクリスマスも1人
あの人はもういない】と
謎の歌を口ずさんでいる
広志【はいはい、まだ時間あるからな
余計な話はそこまでに
アコ~みんなの分上がったよ】
と出来上がった料理を
盛り付けている
アコ【はい!よっこらしょ】と
おぼんを持ち上げて運ぶ
アコ【はい、おまちどおさま!
めしあがれ】とそれぞれの
テーブルに置いていく
哲男【本当に今日もありがとう
ございます】
洋之【ありがとうございます!
いただきます】と割り箸を
割って手を合わせて
哲男【いただきます】
洋之【いただきます】
和邦【いただきます】
哲男【今日の日替わりは】
アコ【今日はね
“刺身の盛り合わせ”に
“ネギ玉”に“野菜サラダ”に
“ワカメと豆腐の味噌汁”ね
後は追加の揚げ出し豆腐】
哲男【刺身の盛り合わせ】
洋之【珍しいですね~】
和邦【久々です】
広志【魚屋の売れ残りだけどよ
鮮度抜群だったんでな】
アコ【早く食べちゃいなさい、
冷めちゃうわよ】と諭される
各々一口ずつ食べ始めている
哲男【うまいっす、五臓六腑に
染み渡ります】
洋之【どれも美味いっす】
和邦【腹減っていたんですよ~】と
みんなでガツガツ食べている
哲男【マグロの刺身なんて】
広志【ブリにイカにアジにマグロとな
しかし、今日もご飯のお代わり
のペースが早そうだな】
と手を動かしながら話している
哲男【ご飯お代わりお願いします】と
味噌汁をすすりながら
伝えている
アコ【逃げないからゆっくり
噛みしめて食べなさいよ
本当にもう】
洋之【すいません僕もお願いします】
和邦【僕も同じで】とそれぞれ
食べながら伝えている
広志【恐ろしき胃袋】
アコ【今盛るから待ってなさい
本当にもう】と炊飯器から
お茶碗にご飯を盛っている
さてさて、今宵は始まったばかりです




