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小料理屋アコ~心おだやかなおもてなし  作者: 村越 京三


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病室にての会話…

広志【失礼します】と

   小声でドアをゆっくりと

   開けていく


朝陽【竜哉君…】と

   ベッドで眠っている

   和泉の元へ駆け寄ろうとする


由紀【誰なんですかあなたは】と

   上から目線で朝陽を見ている


アコ【その声は由紀はんやな

   相も変わらぬやね

   まるで鳶が鷹を生んだかや】


由紀【その声は…どうしてあなた達が 

   こちらにいるのですかね】 

   と少し驚いている


アコ【あんたの事やひそかに

   息子に見合う相手とかいうて

   探偵使うて身体検査

   しとったくせに何を言うとるん

   金持ちのやる事は分かんわい】


広志【まあ、旦那早く亡くして

   息子に依存する気持ちは

   分からないでもないがな

   けどよ少しは成長せいや】と

   ドスの低い声で

   由紀に鋭い視線を向けている


さすがに朝陽も驚いた表情をしている

そして、由紀は苦虫をかみつぶした

ような表情をしている


広志【親ちう看板はな、

   ガキ生まれたら床につくまでが

   使命ちうもんや

   それが離れていてもな

   あんたのやっている事は

   子供を逃れらないようにしとる  

   束縛や、子供の心を

   気付けんとは

   あんたは毒親やんけ】と

   更にドスの低い声で

   由紀に向けて発している


アコ【ちなみに由紀さんが雇った

   探偵さんは、

   警察で聴取されています

   知らない間に人の家に

   不法侵入したようね】


由紀【あの探偵は、

   使いものにならないわね】と

   呆れた表情をしている

   

広志【ワシらの事より倅の心配せえ

   とりあえずは大丈夫そうだな

   骨折もしとらんしな

   全身打撲の状態だそうだな

   あとはフラッシュバックが

   唯一の心配点だろうな

   本来は予定外だそうだな

   飛行機に乗った事が】


由紀【何でその事を】


アコ【邪の道は蛇というんや

   子供を玩具にする親から

   逃げたいと思うたんやろ】


朝陽【すみません、大将にアコさんと

   竜哉君の】


由紀【母親です、どこの馬の骨だか】


広志【朝陽尚美ゆう、

   あんたの倅の婚約者だよ

   わしらに証人を頼まれ

   婚姻届に記入すませた所や】


アコ【外から固めんと

   親から逃れられないとな】


広志【ええ加減に子離れせえや

   ウチの店に来とる時も

   電信柱に隠れるとは

   見事にバレとるわい】


アコ【あれほど分かりやすいのも

   どうか思うわいね】


広志【あんたを慕う

   人間もいるのによ】と

   近くにいる事務所関係者に

   視線を向けている


由紀【そこまで調べているとは】


アコ【知らぬ間に教えてくれる人が

   いるものよ】


広志【旦那さん亡くなって

   もう12年になるかい】


由紀【突然向こうに行ったからね

   そこからはガムシャラに

   しかし、同じ道を辿るとは】


アコ【知らぬ間に親の背中を見てと

   言う事じゃないですか

   ウチも息子が社員食堂で

   娘がパン屋さんで

   働いてますから】


由紀【子離れか…そろそろ

   その時かも知れないわね】と

   和泉の方へ視線を向けている


由紀【朝陽尚美さん】


朝陽【はい】


由紀【ふつつかな息子ですが

   宜しくお願いします

   時の流れは早いものね

   あの子が彼女とは】


朝陽【宜しくお願いします】


アコ【由紀さん、尚美ちゃんには

   お酒はくれぐれも

   控えさせるようにね】


由紀【何かあるのかしら】


広志【言わぬが花というもの】


由紀【そういう事ね】


朝陽【ちょっとどういう事ですか】と

   慌てた様子を見せている


由紀【これは竜哉が大変ね】


広志【お~い、そろそろ目を開けても

   大丈夫だぞ】


由紀【えっ!】

朝陽【えっ!】と

   ベッドで眠っている和泉へと

   視線を向けている


ベッドで眠っている和泉がゆっくりと目をパチリと開けていく


和水【気付いていたのですか?】と

   ゆっくりした口調で

   みんなへ視線を向けている


広志【部屋に入った時からな】


アコ【役者としては、まだまだね】


朝陽【竜哉君…】

   そういってほっとしたのか

   号泣して抱きついている


和水【尚美ちゃん】と

   受けとめながら頷いている


2人は互いに居場所を見つけた

安心感を得たように

その様子を見ていた由紀は


由紀【あの子にとれば

   彼女が番(つがい)なのね】と

   納得した表情をしていた


アコ【少しだけでも良いから食べて

   由紀さんの分もあるわよ】


由紀【私の分まで】


広志【個室にはポットはあると

   聞いていたんでな】


アコ【簡単なお茶漬けよ

   これくらいなら

   食べられるでしょう】


広志【漬けも入れてあるから

   少し濃いかも知れないがな】


由紀【ありがとう】


和水【ありがとうございます

   ところで大将やアコさんは

   母とお知り合いなのですか?】


朝陽【私も気になります】


由紀【知り合いも何も私とお父さんを 

   くっつけた2人だもの】


和水【えっ!】

朝陽【えっ!】と2人驚いている


広志【あれだけ視線を向ければな】


アコ【誰でも気付くわよ】


由紀【もしかしら同じ道かも

   知れなかったのに】


広志【歌で腹は膨れないだろうさ】


アコ【食べ物で幸せをよ】


朝陽【そんなに有名だったのですか?】


由紀【2人共に歌手としても

   十分にやっていけたわ

   それが突然に

   この世界を去るなんて】


広志【プロの歌手に比べたら

   足元にも及ばんよ】


アコ【私も気軽に歌う方がね】


由紀【話は変わるけど

   どこから私達の事を】


広志【適度に来ている会長さんと

   言えば、分かるかと】


由紀【そうでしたか】


アコ【そういえば尚美ちゃんに

   和泉さん】


朝陽【はい】

和水【はい】


アコ【私達少し行く所があってね

   そこ終わってから

   戻ってくるから

   それまでお願いして良い】


朝陽【どちらに】


広志【もう1人見舞いがな】


和水【桜木さんですか?】


広志【ウチの客だからな】


和泉【何か時々動転している声が

   聞こえるのですが】


由紀【それは言わぬが花ね】


アコ【確かめる事があってね】


広志【すまないけど】


由紀【分かりました】


そういってアコと広志は

和泉達や朝陽に軽く頭を下げてから

病室のドアへ足を運んでから

ゆっくりと開けてから、

振り向いてもう1度軽く頭を下げて

ドアを閉めていったのでした。

今回からの登場人物(芸能事務所関係)


和水(いずみ) 由紀(ゆき)…47歳

和水竜哉の母親であり

芸能事務所社長を勤めている

かつては歌手としてデビューし

活躍していたが、

俳優の和水誠一氏と結婚をし引退

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