ある人の決断とは…
さてさて時計の針は14時15分を
過ぎたその頃、臨時営業は矢野と桜木に和泉市が会計を済ませて
店を後にしようとしています
桜木【ごちそうさまでした!
ありがとうございます】と
軽く会釈しながら
頭を下げている
広志【忙しいのは良い事だけど
身体だけは大事にな】
アコ【夜の方がそこにいる拓海君も
含めて元気な人々が
来ますからね】
広志【野球が終わったから
愚痴に近いがな
他のスポーツや隼坊の
出演している音楽番組を
見たりしているよ
もちろん和泉さんの出演する
話題のドラマもな】
和泉【あまり見せたくない人も
いるんですけどね】
アコ【それは仕事だから仕方ないのも
あるんじゃないの?】
和泉【頭では理解出来ても
心はという事ですよ】
広志【おいおい俳優としては
まずくないかい】
桜木【今日はこれなら撮影の後に
音楽番組の生放送が
ありますので見てくれると
嬉しいです
それでは失礼します】
矢野【ごちそうさまでした
夜にもまた来ますので】と
各々そう言って店のドアを
ガラガラと開けて暖簾を
くぐって後にする
広志【ありがとうございました~
またどうぞ~】
アコ【ありがとうございました~】と
お客が見えなくなるまで見送る
暖簾を下げて店に入れるアコ札も休憩中に代えて、入口のカギを
閉める、広志が調理場の後片付けを
しながら、皿洗いをしアコはテーブルに残った皿やコップを集めたり、
拭いたりしている
広志【ふぅ~何とか乗り切ったな~
身体が早くも悲鳴上げてるよ】
アコ【ありがたい事ですよ、
忙しいのは嬉しい悲鳴と
言いますからね
美味しく食べて
次へのエネルギーにね】
広志【しかし、三者三様の日進月歩
進んでると良いんだけど】
アコ【好事魔多しですから
気を引き締めないと
こういう時何かしら
起きますから】
広志【確かにな】
アコ【何となくの勘ですけどね~】
広志【何も起きないと良いけどな】
そんな時珍しい人が来訪した…
千成【ごめんください】と店のドアを
ガラガラと開けて
暖簾をくぐって入っていく
広志【はい!…千成さん久々だね
まぁどうぞ】と椅子を差し出す
アコ【あらっ千成さん
ご無沙汰してます】と
言いながらお茶を
テーブルの上に置く
千成【申し訳ないです
昼営業の終わった所に
伺ってしまって】と
お茶を一口すする
広志【それで大将の具合は
どんな塩梅ですかい】
千成【正直申し上げれば
今の状態で厨房に立つのは
無理と言わざるを得ません】
広志【少し前に経緯を聞いていたから
一時的だとは思っていたけど】
千成【思ったより厳しいですね
それにあの名店を潰す訳には
いきませんし】と
悩ましい表情をしている
アコ【お店はどうされるのですか?】
千成【色々経費もかかりますので
年内で閉店する予定です】
広志【何か勿体ないですね
せっかく城持ちになったのに】
千成【戦争で何もかも失って
自暴自棄になっていた
私を拾ってくれたのは
大将ですから恩返しですよ
あのお店を仲間で守って
次へとバトンを繋ぐのは
それに大将の倅さんにも
手伝ってほしいと】
広志【そうか…それは仕方ない】
アコ【残念ですが事情が事情ですなら
正直思えば、
持ち帰りの料理だけでも
営業してほしかったですね】
広志【人間最後は己の心が決める
信じたこの道を私は行くだけ
頑張って下さい!】と
手を差し出す
千成【ありがとうございます】と
こちらも手を差し出して
2人握手をしている
坂元【それではそろそろ失礼します
ありがとうございました
お世話になりました
また、いずれ】と
一礼して店を後にした
広志【寂しいがこればかりはな】
アコ【そうですね】と
少し落ち込んだ表情をしていた
さて、二人は賄いである今日の
日替わりを食べてから
夕方の営業に備えて、
つかの間の休息に入ったのでした




