夕方の営業(常連客編、その33)
さてさて、時計の針は17時半を
少し回ったところになります
店内はたわいのない話で
にぎわいをみせています
哲男【あの子は絶対俺に気がある】
和邦【いやいや僕ですよ】
洋之【何を言っているんですか
僕ですよ僕】
哲男【いーや、俺だ】と
3人の男達が1人の女性を巡り
くだらない話しをしている頃に
鴨居【こんばんは~】と暖簾をくぐり
店のドアをガラガラと
開けて入ってくる
紀村【ごめんなさいね
遅くなっちゃって】
久藤【片付けが終わらなくて】
小糸【ラジオのプレゼント
気になっちゃってね~
結局外れたけど】と
それぞれ続いて入ってくる
哲男【ここにもライバルが】と
口をモグモグさせながら
視線を向けている
小糸【あなたもなのね、でもなかなか
当たらないのよね~】
哲男【そうそう、本当に当たらない
当たった人いるんすかね~】
アコ【みなさんいらっしゃい
どうぞ】
鴨居【お邪魔するわね】
そういってカウンターテーブル
に、それに続いてゆっくりと
腰を下ろして座っていく
鴨居【頼んでいたのは
どんな感じですか?】
広志【ちょうどいい頃合いで
染み込んでいますよ
それぞれ分けてありますから】
アコ【皆さん、どうぞおかげに
なられて下さい】と
そう言いながら案内をして
お茶を淹れる
鴨居【悪いわね~冷えるとヒザがね】
紀村【なかなか身体もね~】
小糸【言う事を聞かなくてね~】
久藤【歳を重ねた証拠ね】
広志【何を言っているんですか
まだまだですよ】
アコ【そうですよ、まだまだです
そういえばエレベーターの
設置の話ですけど聞きました?】
とそれぞれの腰を下ろして
座っている所に湯呑みを
置いていく
鴨居【エレベーター?】と
みんなで顔を見合わせる
アコ【設置の話しがあるらしくて】
小糸【設置してもらえれば
ありがたいけど、
それよりも設備にお金を
かけてほしいわね、
下水道とかエアコンとかさ】
物語の当時は現在のように
夏は酷暑ではなく、
それなりに涼しいのですが
その反面秋から冬が冷え込むのです
広志【確かにまずはコタツとか
お風呂の給湯器ですよね
たまに水漏れもありますし】と
皿に完成した料理を
盛り付けて二重にラップして
ビニール袋に入れている
広志【それでは皆さんお待たせ
いたしました、
“栗と鶏とこんにゃく”の
煮物になります】と
それぞれのお皿やタッパーに
入れて渡していく
鴨居【ありがとう助かるわ
これで秋を感じるわ】
久藤【飲んべえさん達は
無視して、食べちゃいましょ】
アコ【まあまあ、まだありますから】
鴨居【それじゃあ
ありがたくいただきます
お代は確か…】
アコ【お昼の時にいただいています
から、大丈夫ですよ】
鴨居【そうだったわね
それではお邪魔したわね
ありがとう~】
小糸【これで今日は夕飯を
作らなくても済むわね】
紀村【味噌汁くらいは作らないと】
久藤【あと1品と味噌汁よ】
やんややんやと話しをしながら
そういって店のドアをガラガラと
開けて暖簾をくぐって後にした
アコ【とりあえずね】と
視線を広志へ向けている
広志【ここからが本番だろうな
もうそろそろ来るだろう】




