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小料理屋アコ~心おだやかなおもてなし  作者: 村越 京三


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夕方の営業(常連客編、その32)

さてさて、時計の針はもうすぐ16時半になろうとしています。

外は季節が進んでいるせいか

暗くなるのが早くなり、

秋風も日に日に厳しくなっています

そんな寒さの中でも感じさせずに

近くの公園で賑やかに

遊んでいる子供達を見ながらも

夕方の営業に備えていたその時…


哲男【こんばんは~まいど~

   大将にアコさ~ん】と

   暖簾をくぐり抜けて店のドアを   

   ガラガラガラと開けて

   大きな声で呼びかけながら

   入っていく


和邦【こんばんは~】


洋之【こんばんは~】


アコ【いらっしゃい!!うん?

   まだ営業前よ】


広志【どうせラジオの抽選の確認に

   来たんだろ?】と準備しながら

   ぼやいている


哲男【まあまあお願いしますよ】と

   言いながら

   いつもの指定席のテーブルに

   それぞれ座っていく


和邦【なんせハワイ旅行か】


洋之【国内のカニ食べ比べセット

   ですからね】


アコ【食べ比べセットは

   気になるわね~】

   そう言いながら

   コップに温かいお茶を

   テーブルにそれぞれ置いていく


アコ【はいおしぼり】と渡している


哲男【ありがとうございます】

洋之【ありがとうございます】

和邦【ありがとうございます】と

   それぞれ受け取り

   手を拭いたりしている


アコ【少し待ってちょうだい】と

   小皿に盛り付けてから


アコ【はい、お通しね】とそれぞれの

   テーブル席に置いていく


哲男【今日の通しは卵焼きと

   ほうれん草のゴマ和え】


アコ【単純に手が回らないだけよ】


広志【ところで3人ともさ】


哲男【はい】


広志【サンマの塩焼きか蒲焼きか

   どちらか決めてくれ】


哲男【蒲焼き…】と驚いている

   その横で


洋之【蒲焼きでお願いします】


和邦【同じく】


広志【はいよ~哲男君は】


哲男【俺も蒲焼きで】


広志【はいよ~あとサンマのなめろう

   がプラスαだからな~】と    

   調理に取りかかる


アコ【今日の日替わりはサンマが

   大量だから色々考えたのよ】


哲男【追加で揚げ出し豆腐と

   ご飯大盛りでお願いしま~す】

   

和邦【僕も同じで】


洋之【腹へりましたからね~】


アコと広志は準備しながら

店の中ではたわいのない話と

ラジオが流れていた


南野【それでは皆さんお待たせ

   しました

   まずはハワイ旅行の当選者は】

   エンドロールが流れている


哲男【頼む!】と祈るポーズを

   している


南野【ラジオネーム○○さんで~す

   おめでとうございま~す】と

   ファンファーレが流れてくる


南野【続きましてカニの

   食べ比べセットは】


哲男【次こそは】


南野【ラジオネーム○○○さんです

   おめでとうございま~す】と

   ファンファーレが流れてくる


哲男【マジか~】


アコ【まあ、そんなものよ

   良いわねラジオ切って】


哲男【は~い】


和邦【ぼちぼちテレビ良いですか?】


洋之【今日なんかあったっけ】


和邦【日本シリーズの最終戦】


哲男【まぁ、今年の頂点を

   見守るとするかい

   アコさんテレビ】


アコ【はいはい】と

   テレビに備え付けてある

   ボタンを文鎮で押してから

   更にチャンネルを回していく


実況【時計の針は日本全国

   午後5時を迎えました

   この時間までに入っている

   ニュースをお伝えします

   本日東北地方で住宅街に

   熊が出没しているとの通報が 

   相次ぎました】


アコ【熊は薬とかにも良いけど

   食べるとおいしいのよね~】


広志【余計な話はそこまでに

   アコ~みんなの分上がったよ】     

   と出来上がった料理を

   盛り付けている


アコ【はい!よっこらしょ】と

   おぼんを持ち上げて運ぶ


アコ【はい、おまちどおさま!

   めしあがれ】とそれぞれの

   テーブルに置いていく


哲男【本当に今日もありがとう

   ございます】


洋之【ありがとうございます!

   いただきます】と割り箸を

   割って手を合わせて


哲男【いただきます】

洋之【いただきます】

和邦【いただきます】


哲男【今日の日替わりは】


アコ【今日はね

   “サンマの蒲焼き”に

   “栗と手羽先の煮物”に

   カキフライに“豚汁”ね…

   後は追加の揚げ出し豆腐】


アコ【早く食べちゃいなさい、

   冷めちゃうわよ】と諭される


各々一口ずつ食べ始めている


哲男【うまいっす、五臓六腑に

   染み渡ります】


洋之【サンマだサンマ~】


和邦【蒲焼きなんて珍しいですね~】


広志【あらゆる蒲焼きがあるからな

   大変なのはなめろうだよ

   鮮度落ちるの早いからな

   ダメならサンガ焼きに

   しようかと考えてたけどな】 

   と手を動かしながら話している


哲男【サンガ焼き…大将追加で】と

   豚汁をすすりながら話している


広志【そこまで食べたら

   腹パンパンだろうから

   後で持ち帰って

   夜食にするなり明日の朝ご飯に 

   食べた方が良いよ】


洋之【すいません僕もお願いします】


和邦【僕も同じで】とそれぞれ

   食べながら伝えている


広志【はいよ~】


アコ【それだけ食べられるなんて

   若い証拠ね】


さてさて、今宵は始まったばかりです






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