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全部社会が悪いんやっ! 〜ある救世主として召喚された男の話   作者: 平 一悟
人物紹介は470から475のあたりにあります。
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第三部番外編 怪異ハンター 桜の木の章 2

「いきなり、ワシントンの日本語読みかよ。胡散臭いな」


 そう親父が囁いた。


「え? やっぱりワシントンなの? 」


「俺達は向こうの世界のスキルがかかってるから、微妙に言葉が違う感じで聞こえる。それでだと思いたいところだが。これはまた罠なんじゃねぇか? 」


 そう親父がスカーフェイスに話す。


「あれ? 本物? 」


 ユウキがそう聞いた。


「いや、分からんな。当時はヴァージニア州在住だったよな。そこそこでかいプランテーションをやっているはずだから、そんな人物がこんなところに来るか? 」


「ここ、マサチューセッツ州だからね」


「マサチューセッツ湾直轄植民地か。アメリカ独立戦争に深く関係してる場所だな。だけど、誰か罠を仕掛けているなら、これはまた別の話だ」


「何か難しい話をしてますね」


 そう上からローレンス・ウォシントンと一緒に降りてきた中年の男がそう聞いた。


「ああ、これは失礼。シュウジ・ミドウと言います」


 そう親父が挨拶した。


「私は、ベン・カーディンと言います」


 そう中年の男は笑顔で答えた。


「東洋って、あの東洋? 」


 後ろから来た若い男はそう真顔で訝し気にオリジナルユウキ達を見た。


 姿は当時のアメリカのちゃんとした、まともなスーツ姿になっているので、完全に嘘だと言えないようだ。


「それは間違いないです。彼らは奴隷でも無く、東洋の貴族です」


 そう孔明が勝手に喋った。


 孔明は白人の姿とこの時代のさらにぴしっとした貴族並みの服装をしているので若い男の方はそれ以上、こちらに侮蔑した態度をしなかった。


「ここはインディアンも多いからな。もし、お前らが奴らの味方をするなら、俺達は容赦しないから」


 そう、若い男はオリジナルユウキ達を指差して怒ったように話した。


 指差しは侮辱だ。


 ミツキがぴきっとなったので慌てて止めた。


「すんませんな。馬車を襲撃されて、皆は逃げたのですが、何人か殺されて気が立っているのですよ」


「インディアンに? 」


「だと思います。斧を使ってましたから」


 ベンさんがそう答えた。


「「「斧? 」」」


 オリジナルユウキと親父と光の創造主が抜けた声を出した。


「おいおい」


 スカーフェイスがオリジナルユウキに騒がないように肘打ちした。


「いや、俺達からしたら斧ってワシントンの逸話だからな」


 オリジナルユウキがそう苦笑した。


 何しろ、辺りには桜が咲いているのだ。


「あれは嘘らしいけどな」


 スカーフェイスが苦笑した。


 いわゆる。桜の木とワシントンの話だ。


 幼少期のジョージ・ワシントンが、斧の切れ味を試したくなり、自宅の庭の桜の木を切り倒してしまった。


 しかしその木は実は、父親が大切にしていた桜。


 のちにジョージ少年は父親から「あの美しい桜を切ったのは誰か、知っているか?」と問われ、「僕は嘘はつけない…」と逡巡しながらも、「お父さん、僕が斧で桜の木を切りました」と正直に打ち明けると、父は怒るどころか「勇気ある行動(正直な告白)に価値がある」と息子をゆるし、褒めた。


 とか言う奴である。


 ただ、これはメーソン・ロック・ウィームズって人が書いた伝記の嘘話だ。


「その当時にアメリカには今のワシントンにある桜のソメイヨシノは無いはずなんだよな。原種はあったかもしれないが……」


 オリジナルユウキが呟いた。


 だが、周りには日本のソメイヨシノの桜の木が咲いているのだ。


 あり得ない話だった。


「だからこそ、罠なんだろうな」


 そう親父が横で呟いた。


 そう、うさん臭すぎるのだ。


 その時、悲鳴が聞こえた。


 さっきの若い男が出ていった方向だった。


 オリジナルユウキ達がそちらに向かって走ると、そこは斧のようなもので頭を割られたさっきの若い男が血だまりの中で死んでいた。


 


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