第百十三部 第四章 接待
漁村とは言え、相当な裕福な網元らしくて、それなりの旧家の豪邸みたいな家だった。
親父はドンドン漁村の中に入ってしまうし、ギョギョもそれについて行ってる。
まあ、何かあれば、親父の反応を見て逃げれば逃げ遅れはすまい。
そう思いながらついて行った。
「何だろうな。どっかで見たような気がする」
親父がまた抜けたような感想を漏らした。
「凄い昔に何度かいらっしゃいましたから」
そう結さんが笑った。
あれ?
まさか……。
一瞬、俺が焦る。
「ひょっとして……」
スカーフェイスも同じ事を考えたらしい。
まさかの親父の愛人なのか?
「無い無い」
「ありえない」
カルロス一世と祝融さんが気が付いたらしくて笑った。
「いや、なら良いんだけど」
俺も少しホッとする。
「君の母さんの洞察力や臭覚は半端ではない。もし、そうなって居たら君のお父さんは生きてないよ」
祝融さんが満面の笑みで答える。
「君のお母さんは、うちの妻達と同じような気配を感じるからな。ありえないと断言させてもらおう」
カルロス一世が胸を張る。
「何もねーよ」
親父が笑いながらこっちを見た。
「さあ、こちらです」
結さんに言われて奥の座敷に入る。
膳が置かれてて海の幸が物凄かった。
「あの、海の幸でよろしいのですか? 」
ギョギョが結さんに聞かれた。
ギョギョの膳も海の幸だったからだ。
「むう、この洗いも刺身も絶妙のサイズだ」
ギョギョが唸る。
包丁の技術に長けたギョギョが唸るのだから、相当なレベルの高い刺身なのだろう。
「ああ、これで良かったのですね。失礼が無くて良かった」
結さんがほっとしている。
まあ、海の魚とか、共食いは普通だし。
「とりあえず、まずは座ってくださいませ」
結さんがおっしゃるので、皆で膳の前にそれぞれ座った。
「昔のお礼もございます。どうか、ごゆっくりなさってください」
結さんが正座してきちっと頭を下げると奥に入っていった。
「誰なの? 」
俺が親父に聞いた。
「分からん」
親父が即答である。
「何で、それでついてくんだ? 」
俺が聞いた。
「何か話があるような気がする」
親父が首を傾げながら答えた。
嫌な予感だ。
「めんどくさい話じゃ無いと良いけど……」
俺が困った顔で答えた。
「どうなんだろうなー」
親父が呟いてる間に、早くもギョギョが刺身とか食いまくっていた。
この切り方がどうのと凄く五月蠅い。
「やっぱり、美味いの? 」
俺がギョギョに聞いた。
「驚きの鮮度と見事な切り方です。私でも感動するぐらいで……」
ギョギョが答えた。
「ギョギョが食べてから倒れないから毒じゃないみたいだな」
「本当だ」
親父に俺が同意すると料理を食べ始めた。
ギョギョが横で固まっていたが……。




