第二十三遭遇
雄夜は布団にくるまりながら、まるで幽霊に怖がる子供のように震えていた。
「な、なんであるんだよ…怖いわ」
雄夜は幽霊などのたぐいは得意ではないのだ。
雄夜は少し涙目になりながら、恐怖をまぎらわせようと一人で歌を唄っていた。
その時、雄夜の携帯の着信音が鳴った。雄夜が唄っている曲だ。
携帯をポッケからとり、開くと暗い部屋に浮かぶ人魂のような淡い光が写し出したのは怜奈という文字だった。
「もしもし」
『今すぐ浅華公園に集合!』
「なんで!?」
『とにかく、来い!』
「今、何時だと思ってんだ」
「十一時半だけど?終電ぐらいあるでしょ?」
「あるけどよ…。迷惑とか考えねぇのか」
『話をしてる場合じゃない!とにかく来る』
「あぁ、分かったよ。はぁ~」
雄夜は通話をきり、携帯を閉じた。雄夜はなんだかんだいって怜奈に甘かった。
いや、一人でいるのが怖かったのかもしれない。
雄夜は黒いストラップをレジ袋に入れて、家を出ていった。
雄夜は終電に間に合うように、少し小走りをしながら浅華公園に向かって電車に乗った。
∇▲∇▲∇
雄夜は浅華公園につく前に雫と優衣に出会った。優衣も雫も怜奈に呼び出されたのだ。
雄夜は雫と優衣にストラップについて話したが、雫は「置き忘れたんじゃないですか?」と言い。優衣も同じようなことを言った。
雄夜は一旦ストラップの事を忘れて、浅華公園に向かった。
浅華公園の入口には怜奈が仁王立ちしていた。そして、その隣にはフードを深くかぶり込んでいる健次がいた。
「おっす。健次、どうかしたのか?」
「こんばんわ。実は…」
健次は久しぶりの外のようで周りを見ながら落ち着かずに話しだした。
「実はいつも夜に声が聞こえるって話、しましたよね?」
「あぁ」
「いつもは同じことしか聞こえないのに、今日は違った。「わたしは浅華公園にいる」って、今日は聞こえたんです」
「へぇー。俺はそんなことよりお前の口調とかが変わった方が気になるんだが」
「すんません。いつもはこんな感じに話しているんです」
雄夜は健次から怜奈に視線を変える。
「それで、なんで俺達を呼んだんだよ」
怜奈は少し考えたあと、話始めた。
「私、夜って怖いのよね」
「本当の理由か?」
「もちのろん」
「うぜぇな」
「それより…」
怜奈は雄夜の持っていたレジ袋に指差す。
「それって、なに?」
「あ、あぁ。これは前に戻したはずの黒いストラップだ」
怜奈はなんのことか分からないようだった。
雄夜も諦めてため息をついた。
刹那。
浅華公園の中心から放射状に光った。
雄夜達は全員眩しさのあまり目をつぶった。
目を瞬きさせながら、雄夜達は光った方を見ると、そこにはさっきまでなかったはずであり、アニメや漫画でしか見たときがないような宇宙船、UFOがあった。
形はよくある円盤形のUFOで、直径はだいたい十五メートル、高さは着地のためにUFOの側面から出た足を含めて八メートルはあった。しかし、よくある周りを照らすであろうライトはどこにもなかった。
「つ、ついに…unidentified flying object、略してUFOが…私の目の前に」
怜奈は目を輝かせながら一歩、また一歩と吸いつけられるように歩いていく。
「おい、危ないに決まってんだろ」
雄夜は怜奈の手を握り、後ろに引っ張る。
雄夜と怜奈以外は唖然とUFOを見ているだけだった。
すると、UFOの底から淡白い円の光が放たれ、円の中心に身長百八十はありそうな男が出てきた。
雄夜思わず身構えをした。
「良かった良かった。テレパシーはしっかりできていたみたいだ」
そう言いながら身長百八十の男は雄夜達に近づいた。雄夜の目の前に来ると、唇の両端をあげ不気味に笑った。しかし、雄夜には下手な演技を見せられたような感覚がした。
「それで、怜奈はどこにいるんだ」
男は周りを見渡す。
「お前か。成長したな~。というか髪を染めたのか、まぁ可愛いからいいけどな」
そう言って、男は優衣の肩を掴んだ。そして少しずつ手を下に
「ちげぇよ、この変態が!」
優衣は男の一番の急所であろう所を蹴った。
男は地面にのたうち回りながら蹴られたところを手でおおっていた。
「もしかして…お父さん?」
怜奈がそう言うと、男は怜奈の事を見てさっきの不気味な笑顔を想像できないほどの明るい笑顔になった。そして、体勢を変えてあぐらをかいた。
「怜奈」
男は一言そう言った。何回も繰り返し言った言葉のように、優しく安心するような声だった。
「お父さん…」
怜奈は目に涙を浮かべながら男に抱きついた。怜奈は男の胸に顔をうずくめながら涙を流した。
「おー、よしよし」
男は怜奈の頭をポンポンと優しく叩き、そっと抱いた。
「霧山さん、本当だったんですね。良かったです」
雫は順応性が高いのか、すぐさま親子の対面というシチュエーションで感動をした。
しかし、雄夜はどこか引っ掛かっていた。




