メイド服の女
谷部江村はぱっと見、普通の田舎だ。田んぼがあって、果樹園があって。
小さな山が連なっている。よくある夏の原風景といえるだろう。
だが田園風景には人が宙に浮いて、クルクル高速回転していた。あまり見ていると発狂するらしい。
首のないクマや、季節外れの大音量すぎるカッコー、反対に顔だけの飼い犬や腐乱死体が転がっていたり(グー子曰く散歩しているらしい)、と滅茶苦茶な世界が広がっていた。
キュームはこの村でやっていけるか心配になっていた頃、いきなり足蹴りされふっとばされた。
「ギャーハハハハ!! 生き人形もその程度か! おい! グー子! オメーまた禁忌を冒したらしいな?!」
なんだか騒がしい笑いと、クラシカルなメイド服を着た長身の女性が現れた。どうやらグー子の友だちらしい。
「そうさ、ワタシはもうしてやられる側じゃないね。生き人形、命令だ。あの女の魂をとれ」
命令された瞬間、身体が勝手に動き、獣のような俊敏さで跳ね上がった。そうしてズブリ、と女性の胸に右手を突っ込むと――「魂」を握りしめ、放り投げる。
「ああっ、俺の」
三編みがバクリ、と食べてしまい、キュームは我に返る。
「今のは……」
「俺まで生き人形にする気か?! お、大家が許さないぞ!」
「さあ、アイツはそこまで善人じゃない。どうしてやろうか、ゆっくりと考えてやるよ〜〜」





