バールのようなものは最強
「またもや。妖怪化した咒士ですか?」
ヌッと暗闇からバグの師匠が現れた。キュームはそれよりも嫌な気配がして、近くにあった「バールのようなもの」を手に取る。
「J〇Fが近くにあってよかった」
「はあ? 何言ってるね」
眉をひそめているグー子を他所に素振りする。感覚を確かめ、使い物を見定めていると――車の間からヌウーと死人が現れた。
「キャア!」
バグが悲鳴を上げるが、死人は肢体が欠損しているのに関わらず襲いかかってきた。「うりゃあ!」
頭にクリーンヒットさせるや、足蹴にして頭を踏みつぶす。
「コイツラは頭を潰せばなんとかなる。よし、かかってこいやぁ!」
死体たちがキュームの煽りに呼応したかのように、ワラワラと瓦礫から這い出てきた。それを間合いをつけ、バールのようなもので脳を破壊していく。
「な、何してるね! ソイツらは」
「全滅させるまで潰す!」
「狂死を物理攻撃で撃退している人は初めて見たな。とりあえずブレインを――」
「いたな! 親玉ッ!!」
一際、頭が膨らんだ死人にタックルをかますと核がある場所にバールのようなものを突き刺した。ぐにゃり、と空間が歪む。
車が通り過ぎる橙色の灯りが懐かしい。ごく普通のトンネルが眼前に現れた。
「げ、現実世界だっ」
キュームはやっと元に戻れた、とぬか喜びしたが――
「お客さん? 困りますよ〜〜」
どこかで聞いた声色がして、4人はその方向を見やる。爽やかな笑みを浮かべた配達員が一人、ポツンと佇んでいた。
「アッ! あんたは!! あんときの!」





