万物宅配便 ナカン
「ここまで配達したからには、きちんとルールを守ってほしいんですよ」
「配達? アンタに?」
バールのようなものを死体から引き抜くと、突きつけた。
「おおこわ。そこの三人さん。私は配達する役割を担うナカンと申します。後で記憶は消しておきますからご安心を」
「い、いや、待つね。キュームはなぜあんな」
「彼女には黙秘権があります。そうしてあまりわたくしどもも話されたくないと言うか……」
「アンタが谷部江村に連れてきたんだなッ!」
バールのようなものを振りかざすも、配達員は素早い動作で避けると左腕の包帯をきつく掴んだ。
「それは貴方が逃げるからでしょ。でも良かったじゃないですか、平和な世界に来れて」
「いてえっ! 離せ! このバカヤロッ」
「女の子にそんな荒業をしてはいけない。配達員……さん? は何者なんだい?」
師匠が慎重に尋ねると、彼は好青年の見本のような笑顔で返事をした。
「万物宅配便でございます。貴方たちの魂も、または普通の荷物も運びます。どんな場所へもスピーディーに! それがわが社のモットー。……キュームさんは指名手配された荷物でして、まあ、今回は場所が危なかったので……」
「私は荷物じゃねー!」
「落ち着きなさいよ、野蛮人。ともかく……あまり見たことがなかった狂死だったわ。助けられたかも、ってのは間違えてはないわね」
「あれは――モガッ」
配達員に口をふさがれ、キュームはグー子を睨んだ。
「か、開☆門!」
「あっ」
視界が明転した。





