脳みそぐちゃぐちゃ
「チューニングは簡単です。脳みそと魂のズレた場所を直すだけです」
「エッ、痛くないですかそれ。私が中にいたら、余計に悪影響なンじゃ――」
すると馬耀は耳打ちしてくる。
「貴方の魂が手にはいる前は私が補っていたのですよ」
「え?」
「それに貴方が来てから一回、チューニングにしてみたら問題ありませんでした。痛くはありませんよ、多分」
ニコリとして彼女は手を引いてくる。疑問符ばかりではあるが、大妖魔の会雲に逆らい食われる方が余程怖い。
「多分って」
蔵の中はエキゾチックな内装で統一され、今日は追加で謎の香が焚かれていた。スパイシーな香りが鼻に広がる。
「精神を安定させる効果があるんです」
「へー。あまり詳しくないンですけど、アロマとか人気ですよね」
「アロマをご存知なのですね。趣味があいますね」
(い、いや……そこまで知らないんだけど)
純粋に喜ばれて戸惑うが、ふかふかの布団へ座らせられ眼前に指を持っていかれる。
「さて――ここは安全ですよ」
指を鳴らされ、思考が停止させられた。ハテナのまま――馬耀が頭部に腕をつっこんだ。(!?!)
「ああ、ここがまた緩んでますね。こっちも……あまりきつく閉めると認識に齟齬が出てしまうから……悩ましい」
ぐちゃぐちゃと頭を弄くられ、グー子の身体はジタバタと暴れようとしているが金縛りにあったように動けない。
(気絶させるとかしてよ!! 生々しいわ!)
キュームはあまりの衝撃的なチューニングにツッコミをいれた。が、文字通り脳みそをいじられているのだから言葉は出せない。
「ここを、主電源をグリッと」
意識が遠のいて、暗がりに落ちていく。深い底に。
「ひさろ、待ってよ!」
誰かが叫んでひさろ――という女の子を追いかけていく。トンネルのなかだろうか。
「待ってよ、私をおいて行かないでよ! やっと一緒になれると思ったのに――」
ひさろと同じ制服を来た女の子は息を切らして、転んでしまった。膝から血が滲んで呻いて、涙を流す。
「私に才能がないから……」
背後から何かが迫ってくる気配がして振り返ると、猛獣の大口があった。食われる。女の子は悲鳴をあげた。
「……はっ!」目を覚ますと、グー子の身体ではなくキューム自身に戻っているではないか。
(あの女の子は……)
ギャグだと我に返りました。





