寿母明楽白使さま
ピサロは話を聞くと多少落胆したように見えた。しかし尻尾を見せた途端、モフモフなものに弱いのか触られまくった。
「猫、飼ってみたくて。ラベンダー荘に猫が迷い込むことなんてないので……これはっ」
「猫じゃ……あの、これ、無くせないンですか」
「咒いで隠すことはできますが。開き直る方が楽ですよ」
触角を指差し、カヂが言う。
「グー子には尻尾ないんですかあ? ピサロさん、そっち触ってくださいよ」
「グー子は虎の耳です。髪で隠してますが一回触ったらすごい剣幕でキレられましたわ」
「ネコ科にとってはデリケートな場所ですからね」
2人はそんな話で盛り上がっているが、ピサロの手も包帯で隠されているのに気づいた。
(ピサロさんも何かの手下なのかな? )
ラベンダー荘から出ると寿桃が佇み、こちらへ手を振ってきた。
「待たせて申し訳ないです。寿母明楽白使さま」
「カヂ。その名で呼ぶのは恥ずかしいネ。寿桃でイイ」
「すぼ……?」
村唯一の若者がカヂを支配下に置いている妖魔だと?
キュームは薄々、あの悪ガキでこりていたので特段びっくりしなかった。
「茶々良洞窟の仏像がありましたでしょう。あれがこの寿母明楽白使さまなのです」
「え、そ、そうなんですか」
「騙してすいませんね」
特訓と言いつつ顔見せにいったと言う訳か。ならば……あの悪ガキの姿を探したが今のところ出てきてこない。
「アイツは普段は病院に閉じ込められてノネ。悪さばかりするとお前モ封印されちゃうカラ気をつけな」
「良かった。いきなり放射性物質をよこしてくるから」
「知っているキュームさんも大概ですよ」
「では、あの、ハルガスミさまの元へ」
ピサロがおずおずと話題を切り出した。(ハルガスミさま? また妖魔が――)
「待つね。何をしてる」
4人の後ろに三つ編みを逆立て揺らすグー子が現れた。
「げえっ」
「虎の子がお出ましダネ」





