グー子 やらかす
「ニャハハ!! バカな愚図!! 生き人形の世話もできにゃいとはなッ!」
キュームは起き上がると――自分の意志ではなく、久ぶりに現れた大妖魔グイに支配されていた。
「支配下に置いた妖魔を封じるのも下手なんですか」
「今まで出てこなかったから大丈夫だと思っていたのだ!」
「アホだなァ? キュームの意識によって阻害されてたにゃ。アイツ、岩みたいな精神してるニャあ! だが今、あっしは放たれた! おみゃえらをきり裂いて自由になるにゃ」
グー子はあからさまに動揺したが、隣にいたカヂは平然としている。
「ならば私が相手になりましょう。エスの世話は慣れていますからね」
「犬っころと同列にされるおぼえはにゃい!」
2人は対峙すると――咒士が九字を切った。「きゅうきゅうにょりつりょう!」
紙吹雪がこちらに向かってくるも、「オン・チシャナバイバシラ・マダヤマカラシャヤヤクシャ・チバタナホバガバテイマタラハタニ・ソワカ」
「ギャアアアアッ!!?」
いきなりグー子が電撃を受けたように飛び上がり、のた打ち回った。
「呪文だけで調伏するとは……グイも、高度な技術をお持ちのようですね」
紙吹雪を蹴散らし、あまつさえ遠隔で攻撃を与えた大妖魔にカヂも感嘆する。が、キュームは傍受しながらもそういえばこの妖魔も咒士だったのだと思い出す。
「ニャハハ!! 雑魚どもが――ガッ?!」
後頭部に衝撃を加えられ、視界が暗転する。「すまねえ。嬢ちゃん、これは例外だよな?」
ハチスガの声と共にグイは気絶した。そうして闇に飲まれた。
グイの人間の姿に似た人物が、黄金に輝く森で黄金色の巨大な虎と戦っている。錫杖を武器として、退魔の呪文を唱え獰猛な牙と爪に抗い――そうして脳天に独鈷に似た剣を突き刺した。
「ハァハァ……これで、化け物退治は終わりだ。あっしの勝ちだ!」
虎は倒れ、大地震を起こして山崩れや木をなぎ倒した。空が渦巻き、雨が降り出した。
さまざまな動物が騒ぎ立て奇妙な金属音が鳴り響いた。
「禁の森の言い伝えは本当だったのか?!」
虎が呻き、ギョロリと咒士を見やる。そうして金色の木々の、四方から声がした。
「お前は禁忌を犯した。同じ苦しみを味わえ!」





