キューム 充電が切れる
「グー子、よくやりましたね。子どもたちを救済するなんて」
「当然のことをしたまでね。水子ならこの村にすぐ馴染むだろうし」
馬耀がニコニコとエキゾチックなクッションに座り、夏休みのラジオ体操のカードのようなものにスタンプを押した。
「あのー、これは?」
「花丸スタンプです。ラベンダー荘では良いことをすると花丸がもらえるんですよ」
「へ、へー……」
では、ラベンダー荘に住まう皆ももらっているのか。シュールだ。
「自己肯定感もあがりますし、何より谷部江村への貢献になりますから……それに、グー子は私の■■でありますから」
「なるほど?」
(村興しみたいな? そんなのも……え、今、なんだ? 馬耀さん、なんて……)
良く分からないが、それとは別にキュームは中庭の地べたに座り込んだ。体調がすぐれない。立ってられないのだ。
「キュームさん? 立ちくらみですか?」
「なんだか……疲れたのか、立ってられなくて」
意識がボンヤリして睡魔と似た、不思議な感覚に襲われる。
「キュームさん」
馬耀の声を最後に意識が飛んだ。
「グー子さん、下僕を作るならきちんと知識をそろえておかないと」
「うるさいね! 集中力が散る!」
「キュームさんの命を返却しなさい」
「黙れ!」
カヂとグー子が言い争いをしている。キュームは起動して、うっすらと心地悪いな、と思考をした。
何か、電流に似たものがばちばちと「回路」へなだれ込んでいる。負荷がかかる。
泥のように眠ってしまいたいが、電流が邪魔をするのだ。
「定期的に充電をしないと、下僕は仮死状態になって」
カヂの説教が聞こえる。こうしないとキュームは死に絶えてしまうのだそうだ。
自分自身には命がない。
あの日グー子に命を捕られてから体は限りあるエネルギーで動いていかなければならない。
(そうか、都合がいい体だな。なら死ねるんだ)
――だめですよ。キュームさん、貴方は私の眷属になるのだから。
脳裏に馬耀の声が響き、まぶたが開いた。





