水子の家
グー子がいつもの名刺を懐から取り出し、あの口上を述べようとした。
「あのさあ、その名刺、何度も思うンだけどフツーじゃない物質でできてるの」
「いや、ただ過去に名刺交換した所へ往くだけのものね」
「名刺交換……」
案外ショボい名刺で、キュームは釈然としなかったが――「開☆門!」
視界が明転した。
気がつけば洗面所から床に落ちた。そんな場所へ移動することもあるのか。
キュームは落ちる際にグー子に蹴られたのに舌打ちしたが、ぶたれてさらに苛ついた。
家庭的な内装と裏腹に、ゴミ屋敷が広がっていた。この前は哀しいまでにノスタルジーな家屋だったのに。
「うふふっ」
誰かの笑う声がして、視線が消える。「……水子だらけだ」
「水子?」
「この世に生まれ落ちなかった子のことだ。お前も一応、隅居ではそんな立場ね。そうしてワタシも」
「へ?」
良く分からないが今はそれどころじゃない。たくさんの無邪気な笑い声がして、浮遊している。
「ゆえに仲間だと勘違いされる」
「……遊べって? 子どもたちに言われてンの??」
「そうだね」
かくれんぼのつもりだろうか。数人の気配がして隠れては駆け回っている。
「……いや、私、かくれんぼとかやってないんだよね」
そんな時、いきなり違う場所から爆発音がして悲鳴が上がる。「また別の咒士がいるみたいね」
「え、え〜〜っ! 嫌だぁ」
咒士というと、とっつきにくい輩ばかりなイメージができている。バグはまだ会話ができたが、全く聞く耳を持たない人だったら――
「ちょっ!? そっちに行くワケ!?」
「依頼が終わらなくなるね」
「ええ……っ」





