カヂの過去
中庭ではピサロとカヂが何やら麦茶片手に話あっていた。真剣な話ではないらしく、ピリピリした空気は漂っていない。
「ああ、キュームさん。依頼、ご苦労様です。大変でしょう」
「理解できないことばかりで、少し」
麦茶をもらうと暑さをしのいだ。クーラーがないのが痛手だが、ラベンダー荘の面々はさも気にしていないようだ。
「そういえば依頼先で令和から来たっていう咒士がいたんです。令和、……て知ってます?」
「平成の次の元号ですよ。私も令和から来たんです」
「え! 平成、終わって……信じられない」
「昭和を経験した身からすればあまりびっくりしませんけどね……」
ピサロがポツリと呟いた。
「私とカカクは一緒にこの世界に来たんですが……咒士でもないし、ただの災害に巻き込まれた一般人でしたから。驚きましたよ」
「咒士って後からなれるんですか?」
びっくりする話ばかりでついていけない。カヂと――カカク、は幅ですの人だろう。
「はい。それにカカクには娘がいました。それがエスです。呪われてしまい、私たちが治す方法を探していると馬耀さんに出会いましてね。そこからはラベンダー荘で暮らしています」
「そうだったんですね……」
「まあ、命拾いしたのですからそれで万々歳ですよ。本当は災害によって死んでいたのに、なんてね」
カヂは皮肉な笑いを浮かべ、麦茶をすすった。
「ていうか、私に未来を教えていいんですか、ソレ」
「貴方、もう未来にいけないでしょ。ねえ」





