変な依頼?
「次の依頼は……なんとも言えないね。ワタシには向いてないな。しかし昔受けおってしまったのだから、仕方ない」
「憑き物退治とかじゃないんだ」
「……形容しがたいねえ」
名刺を掲げると――「開☆門!」と口上を述べた。そうして視界が陽転する……。
キュームは昭和初期ごろによくあった風呂場の浴槽から這い出ることになり、後悔した。
「ここは……よくあるおばあさん家みたいな?」
「まあ、世間一般では。独居老人の家ね」
2人は夕暮れ時のノスタルジーを感じさせる廊下を歩く。温かな家庭とは、こんな感じなのだろうか。キュームは家庭的な風景を眺めつつも、素性を明かされたくなくて――視線を適当に泳がせた。するとまたカレンダーにノイズだらけになっているのに気づいた。
「……仮想空間だったりして」
「現実世界の理とこの世界がズレている印ね。ワタシたちがいる世界はいわばバグの一瞬、修整するのがワタシの仕事なのだ」
聞こえは良いが……。
「な! あ、アンタラ!! なんでまたいるのよっ!」
廊下の突き当たりに祠を壊したあの女がいた。どうやらまた鉢合わせしてしまったようで。
「仕事だからね」
「あれが仕事ぉ?? 私の首をはねやがってえ〜〜」
「神殺しは重罪だ。当然の行いをしたまで」
お互い睨み合うが、意外にも彼女はケロッと態度を変えた。
「な、なんていうかさー、私、ずっと隅居に閉じ込められているのよ」
「なんて?」
「この空間の名前、知らないの? あんた」
キュームはへー、と頷くしかない。彼女たちの間ではそう呼ばれているみたいだ。分からなかったが。
「……。対象を見つけられなくて、もうかれこれ数ヶ月は……」
「ポンコツね」
「う、うるさい! しょうがないじゃない! 妖魔がいないんだから!」





