金の森縁起
「虎……」
会雲。
否が応でも会雲――馬耀の仕業だとキュームは察する。
(なんで……お気に入りはグー子のはず。私は)
「……キュームさん。呑まれないでくださいね、虎に」
「……。グイがいるから大丈夫ですよ……」
グイなら、立ち向かうほどの力を持ち得ているはずだ。きっと。
「金の森は昔、ただ金色の体毛の神の使いがいるだけの不思議な言い伝えの森だったのです。ですが昔、ある娘が貧しさのあまり禁忌を犯して神の使いとされた獣を殺してしまいました。それから娘が罪を背負うこととなった、と言われています」
ピサロは神妙な顔で静かに打ち明ける。
「娘は嘆きのあまりたくさんの妖魔を生みました。……娘の子孫は会雲と言われています。いいや、会雲こそ娘かもしれないと」
「……ピサロさんは物知りですね」
「調べ物をしていましたから」
苦笑すると、彼女はワイシャツを正してくれた。「貴方も金の森の娘のように、過ちを起こさないでくださいね」
「もう……」
一度起こしてきた。そう言おうと思ったが、この場には不必要だと判断して黙り込む。
「二人で何してるね。今日はどぶろく祭りね」
「どぶろく? 作っていいの?」
「仕方ないね。外界から酒を取り寄せるのはコンビニしかないし、店長は当てにならないし、ラベンダー荘で作るしかないのだ」
(コンビニにいきたくねえな)
宴をするのも町内会と同じで結束力を高める目的なのだろうが、未成年の飲酒も許されるのだろうか……。
「キュームはもはや未成年とか言う問題でなくて、死体だ。当てはまらない」
「思考を読むのやめてくれる?」
「酔っぱらいで迷惑をかけるなよ」
バカにされ、ムッとしたがグー子は麦茶をグビグビ飲むとドカリと座った。
「お前、人助けをする質だったか。見損なうね」
「……そういう環境に一回飛び込んだことがあるから、治療薬は必須なの! 人助けじゃありませーん」
「キュームさん。どんな環境にいたんですか」





