ラベンダー荘 入居する
「あ、街……が見えてきた!」
グー子についていくと木々の合間から建物が見える。人工物があるだけで幾分安心しできた。
「うぎゃ! あっつ、」
「金の森とは季節が違うからね」
「いやでも私、確か冬で……」
「まーどーでもいいからついてきな」
蝉時雨の中、街……? というか田舎に辿り着いたキュームはバス停の休憩所に一張羅を着たおじいさんが座っているのをみた。
目をギョロギョロさせてなんだか気持ち悪い。
変哲もない田舎、には見えるが……どこか違和感のある空気が漂っている。川遊びをしている子供たちの言葉は難解だし、セミはひらすらにヒグラシだけだ。
「ついたよ」
「ここは?」
「お前の新しい住居だ」
「ええっ?! ほっそ!」
プレハブハウスくらいにこじんまりとしたアパート? が平屋群の中にポツンと立っている。
「いらっしゃいませ。ラベンダー荘へ。敷金や礼金、戸籍、光熱費、水道代は要りません」
目を離した隙に中学生くらいの少女が『ラベンダー荘』の入り口に佇んでいた。
「え、そんな」
「その代わりに死ぬまで退去はできません。どうぞこれからよろしくお願いします。キュームさま」
なんとも優雅にお辞儀をされ、唖然としてると平屋のカーテンが半分空いていて――半分白骨化した老婆がこちらを睨んでいた。
「……歓迎されていないように思えるんですが」
「最初だけですよ」




