二人は共犯
「し、知ってますう! 私が罪人だあって! だからってこんな意味不明な森に連れてかれる――」
「あまり悪口を言うとしてやられるぞ」
陰気くさい女がニタニタと笑い、雑木林の合間を指差した。
「ここいらにはたくさんの目が見張ってる。下手な事をすると食われるか――呪いを受けるね」
「呪い? ハッ! 非現実的なっ」
「活きが良いのは結構だが――命令だ。その隠し持っている包丁をだしなよ」
身体が勝手にバッグに隠していた血まみれの包丁を取り出した。
「へー、これで何をしたんだ?」
「家族を刺して押し入れにいれた。別にいいでしょ!」
「すごい度胸だね」
「人のためにやったんだから、別に私は悪くないし……まあ、法には触れてるけど」
まだ生乾きの包丁が巻いた布を汚し続けている。
「その包丁をおくれな」
「えっ」
「ほら!」三編みがガバッと裂けたかと思うと、牙だらけの咥内を晒し、包丁を一呑みしてしまった。
「ヒッ! 化け物っ」
「これでお前の物的証拠は消えた。なんなら遺体も食っていいが、あれはマジナイがない。どうだ? 小娘」
「マジナイ……え、あー、ありがとう……お名前は?」
「グー子だ」
「え……変な名前、私はキューム」
黄金に輝く雑木林がさらに輝き、視界がチカチカする。
神仏の使いがいるという神出鬼没の森。鳥獣が寄りつかないのだそうだ。だからといって木々が枯れ果てているとか、毒草があるとかではない。そこいらにある雑木林となんら変わらない。
夕暮れ時にことさら黄金に輝く摩訶不思議な雑木林。
そこは金の森と呼ばれていた。




