次の依頼は?
キュームはふかふかの布団の中にいる夢を見た。自分自身、寝床にこだわりはなかったが――やはり雑魚寝はきつかったのだろか……と一人合点する。
ごく普通の布団の夢。
何ともくだらなく、侘びしい夢か。
「グー子さん、落ち着きましたか」
大家の声がして心臓が破裂するかと思ったが、グー子?
キュームは限られた視界の中でこの部屋はあの蔵では? と勘付く。そういえばグー子がラベンダー荘の激せまな部屋に出入りしている様子をみたことがなかった。
「もう怖い化け物は追いかけてきませんよ」
まるで聖母のように、彼女はグー子を撫でた――のだろう。
「う、うげえええ!!」
目を覚ますと既に日が昇り、硬いフローリングがあった。やけに生々しい夢で、化け物はあの大家なんじゃないか、とツッコみたくなる。
「そういえば回路、って言ってたから、あれは現実?」
ピサロが説明していた通りなら、グー子の中に一時的とはいえ混入していたのかもしれない。
(いや……夢であって欲しいな)
「下僕。依頼に行くね」
バッドタイミングでドアを勝手にこじ開けられた。何度も無理やり開けられて、いつしか蝶番が破壊されそうだ。
「依頼……またあ?」
「何を言う。依頼を受けたら向かうのがワタシの役目。咒士はそうでならなきゃいかん」
「はーい……」
ブランケットをはいで、仕方なくついていく。
「今回は動物霊の仕業ではないね。……神殺し、人間の仕業だ」
「神殺し?」
「人間の世では神と称される妖魔を殺めた。そんな輩がいた、と。ワタシはソヤツは咒士と見ている。なぜならば人間は神を敬い畏れる、それを無碍にするのは負の存在である我々のみだ」
迷路のような階段を降りていくと、植物へ水やりをしているピサロと目が合った。
彼女はこちらの動きにあまり乗り気でないらしい。
「もし未だに咒士がいたら、ドンパチやることになるね。覚悟しな」
「ええ〜〜、負けちゃいそう」
「バカタレ! ワタシが負けるはずないね!」





