ピサロとグー子
「自我が固くて全体まで操れないね。もう少し気を許せ、下僕が」
「胡散臭すぎて気を許せませーん」
また操られながら、ロボットのようにぎこちなく動いている。もはや文句はいうまい。
「回路が不安定だとシャットダウンしてしまうぞ」
「回路」
「ワタシとお前を繋いでいる回路ね。お前の魂を介して身体を動かしているのだ」
やれやれ、と彼女は言うが元はキュームの魂である。鼻にしわを寄せて威嚇したものの無意味だった。
「ワタシとお前が深く回路を確立しないと今後、依頼の時に危険が及ぶかもしれない。それは避けたい」
「グイがいるから大丈夫でしょ」
グイの凄まじさは実感している。あの大妖魔がいるなら万事解決なのではないか?
「グイに頼ってばかりでは成り行かないこともあるのだ」
「ふーん」
「それにグイに気を許すな。乗っ取られるね」
麦茶を飲みながらグー子は神妙な声音で呟いた。
「あのさ……」
グイも人間だったのでしょ――と言おうとしたが、ピサロが中庭にやってきた。
「グー子ばっかり優遇されて悔しいですわ!」
「お前が能無しだからね」
「呪いで能力をはく奪されなければっ! 俺の方がっ!」
(この人たち何を働いたら呪いをかけられるんだろ)
「麦茶をよこしなさい!」
「働かざる者食うべからず〜〜」
仲は良いのか、悪いのか。ミンミンゼミがうるさい中、二人は麦茶を奪い合っている。
(そういや、私、あまり暑さを感じなくなってきたような……)





