醜さと変なものは同じか
「……あ、れ? 何か変なものをみたよーな」
「あの風景を変なもので済ますのですか? キュームさん」
視界にはデカデカと馬耀がいた。急接近され悪寒がするも、頷くしかない。
「貴方も畜生を殺めた身ですものね。確かに変なものかもしれませんが、アレはもしかしたら、貴方の辿る道だったかもしれませんよ?」
お説教でもするつもりか?
「無意味な殺生はしていないつもりです。私」
あれが真相なら花実は無差別的殺害をしたことになる。目的のために、とはいえ見境がなさすぎた。
「さすがキュームさん! 貴方は私にふさわしい!」
くったいのない笑みを浮かべられ、食いちぎられるのだと覚悟した。だが彼女はフルーツジュースを自分も飲んで、夜風に当たった。
「畜生といえば――夏の夜はオオカミの遠吠えがします。山にいて、獲物を探してるんです」
「オオカミ? 日本に?」
「はい。彼らはずる賢いから人間に化けて、昼間、獲物を見定めているんですよ」
ニホンオオカミは絶滅してしまい、動物園にしかいないはずである。それに童話のような話があるのだろうか。
「気をつけてくださいね」
急な話題の変えように黙っていると、彼女はさわやかな破顔で言う。
「またあのような醜い景色を見ることになるでしょう。それが咒士の定めですから」
オオカミが好きでついつい話に登場させてしまいます。





